- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784092905801
感想・レビュー・書評
-
私がブクログを始めて良かったと思うことのひとつに、児童書の概念を大きく変えてくれたことがあります。
児童書って、子供が読むために適した本なのかと思っていたのですが、大人が読んでも全く遜色ないどころか、大人こそ読むべきだと思う作品もあるのですね。この作品もそう思いました。
主人公の12歳の女の子「ウィロー」は、ある事故によって両親(養親)を一度に失ってしまい、親戚などの引き取り手も、ひとりもいません。そんな女の子が生きる人生は辛いこともありますが、それだけではないことを、この作品は教えてくれました。自分らしさを維持しながら、自分で考えて行動することによって、色々な繋がりが発生していくその過程には、共感出来る説得力を感じました。また、彼女自身の個性が面白くて、とても愛らしく感じましたし、「植物も生きている」という言葉は、思っていたよりも深く私の心の中に残り、周りの景色を彩り深く、温かいものにしてくれました。
大人の方にとっては、自堕落で投げやり気味な「デル」の人生に、少しずつ共感出来るのではと思います。最初の彼の姿から、エンディングには、まさか彼がそんなことになっているなんて、想像出来ないと思います。周りの方々の助けもあってのことですが、それでも考えて行動したのは彼自身です。
他にも、「パティ」、「マイ」、「クアン・ハ」、「ハイロ」と素敵な登場人物たちが、ウィローを取り巻き彼女の影響を感じ取ると共に、彼女が周りの方々から影響を受けるといった、お互いの必要性を感じ取れる関係性が素晴らしく、心動かされました。
映画化が決定しているとのことですが、これも物語を読めば納得できるかと思います。単純に生きる希望が湧いてきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
素敵なYA作品(再読)
天才少女ウィローは愛する養父母を突然亡くしてしまう。友達になったマイとその家族(パティとクアン・ハ)や、カウンセラーのデル、タクシー運転手ハイロとの交流を通して、自分を取り戻していく物語。人と人が関わることで成長していくところが良い。最後に、本当に大切な7人の名前が挙げられ心が温かくなりました。 -
語学留学中に課題図書として読んだのがきっかけで、翻訳版も読みたくなりました。
天才故に周りに馴染めなかったウィローが、愛する物や優しくも癖のある人たちに支えられて、両親の死を乗り越えて生きていきます。
暖かい気持ちになれる本でした。 -
7と植物にこだわる風変わりな天才少女の物語。
悲惨な状況も、少女ウィローの淡々とした分析口調で進んでいくから、静かに落ち着いて、でも確実に悲しみが伝わってくる。ウィロー目線のなかに、まわりのひとたちの視点もちょこちょこ挟み込まれ、それぞれの登場人物にも寄り添える。植物を育て庭を作ることで、みなに変化がおこり、人も植物も日々変化し成長する様が物語を通じてひしひしと感じられる。両親を亡くし、世界を7で数えられなくなったウィローが、最終章ではもう一度しっかり”7”で世界をみつめている。読み終えると、心の奥からじわじわこみあげてくるものがある。でも、全体を通してらタイトルから想像したほどものすごく”7”にこだわってる感はなかったかも。
でも、登場人物もみなとてもいい。とくにクアン・ハ。”どうやったのか、知りたくない。おまえが魔法を使ったって信じたい” -
天才的な知能を持つ12歳の少女、ウィロー。
その能力ゆえに、学校ではつまずきっぱなしだけれど、愛情深い養父母(彼女はみなしごで、赤ん坊のとき施設からひきとられたのだ)に見まもられて、幸せな毎日を送っていた――ところが、その幸せが一気に暗転。ウィローは深い深い喪失のなかへ突き落とされる……。
というところから物語がはじまる。
そのウィローの喪失感をつづる一人称の章と、世界が一変してから出会う人たちそれぞれの視点で描く三人称の章とを交互に交えながら、ウィローがどうやって散らばったかけらを拾い集めていくのかをテンポよく描く。
ベトナム人親子パティ(母)とマイ(娘)のパワフルさが痛快。だめだめカウンセラーのデルの部屋を見たとたんパティのスイッチが入ってしまうところなんか、ほんと笑えるし気分が爽快になる。パティの息子(マイの兄)クアン・ハなんかは、わけのわからない少女ウィローに自分たちの生活が振り回されることを憤っていたのに、いつしか女たちのペースに巻きこまれて、気がついたらマンションの外壁洗浄プロジェクトの先頭に立ってるし。あの場面も、読んでいて笑いがこみ上げてきた。
そして、最後には、涙。文字通りパワフルでハートフルな物語でした。
(でも、原題でもある「7で数えたら」の部分は、じつはあまり内容とからんでいないような気がするんだよな。)
あと、主人公の女の子が天才少女系っていうの、最近はやってるのかなと少し思った。『国を救った数学少女』のノンベコちゃんとか。少しテイストが似てる。