カラーひよことコーヒー豆

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著者 : 小川洋子
  • 小学館 (2009年11月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093423816

カラーひよことコーヒー豆の感想・レビュー・書評

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  • 毎日の中でスルリと零れてしまいそうなひとコマを
    大切に丁寧に書かれたエッセイたち。

    不平不満をこぼさず、たくさんのことを
    じっと我慢して超えてこられたお料理の先生の
    謙虚な笑顔と誠実な人柄のお話。

    大好きな須賀敦子さん、堀江敏幸さん、
    柴田元幸さんの話もうれしく、
    「枕草子」に対する想いに、そうそう!と
    うれしくなったり。

    人を結びつける本の話もとても素敵だった。
    同じ本を読んでいるだけで、とても話が弾んだり
    言葉にできない深い繋がりを感じたりする。
    読書ツールでの出会いも然り。
    たかが1冊、されど。

    人との縁、結びつき、大切にすること、
    丁寧に続けていくこと、楽しむこと。
    たくさんの優しさに心が柔らかくなる読後でした。

  • 小川さんのエッセイ、とても読みやすかったです。
    エッセイってただ独り言みたいな持論を展開されたりするよりも

    「あー、分かる、分かる」とか「そうそう!私も!!」とか
    共感できるものが好きで、一緒に盛り上がることが出来て
    面白かったです。

    しみじみしたり、目からうろこだったり…読んでてホッと出来ました。

    「世界一孤独な人」 ハロー警報、タクシーの無線機の孤独
    「働く人の姿」「本物のご褒美」「料理の喜び」
    「ただごとじゃない人生」「千年の時が与えてくれる安堵」
    「カラーひよことコーヒー豆」

    ある程度の年齢に達すると、なぞの焦燥感みたいなものが出てきて
    自分だけ…こうなのかと感じていたけど、このエッセイを読んで
    小川さんのような素晴らしい方でも、同じように感じるんだ…と
    安心しました。

    タイムリーな言葉のプレゼントにジーン…としました。

  • 初、小川洋子作品。
    エッセイで小川洋子さんの世界が垣間見れたような感じ。
    ほのぼのしていて、ところどころ「そうそう!」と共感することができる。
    小川さんの小説が読みたくなった。

  • 未読だった小川さんのエッセイ。とてもよかった。

    小川さんの書かれるものを読むといつも、ああこの人は少女なのだなあと思う。「少女」という言葉にはひどく手垢が付いていて、できれば他の言い方をしたいのだが、なんと言ったらいいのだろう。

    日頃は一人前の大人として、何気ないふうにやっかいなこともこなしているけれど、そのこと自体にどうしようもない違和感がある。なんだか自分だけ「人生ごっこ」をしているような非現実感がつきまとう。それは自意識過剰以外の何物でもないとはわかっているが、いくつになっても「大人たちが作っている社会」というものをおそるおそる遠巻きにしているような気持ちが抜けない。

    うーん、やっぱりうまく言えないが、私は作者のエッセイからこんな感じを受ける。そしてそこがとても好きだ。自分自身は小川さんのように繊細ではなくてガサツでおおざっぱだが、おろおろした子どものままの部分も間違いなくあったりする。そんなものはない方がいいと思ってしまいがちだけれど、小川さんの文章を読んでいると、その途方に暮れた子どもをそっと包んでもらっているような気がするのだ。

    これはいわゆる「泣ける本」では全くないだろうが、私は何回も涙を流してしまった。大人になって良いことはたくさんあるが、何遍でも思いだしてそのたびに心を温めてくれる記憶が積み重なっていくこともその大きな一つだと、あらためて教えられた。誰かに大事にしてもらった記憶、誰かを慈しんだ記憶は消えることがない。それを忘れなければなんとかなるよね。

  • もう見慣れた雨粒。

    水面に落ちて、波紋が広がろうとも
    特に気にする事もなく、さっと目を逸らしてしまう。

    小川さんは
    目を逸らさない人だな、と思った。
    ニコニコと面白そうに
    いつまでも波紋を見続ける事が出来る人。

    雨粒達は、ちょっと嬉しくなって
    本のなかから、思い出のなかから、言葉のなかから、日常のなかから、
    (彼女に褒めてもらおうとして?)
    次々飛び出してきては、ポンポン白いページの中へとダイヴして行く。

    不規則ではあるが、その跳ね上がるような言葉の調べがなんとも心地よいエッセイ。

  • 久し振りにエッセイの類を読んだ。なるほど彼女の小説はこういう繊細にして豊かな感性から生まれるのか、と納得する一冊。小説より読みやすく、親しみやすいかもしれない。凛とした冷静な人を想像していたが、案外お茶目で涙もろい。共感できる面も多々あって、嬉しくなってしまった。生まれ変わったら歌の上手な人になりたいとか。

    そして、どこまでも謙虚な人だと思った。ものを書くことへの真摯な姿勢に胸を打たれる。自分はまだまだ謙虚さが足りないと反省。

  • 小川洋子さんがとても好きになった。温かくて、面白くて、時には考えさせられるとこも。自分をダメダメ人間のように言ってしまうトコも。いつのまにか、一緒にいさせてもらっているような気持ちになる。 
    中心から少し視線をずらすこと。はっとした。

  • 短編のエッセイになるのかな。
    あたしの好きな文調で 読みやすかった。

    小川さんって 「博士の愛した数式」の作家さんだったんだな。
    知らずに読んでいた。。
    必要とする誰かのところへたどり着いてほしいとの願い。
    あたし 読んで よかったな。


    タクシーの無線や ハロー注意報とか ちょっと視点がおもしろい。
    あとは縁日のカラーひよこ。
    知らなかった!
    (小川さんは カラーひよこがもう縁日で売られていなくて、知らない人が多いことに衝撃を受けていたけど。知らないことを知った あたしも衝撃的)

    他の作家が書いた本のタイトルも ちょこちょこ出てきて
    知っている本も 知らない本も。
    こういう風に 次に読んで見たい本に出会えるのは ありがたいな。

    靴の話で
    戦後 旧満州から引き上げてくる時に 脱落した人は靴をなくした人。
    靴がないまま必死で歩き続けたら 足の裏の肉 奥深くまで石が埋まっていた人など壮絶な話。
    最後に自分の命を守ってくれる砦となるかもしれない靴。
    きっちり自分に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていける。自分のためだけの、 足にぴったりな一足。

    いい靴はいい道に導いてくれるって聞いたことあるけど
    最近 合わない靴を無理にはいて ストレスがあるから
    やっぱり あの靴は考えようかななんて 思ってしまう。



    以下、引用。

    思い出からやってくる人。
    苦しかったりつまずいたりした時、思い出の中からやってきて、心をさすってくれるような。

    本物のご褒美
    宝石や香水は何個でも欲しくなるが、本物のご褒美は生涯にたった一個あれば十分。
    何度繰り返し思い起こしても、そのたび新たな喜びに浸れる。


    出会うべき誰かと誰かが出会う。
    人と人が出会うに相応しい手順がちゃんと踏まれている。


    どんな才能も、自ら売り込んでいる間は本物ではない。
    神様の計らいは常に、本人に気づかれないようにこっそり施される。
    それを施された人間より、その人間が発するものを受け取る側の方が、ずっと大きな恩恵をこうむる。

    世界の周縁に身を置く人。
    中心から少し視線をずらした時、世界の見方が変わることがある。
    声高に叫ぶ人の声だけでなく、じっと黙っている人の声に耳を傾けていると、思いがけず深遠な真理に触れることができる。

  • 女性誌『Domani』に掲載されていた小川糸のエッセイ集。

    タクシーの無線を聞いて、「どうして誰も返事をしてあげないの?」と泣きそうになっていた子供時代。

    「一生大人に憧れ続け、結局大人になれないまま死んでゆくのかもしれない」と思い、「せめて一生のうちに一度くらい、小川さんはなんて大人なんだろう、と思われてから死にたい」と語るネガ+ポジシンキング。

    速記者や通訳など、「自分自身の個性は消しながら、かけがえのない存在感を示す」人に惹かれる小川さん。

    思わず「あ~あるある」と頷きながら読んだ。

    最近エッセイをよく読むが、エッセイのいいところは? と聞かれたら「新しい読書への架け橋になるところ」と答える。作家のエッセイに、名著が一作も登場しない、なんてことはないのだから。
    という訳で『錦繍』『遠い朝の本たち』は後日読みたい。

    その他:ページ番号が見開きの左下・右下ではなく、左右の余白の真ん中あたりに打ってある構成がよかった。視界のジャマにならないノンブルの場所として覚えておきたい。

  • 雑誌掲載分に書き下ろし5作のエッセイ集です。

    作者の小説は沢山読みました。作者の描く美しく繊細なもの、端っこのこと・・なるほど、こういう考えがベースになっているんだなと思いました。

    作者との共通項が多く(阪神ファン、居住地、年代など)、関心事の話題(ジュウシマツ、靴、料理など)も多かったです。ちなみにカラーひよこも分かります。
    自分と縁のあることが多い話題に惹きこまれました。

    作者がエッセイの中で「ハッ」と気づくことに自分もハッとしたり。
    あと1篇が適度な長さで読みやすかったです。雑誌連載の賜物でしょうか。

    「働く人の姿」「大人の女性とは」「黙々と労働する人」「本物のご褒美」「結晶のような個性」「ジュウシマツの芸術」「靴は人生の同伴者」「届かなかった手紙」そして最後に「理想の一日」で、なんだ、今の自分の暮らしもまんざら捨てたもんじゃないなと思う心地よい読後感。堪能しました。

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