負けないパティシエガール (SUPER!YA)

  • 小学館
4.10
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本棚登録 : 186
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092905733

感想・レビュー・書評

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  • 大きな問題に立ち向かう時はまずスタートから
    表紙が色とりどりのカップケーキでかわいらしい。
    裏表紙にはバニラカップケーキのレシピ。
    パティシエになるためにがんばる女の子の話だが、憧れやいいことばかりではない。
    むしろ、困難に立ち向かう強さを引き出す物語だ。

    主人公のフォスターはLD、文字が読めないし書けない。
    しかし知能の発達が遅れているわけではない。
    そのために学校という存在が好きではなく、また人にそれを知られるのを恐れている。
    また、バカだといわれるのではないか、呆れられるのではないか、と。
    その一方で、料理の腕は、特にカップケーキに関してはたいそう優れている。
    人を「むむむ」と唸らせ、美味しい!といわれることが嬉しくてたまらない。
    フォスター(とそのカップケーキ)は魅力的だ。

    メンフィスからウエストヴァージニアへとやって来た母と子。
    父はイラク戦争で亡くなった。
    母のボーイフレンドはエルビスのモノマネで稼いでおり、暴力を振るう最低男。
    行く手は困難だらけだ。
    けれども、フォスターは「よいシェフなら、とんでもない取り合わせからでも、最高の食事を用意できるのだ」と結ぶ。

    そう、人生はなかなか思い通りに行かない。
    わかっている。
    逃げ出したくなる時も、本当に逃げてしまうこともある。
    逃げてばかりだと嘆きながらも未来を信じたい、夢を叶えたいとも思う。

    本書はフォスターがアメリカンドリームを叶えるところまでは描かれていない。
    そのずっと手前、歩き出そうとしているところで終わる。
    物足りない、そう感じた。
    だが、よく考えてみれば、「辛いこともあったけど今はこうして成功しています」まで必要だろうか?
    いや、そうではない。
    もしかしたら、夢を完璧に叶えられないかもしれないけれど、あのとき乗り越えたことが自分の支えになる、そんなメッセージの方が強いのではないか。
    対象がヤングアダルト、10代であることを考えればそちらの方がしっくりくる。
    なんといっても、『負けない』のだから。

  • 外国のYA

    主人公フォスターは 毎日ケーキを焼く。
    字(文)を読むのが苦手で、学校一の低能と言われて、6年の卒業もギリギリだったけど、カップケーキを焼くのは天才的なのだ。ケーキを焼くと、幸せになれる。

    けれどある日、
    ママの恋人が ママに暴力をふるった。フォスターとママは家を出て、新たな街へと引っ越すことになった。
    母子二人、ウエストヴァージニア州のカルペパーという田舎町にやってきた。
    ママはバックコーラスの仕事などをしていた歌手だったが、新しい仕事を探さなくてはいけない。
    フォスターは カルペパーの人々と出会い、カップケーキ作りを通して、成長してゆく。

    読んですっきり!勇気がわいてくる。
    成長して自立してゆくフォスターたちがいい。

  • 母の恋人が暴力をふるったことをきっかけに、町を逃げ出したフォスターとママ。
    さまよう内、車が崖から落ちそうになっていたところを、ある夫婦のレッカー車に助けてもらい、その夫婦の庭のキャンピングカーに住まわせてもらうことに。
    その町には、教会を売り地にする人や、住民を騙す形で建った刑務所、わがままな女優など、ちょっとした問題があり、暮らしていくうちにフォスターもその問題に関わることになります。
    12歳の少女フォスターは難読症のため、これまで子供にも教師にも馬鹿にされ見放されています。
    それでもお菓子作りが得意で、パティシエになることを夢見て、自分で作ったカップケーキをレストランに自分から売り込みに行くほど頑張っています。
    体は小さいが映画作りを夢見る少年や、フォスターと同じく難読症だった女優と関わりつつ、これまで背を向けていた「字が読めない」という自分の問題と向き合っていくフォスター。

    バウアーさんのローティーンが主人公の作品は初めて読みましたが、この方の描く女の子の清々しい強さと、思わず応援したくなる健気さは健在です。
    DV問題も絡めつつ、暴力や困難に負けずに、胸を張って夢に向かっていくフォスターの姿には胸を打たれます。

  • 自分がティーンエンジャーの頃に戻った様に読めた。
    あの頃って子どもと大人の間で色々と感じる時。
    自分の事も懐かしく思いながら読めた一冊。

  • 字が読めない女の子フォスターが、チャリーナさんなどの力を借りて字が読めるようになっていくシーンが素敵でした。お話の中に何度もカップケーキがでてきて、読んでいるとカップケーキが食べたくなりました。
    ハックは、自分のためにお母さんを追っかけて気持ち悪い人だと思いました。

  • アメリカ的な小説でいいですね。カップケーキがおいしそう。主人公はいろいろ悩みを抱えていたり、YAにはおすすめですね。

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