月にハミング (児童単行本)

  • 80人登録
  • 4.16評価
    • (12)
    • (12)
    • (7)
    • (0)
    • (0)
  • 14レビュー
制作 : Michael Morpurgo  杉田 七重 
  • 小学館 (2015年8月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092906082

月にハミング (児童単行本)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 戦争の悲惨さと平和の美しさを静かに伝える物語。

    シリー諸島の無人島で奇跡的に発見された謎の少女ルーシー。彼女は記憶を失いひと言も話すことができない。彼女はどこからどうやってきたのか…
    ルーシーはドイツ人ではないかと噂が流れ、彼女と暮らす優しい家族は村八分になっていく。
    なかなか話せないルーシーがもどかしい。だけどそれが現実なんだ、戦争の起こした悲劇なんだと思い知る。

    「あやまるな、言い訳もするな」Uボートの艦長のお父さんの言葉が心に残る。戦争とはそういうものなのかもしれない。謝られても言い訳されてもどうしようもない苦い思いが渦巻く。戦争からは何もよいものは生まれない。

  • ロマンチックなタイトルだが、話は第一次世界大戦のイギリス シリー諸島での物語。
    戦争という時代の中で、本来、善良である人々の気持ちや行動が、どのように煽られて方向性を見失いがちであるか、それを淡々と描いている。

    正直、話の展開は先が読めてしまい、また、少し都合が良すぎるように思うけれど、実際にあったUボートによるルシタニア号の沈没のことなどを取り混ぜ、時代や人々の戦時下の複雑な立場が、ストレートに伝わってきた。
    同じような状況下で、理性を持ち、国同士の戦争の最中にも、個人を見つめることは、簡単なことではない。他人事と思わずに考えておくことが、実際、何かが起こった時に(起こっては困るが)、正しい行動をする手助けになるのかも。物語は、そのために存在するのかもしれない。

  • 第一次世界大戦のイギリス、シリー諸島。学校をサボって父の漁を手伝っていたアルフィーは、普段だれも近づかない島から、奇妙な声を耳にした。咳まじりの泣き声の主は女の子で、痩せてケガをして死にかけていた。母親のメアリーは彼女を引き取り、家族同様に献身的な看護をする。言葉を話せないながらも、彼女は少しずつ回復し、地域社会にも溶け込んでいったが、彼女のいた場所からドイツ語の名前が書かれた毛布が見つかったことで、敵国ドイツ人ではないかと疑われ、彼女も、アルフィーと家族も、酷いいじめにあってしまう。

    シリー諸島の美しく大きな自然を背景に、戦争の痛ましさと、人の心のふれあいの尊さを描く。
    モーパーゴ作品には珍しくオムニバス形式で物語は進んでいきますが、最後にはきちんと希望があり、ほっとします。

    最後の急展開があまりにもうまく進み過ぎで、それだけがちょっと興醒めでしたが、メリーのサバイバルは、読むだけで胸が痛くなります。

    この物語が、ともすると争いがちな人々の心に、善意が世界を救うことを思い起こさせてくれることを願います。

    数多いモーパーゴの作品の中でも、好きなお話。

  • これが児童向けの本なの?って感じ。
    大人が読んでも十分に面白い。
    戦争とか、集団心理とか、学校とか色々考えさせられる。

    情けは人のためならずって教訓ぽいけど、
    戦争とかあっても、人の心の奥にある優しさ、というか、ただのひとりの人としてみたときに、みんな心の奥に優しさって持ってるんじゃないかな、と思わせる本だった。

    ミステリー要素もあって、読むのを止められなかった。

  • よい童話でした

  • すっごく良いです。感動 泣いちゃいます。

  • 配置場所:2F童話架
    請求記号:D933||Mo 77
    資料ID:W0182308

  • 第一次世界大戦中、豪華客船ルシタニア号が沈没するという史実を基にしている。
    グランドピアノの上で漂う少女を助けたのはドイツ軍兵士であり、彼らは少女が生き延びることを願いながら無人島に少女を残す。
    そんな瀕死の状態にある少女をシリー諸島に住むジムとアルフィ親子が家に連れ帰る。

    しかし、母を亡くし海に投げ出されるという苛酷すぎる状況の中少女は言葉と記憶を失くしたまま、アルフィの母であるメアリーの献身とクロウ医師の愛情に満ちた的確なアドバイスのもと少女は元気になっていく。

    少女はドイツ人なのではないかという噂が広まり一家も含めて村八分。校長や牧師の非情な人格は、かえってウィートクロフト一家の愛する者を守ろうとする愛情を浮き彫りにする。

    マイケルモーパーゴの作品では、どんな状況にあっても良識を失わない生き方が示される。どんな短編でも彼の作品は私たちに救いを与えてくれる。

  • 児童書だが、大人にも勧めたい良書。

  •  第一次世界大戦中シリー諸島で言葉を話さないひとりの少女が発見された。
     献身的な家族に支えられ、少しずつ回復していくが、どこからどうやって来たのか、何もわからない。 
     戦争という悲劇を描くと同時に記憶を失った少女の再生の物語。デモをしたり声高に反戦を訴えるより戦争はしてはいけないということを感じることができる。信じられないような実話。

全14件中 1 - 10件を表示

マイケル・モーパーゴの作品

月にハミング (児童単行本)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

月にハミング (児童単行本)の作品紹介

海から上がってきた少女の不思議な物語

本作品は、第一次世界大戦中、豪華客船ルシタニア号が撃沈されたという史実の話をベースに創作されたフィクションです。

シリー諸島の無人島で奇跡的に発見された少女ルーシー。彼女は、ひと言も話すことができなかった。献身的な家族に支えられて、少しずつ回復していくのだが、ルーシーがどこから来たのか、どうやって来たのか、何もわからない。そんな中、「ルーシーは、ドイツ人に違いない」という噂が流れる。ドイツと戦争をしているさなかのイギリスにおいて、それは、大変なことだった。それまでは、やさしく見守っていた近所の人たちが、うって変わって、ルーシーとその家族を攻撃してきたのだ。ルーシーはおびえ、家族は、孤立していく。どうしても、ルーシーの隠された真実を解明したいと願うのだが……。

戦争という悲劇を描くと同時に、記憶を失った少女の再生の物語でもあります。それぞれの人生が、絡み合って一本の糸になっていく物語は、まさにストーリーテラーの巨匠としてのモーパーゴの真骨頂です。
2014年コスタ賞児童書部門のショートリストに入っています。

【編集担当からのおすすめ情報】
「マイケル・モーパーゴほどの児童文学作家はいない!」とイギリスで評されているモーパーゴは、スマーティ賞、チルドレンズ・ブック賞、ウィットブレッド賞、カーネギー賞ショートリストなど、数々の賞を受賞しています。本作品は、コスタ賞の児童書部門ショートリストに入っている作品です。
モーパーゴの作品は、日本でも、数多くの作品が翻訳されています。近年翻訳出版された作品は、青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれたり、映画化された作品もあり、多くの読者を獲得しています。
本作品は、発売されるやいなや各紙で絶賛されています。
「モーパーゴの世界は、読者の心をつかんではなさない」(ガーディアン紙)。「社会的、倫理的問題を巧みな筆致で描くすぐれた作品だ」(ブリティッシュカウンシル)。「『戦火の馬』を超える作品」(デイリーテレグラム)ほか。

ツイートする