速すぎたランナー

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  • 小学館
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093792271

感想・レビュー・書評

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  • 1990年代から2000年にかけて、男子マラソンにおいて宗兄弟、瀬古、森下の後者の一人といわれ、実際にも世界レベルのスピードを持ちながら、結局はマラソンで勝てなかった早田選手の苦闘のドキュメント。単にマラソンそのものではなく、コーチや日本陸上界との確執、家族との関係などヒューマンドラマとしても秀逸。

    マラソンではよく30キロの壁と言われ、結果的には早田選手もまさにその壁に突き当たりもがき苦しんだことになるが、宗兄弟、瀬古、森下のコメントにもあるように、壁の存在を意識せずレースに勝てる選手もいるのもまた事実。それが精神的なものなのか、体力(というより、スピードランナーとしての適性とマラソンへの不適正)なのかは難しいところであろうが、本書に描かれる早田選手の自信、苦悩、そして執念は、結局は勝てなかった一人の競技者を結果として評価するのではなく、悩みもがき苦しみながらも這い上がろうとする一人の人間のドキュメンタリーとして、大きな感銘を与えてくれる。

  • マラソンランナーのメンタリティー

  • 早田俊幸を阻み続けた「30キロの壁」を見極める。レベルが違っても、マラソンランナーの前に必ず立ち塞がる”壁”についての考察が興味深い。人間、経験から学んで、謙虚にならなきゃ、と思わされる。

    • 酔走楽部図書館閲覧IDさん
      早田のことばかりでなく、当時の一流選手のことも合わせて書いてあって面白かったです。一気に読んでしまいました。”マラソンはゆっくり走ることを覚...
      早田のことばかりでなく、当時の一流選手のことも合わせて書いてあって面白かったです。一気に読んでしまいました。”マラソンはゆっくり走ることを覚えなければならない”という言葉が印象に残りました。(塩G)
      2010/06/03
  • 早田選手の一途な性格が、自分を追い詰めていってしまっている、負のスパイラル。

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著者プロフィール

増田 晶文(ますだ・まさふみ)
作家。1960年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。人間の「果てなき渇望」を通底テーマに、さまざまなモチーフの作品を発表している。文芸作品に『稀代の本屋 蔦屋重三郎』(草思社文庫)、『S.O.P.大阪遷都プロジェクト――七人のけったいな仲間たち』(ヨシモトブックス)、『ジョーの夢』(講談社)、『エデュケーション』(新潮社)など。デビュー作『果てなき渇望』で文藝春秋ナンバー・スポーツノンフィクション新人賞および文春ベスト・スポーツノンフィクション第1位を獲得、『フィリピデスの懊悩』(『速すぎたランナー』に改題)で小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。日本酒の神髄を描いた『うまい日本酒はどこにある?』『増補版・うまい日本酒をつくる人たち』(ともに草思社文庫)も話題に。

「2021年 『文庫 絵師の魂 渓斎英泉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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