- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784092905733
感想・レビュー・書評
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大きな問題に立ち向かう時はまずスタートから
表紙が色とりどりのカップケーキでかわいらしい。
裏表紙にはバニラカップケーキのレシピ。
パティシエになるためにがんばる女の子の話だが、憧れやいいことばかりではない。
むしろ、困難に立ち向かう強さを引き出す物語だ。
主人公のフォスターはLD、文字が読めないし書けない。
しかし知能の発達が遅れているわけではない。
そのために学校という存在が好きではなく、また人にそれを知られるのを恐れている。
また、バカだといわれるのではないか、呆れられるのではないか、と。
その一方で、料理の腕は、特にカップケーキに関してはたいそう優れている。
人を「むむむ」と唸らせ、美味しい!といわれることが嬉しくてたまらない。
フォスター(とそのカップケーキ)は魅力的だ。
メンフィスからウエストヴァージニアへとやって来た母と子。
父はイラク戦争で亡くなった。
母のボーイフレンドはエルビスのモノマネで稼いでおり、暴力を振るう最低男。
行く手は困難だらけだ。
けれども、フォスターは「よいシェフなら、とんでもない取り合わせからでも、最高の食事を用意できるのだ」と結ぶ。
そう、人生はなかなか思い通りに行かない。
わかっている。
逃げ出したくなる時も、本当に逃げてしまうこともある。
逃げてばかりだと嘆きながらも未来を信じたい、夢を叶えたいとも思う。
本書はフォスターがアメリカンドリームを叶えるところまでは描かれていない。
そのずっと手前、歩き出そうとしているところで終わる。
物足りない、そう感じた。
だが、よく考えてみれば、「辛いこともあったけど今はこうして成功しています」まで必要だろうか?
いや、そうではない。
もしかしたら、夢を完璧に叶えられないかもしれないけれど、あのとき乗り越えたことが自分の支えになる、そんなメッセージの方が強いのではないか。
対象がヤングアダルト、10代であることを考えればそちらの方がしっくりくる。
なんといっても、『負けない』のだから。
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母の恋人が暴力をふるったことをきっかけに、町を逃げ出したフォスターとママ。
さまよう内、車が崖から落ちそうになっていたところを、ある夫婦のレッカー車に助けてもらい、その夫婦の庭のキャンピングカーに住まわせてもらうことに。
その町には、教会を売り地にする人や、住民を騙す形で建った刑務所、わがままな女優など、ちょっとした問題があり、暮らしていくうちにフォスターもその問題に関わることになります。
12歳の少女フォスターは難読症のため、これまで子供にも教師にも馬鹿にされ見放されています。
それでもお菓子作りが得意で、パティシエになることを夢見て、自分で作ったカップケーキをレストランに自分から売り込みに行くほど頑張っています。
体は小さいが映画作りを夢見る少年や、フォスターと同じく難読症だった女優と関わりつつ、これまで背を向けていた「字が読めない」という自分の問題と向き合っていくフォスター。
バウアーさんのローティーンが主人公の作品は初めて読みましたが、この方の描く女の子の清々しい強さと、思わず応援したくなる健気さは健在です。
DV問題も絡めつつ、暴力や困難に負けずに、胸を張って夢に向かっていくフォスターの姿には胸を打たれます。 -
自分がティーンエンジャーの頃に戻った様に読めた。
あの頃って子どもと大人の間で色々と感じる時。
自分の事も懐かしく思いながら読めた一冊。 -
字が読めない女の子フォスターが、チャリーナさんなどの力を借りて字が読めるようになっていくシーンが素敵でした。お話の中に何度もカップケーキがでてきて、読んでいるとカップケーキが食べたくなりました。
ハックは、自分のためにお母さんを追っかけて気持ち悪い人だと思いました。 -
アメリカ的な小説でいいですね。カップケーキがおいしそう。主人公はいろいろ悩みを抱えていたり、YAにはおすすめですね。