著者 :
  • 小学館
3.25
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093792042

作品紹介・あらすじ

妻ある男性との恋愛、妊娠、未婚出産、そして癌闘病。十年分を一気に生きた一年間の哀しく、壮絶な私記。芥川賞作家がすべてを綴った衝撃の出産・闘病「私記」。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の考えや、価値観には正直共感できない。
    しかし、そのことを忘れるほどの生と死の表現を感じた。まだ作中で東さんは無くなっていないが、効かない抗がん剤、ガンの転移と、このまま悪化していく徴候しかなく、読み終わった時には暗い気持ちが残った。

  • 作者は不倫の末、妊娠すると共に、恩師の癌にも直面する。生と死を一度に受ける現実を赤裸々に綴っている。どんな人との子供であろうと、命には変わりない。人の命の儚さが沁みる本であった。

  • 柳美里嫌いだわ〜

  • 柳美里さんの作品を初めて読んだ。
    フルハウスだけでなく、
    まさか石に泳ぐ魚の作者だったとは。
    色々と断片的な記憶が繋がって驚いた。

    男にしがみついて生きているような、柳さん自身の価値観にはあまり共感出来ないが、 私記ということで赤裸々すぎる程の経験が事細かに書かれており、作家としての描写力をありありと感じた。
    特に、作家の仕事と出産、育児の両立の難しさや未婚に対する周りからの視線の厳しさなど、20年程前の社会での女
    性の生きづらさがとても伝わってきた。

    柳さんはシングルマザーながらもあまり先のことは考えずに行き当たりばったりであれこれ準備や覚悟をせずとも出産に至った印象がある。私は自分が自立し、成熟した大人になるまで子供を授かることへの責任は持てない、と思っていた。しかしこの本を読んでいて、確かに我々誰しも時の流れに身を任せるしかないこともあるし、そんなに大人は完璧ではないのだな、と実感するともに、少し安心した。

    柳さんは妊娠後、重度の癌を抱えた方(東さん)と同居生活を共にし、出産、育児を行っていく。その事が、彼女に更に命について考えるきっかけをもたらしている。
    癌の方の治療の様子や投与する薬までもが事細かに書かれており、直視しづらい現実を見せられているようであったが、生と死はいつも裏返しにあることを実感させられた。

    -この子が昨日出来なかったことを今日出来るようになるように、東は月単位で出来ないことが増えていくのだ。(要約済)

    4部作なのであと3部、読んでいきたい。

  • 1.00

  • 柳美里さんにハマり中。

    お子さんを出産して、東由多加さんが亡くなるまでを書いています。
    次は、「魂」「生」「声」と続く。

  • 東という人とどういう関係だったかここでははっきりと描かれていないが、家族以外は分娩室に入れないのでは

    「命」というタイトルだが、「出産」が詳しく書かれていてプレママが読むような感じになっているような気がする

  • 恋愛は理論でするものではなく、感情でするものだから、客観的に見てしょうもない男に入れあげてしまうのも、仕方がない。
    それにしても、ここに描かれている女(柳美里)は、非常にやっかいで、弱く、言っては悪いが面倒くさい。
    覚悟というか、自分に対する厳しさというか、そういったものが薄いような気がする。
    事前に備えたり、先を読んだりするのが下手で、生活力もない。
    実際はどうか知らないけれど、この本からはそういうふうに感じた。
    こうやって、生活というものからふわふわ浮いている人が作家になれるのかもしれない、と思った。
    もう、だいぶ昔の本だから、今や息子さんも大きくなられたようだ。
    子育ての場面では、東さんと柳美里さんが力み過ぎているのがほほえましい。
    初めての子どもって、そうだよねえ、と、クスクス笑ってしまった。

  • 想像よりかなり良かった!

    生まれゆく命と死にゆく魂のせめぎ合い、何もかもさらけ出した文章は壮絶だ。

    出産や子育てがリアルに描かれていて、アラサーの私には一段と興味深い。

    ただ不倫、またそこからの妊娠は最低だ。子供が可哀想で仕方ない

    東さんとの関係のはじまりも気になる。

  • 自分には決してできないややこしい生き方を疑似体験して疲れてみたいときに読むといいでしょう。うっかり雨の日の図書館でたまたま手にとって読み進めてしまうとさらにつらい気分になって椅子から立ち上がれない危険性があるのでご注意。重くて粘着質なところが面白い!!

  • 柳美里さんの作品には賛否両論。
    東由多加氏の柳美里さんと生まれてきた子供への愛が一番心に響いた。

  • ずっと読みたかった柳美里の「命」四部作、全て読みました。出版当時中学生で柳先生のこともよく知らなかったのですが、「彼」とのこと、東さんの関係のこととか克明に記されていて、正直やっと理解できたなという満足感があります。

  • 妊娠中に読んでしまったため、赤ちゃんのことをないがしろにする著者に腹が立ってしまった。

  • 凄い生き方だわ…

  • (2001.06.19読了)(2001.04.20購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    妻ある男性との恋愛、妊娠、未婚出産、そして癌闘病。十年分を一気に生きた一年間の哀しく、壮絶な私記。芥川賞作家がすべてを綴った衝撃の出産・闘病「私記」。

  • 中学の頃、図書室で借りて読んだ

  • 内容は帯の通りだな、と思ったのですがテンポの良さや言葉使い、描かれている人達の様子など面白い要素もある魅力的な本でした。正直、作者の柳さんの言動に対してイラついたりもしちゃうんですが、なんだかんだちゃっかりしてるところはちゃっかりしているので、本当はこういう人じゃないんじゃないか、って疑ってしまったり……。なんにせよ、胸糞悪い気分になりながらも最後まで読ませてしまう力量みたいなものを強く感じました。ただ、こういう内容だけじゃなくて、違う面を今度は見てみたいです。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:910.268||Y
    資料ID:50001463

    医療従事者(薬剤師)を目指す学生として「生と死、生命の尊厳」
    「患者、家族の心」について考えてみませんか?
    (臨床薬剤学研究室 岩﨑先生)

  • 柳美里さんの作品を初めて読んだ。
    共感できたり、身近に感じる部分がなくて、ざっと読んで終わった。

  • 妊娠によるストレスや葛藤はあるでしょうが、
    柳さんの書く文章には共感や哀れみを持つどころか、
    嫌な気分にさせられることが多かったです。
    自分は自分はと押し出しすぎていて、
    読んでいて柳さんの感情の揺れに疲れてしまいました。
    もっと色んなことをプラスに考えられないかなぁ?
    それが幸せにつながる近道だと思うのですが。。

  • 偶然、この本を友達から勧められて読みました。
    その時初めて、芥川賞作家・柳美里の本を読んだのです。
    感動とか相槌を打つとか。。。そんな読み方でなく一気に最後まで深みに入っていくように、読んでしまいました。文章の表現力が素晴らしい本です。


    あらすじは(Amazonより引用)

    ☆出版社 / 著者からの内容紹介
     芥川賞作家・柳美里氏が作家として、また一人の女性として直面した苛烈な真実を正面から見つめ、血のにじむような筆致ですべてをさらけ出した、前代未聞の問題作。
     妻ある男性との恋愛、妊娠、そして男の変心。
     さらには、かつての師であり、10年間共に暮らした恋人でもある東由多加氏との再会と、東氏の癌闘病、そして出産を迎えるまでを描いた本作は、柳氏の人生のなかでも最大のスキャンダルかもしれない。
     しかし同時に、「崩壊した家族」のなかで作家的感性を養ってきた柳氏の、命をかけた「家族再生」の試みでもあった。『週刊ポスト』連載中から大反響を呼んだ「同時進行私記」いよいよ刊行。

    Amazonの読者評価は賛否両論真っ二つです。

    著者:柳美里は横浜の出身です。在日韓国人劇作家で小説家。山手のお嬢様学校「横浜共立学園高校」を中退。
    複雑な家庭環境の中、11歳で家族離散。母方の祖父の謎に満ちた人生。

    ここに詳しい中身が書いてあります。

    http://www.ntv.co.jp/shitteru/next_oa/010909.html

    家族を否定し続け、一方でその絆の深さを追及することをテーマに作品を書いている柳美里。
    全ては同じような境遇の東由多加氏に出逢い、再会を経て変わっていく柳美里の心。
    母を苦しめるために、子どもは産まない。。。。

    そう思い続けていた彼女の心を変えたもの。。死に行くなかで決してあきらめない『生きる』意味。

    まさに死んでいく『命』と生まれようとしている『命』。
    新しい命が生まれた後、必死に生きた命は終わりを告げて、柳美里の心に再び生まれ変わる。

    丈陽(たける)と名づけられた子どもの、これからその命はどのように育っていくのか。
    そして受け継がれる心はどのように、丈陽を成長させてくれるのか。

    終わりのない、長い物語の始まりだと思う小説です。

    一方でどこまでが真実で、虚構があるのかわからない私小説です。

  • 「命」

    題材にするには、難しすぎる。
    美化されてもシラけるし、粗雑に扱われると悲しい。

    でも、この本の中の命は、とにかく生々しい。

    これは著者の柳美里さんの実体験を描いた作品。

    彼女は好きな人の子を身籠る。
    でも相手は家庭を持っており、いわゆる不倫の関係。

    認知や養育費のことで大モメにモメるが、赤ちゃんは育っていく。

    一方、柳美里さんが10年同棲したこともある、東由多加さんは、
    癌を宣告される。しかも末期。

    柳さんは東さんと一緒に住み、
    お腹の中で育つ命と、癌に蝕まれていく命の中で、
    不安になり、暴食し、泣き、執筆し、生きている。

    そういう作品。

    柳美里はすごい。
    生々しい。

    そんなに?!と思う程、自分をさらけ出して命を見せてくれた。

    親が子を生み、命は繋がっていく。
    でも命が繋がれば、心が繋がるってもんじゃない。

    命は偉大なようで、万能ではない。

    とはいえ、大事な人の命は、どれだけ大きく影響してくるものか。

    なんだか、真正面を突いて来る作品。
    真正面から、受け止められるときにどうぞ。

  • 筆力のある人だと思う。内面を鋭く厳しく見つめ、自分を追いつめていくかのような文章が胸に迫る。何度も泣いた。
    ただ、これが小説であれば、という残念な思いはある。これが世に出ることで傷つく人がいるのではないか。本という形で、売り物として世に出すためにそう描かれているのかもしれないが、筆者の哀しみは深く激しく伝わってくる反面、周囲の人間の哀しみを見ていないのではないかと読みながら少しずつ疑問がわいてくる。現実には、描かれていない部分の、関わりあったと思われる見えない人々の哀しみがあるだろう。そこが少し、つらい。 (2002-10-27)

  • このシリーズの一発目。

    リアルのとき、この本が書店で平積みされているだけで、おえっとなったが、わたしも年をとり、おえっとならず、一気読み。

  • 裁判沙汰で、ワイドショーで、女性誌面で、柳美里がどう、とか、どう?とかもうなんでもいいでしょ。この本を書いた人が柳美里だよ。書くことと人生に、常に命(あるいは生死)を捧げてるのが柳美里だよ。真面目に話すと怖い顔になりそうだから、みんな茶化しちゃうんだよ。それだけだよ。

  • 私小説というジャンルがあることは承知で、これは単なる記録だと思う。壮絶な話だが、それは現実で別に著者の筆によるものではない。まぁそういう日常を呼び込んでいるのは著者自身であり、それがすべて作品だと言われればそれまでだけど。自分を切り売りして生きている。子供の将来が心配。

  • すばらしい本だと思う。
    隠さずに本音がかかれているのですごく生々しく、何度も自分に照らし合わせて立ち止まってしまった。
    これほどのひとでも、同じ悩みがあるんだ・・・と。

    <05.07.01>
    すごい感情と感性を持っている。読み終わった後も人の感情の生々しさに脱帽。という感じ。
    人にはあまり言えないような。自分の内にある感情を本当にストレートに表現している。格好悪いとか、見せたくないとか、そういうの全然ないんだろうな。そしてその話を読むことで、自分は間違ってない。と励まされる

  • 2002/7/29読了

  • 読み込んだ作家さんの有名作。

    感想は読み終わった人と話したい本。

  • 高校生のときに読んで、読み終わった後、思わず親友に電話した。

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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