- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093560412
感想・レビュー・書評
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緑色の目を持って生まれてきた賢者マンクンクの生涯を、アフリカの架空の国を舞台にして描いた長編小説。唯一無二である瞳の色を授かった運命は、「破壊者」として生きることをマンクンクに要求する。
部族社会での因習への反発、植民地支配打破への闘争、腐敗した独立政権への反抗。マンクンクの武器は「知」。「知」は、時に因習や迷信の暴露を呼び部族の輪を乱し、また時には植民地支配者のもつ科学力への傾倒につながり、はては物質主義を糾弾する根拠として、マンクンクを突き動かし、翻弄する。その有様は、そのままアフリカ諸国の近現代を体現している。
既に入手困難であることが残念。本来であればアフリカ文学の入門としてこれ以上ない一冊に思える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高野さんのエッセイに載っていたので。
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なかなか触れる機会の無いアフリカ文学。
訳者高野さんの「異国トーキョー漂流記」に作者ドンガラさんが出演?されていて、興味を持ったので図書館で借りて読んでみました。(Amazonではプレミア価格で流通してますね。。)
純文学的な作品は普段全く読まないので(「百年の孤独」も読んだコト無いです)素養は無いのですが、そもそものストーリーが面白いのでスイスイ進みます。
アフリカの悲しい歴史を取り入れつつ、それに翻弄される主人公。読み終わりには何とも言えないような、さびしさ、爽やかさが入り混じったような感覚になりました。
その後、解説と訳者あとがきを読んでみて、なるほどこういう読み方があるのか、と納得。科学的な知識とアフリカ的な知の違い、というのは考えさせられました。