封印された「倭」の謎 (逆説の日本史)

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著者 : 井沢元彦
  • 小学館 (1993年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093794121

封印された「倭」の謎 (逆説の日本史)の感想・レビュー・書評

  • 井沢氏は、日本の「歴史学」の欠陥を3つ挙げる。「日本史の呪術的側面の無視ないし軽視」「滑稽ともいうべき史料至上主義」そして「権威主義」である。そもそも「歴史というのは、過去の人間の行為を研究対象とする学問である。だから過去の人間がどういう「宗教」によって動かされてきたかを知るのは、最も重要な基礎知識」のはず。また、史料には「あたりまえのこと」「常識」は記載されないもの。そして、大先生には批判する自由が与えられない学会の体質も周知のことである。だからこそ「素人が活躍する余地は大いにある」と井沢氏はいう。日本の歴史学の世界に風穴をあけた功績は大きい。

    井沢氏が特に注目するのは、呪術的側面と古代から現代に至るまで日本人を拘束する規範である「和」の精神-話し合い至上主義-である。一見、平和な「和」の精神は、「日本人の間だけ通じる原理」であり、根本的に「民主主義とは異なる」点があり、「真の知恵が伴わなければ却って有害である」ことに注意しなければならない。また、司馬遼太郎氏がいう「軽薄へのエネルギー」にもなり得る。「和」の精神は、日本人の美徳のように語られることが多い。しかし、歴史を見れば、この精神がもたらしたマイナス面も実は大きいことに気付かされる。和の精神だけではだめなのである。

    この著書は、昨今の日韓関係との絡みで面白い指摘も多い。例えば、朝鮮半島を統一した高麗王・王建の遺訓である。「後百済地区の人間は(略)裏切り者である。だから決して重要な地位につけてはいけない」と。実は、韓国内の地域対立は、今なお激しいのだ。後百済地区とは今の全羅道。7世紀でいうと、日本に多くの帰化人(渡来人)がやってきた百済国が位置した地域である。百済国からの帰化人は、古代日本の政権の中枢を担う訳だが、ここに反日感情の原点のひとつを見るようだ。

    他に感じる点としては、結局のところ、韓国は自国史のコンプレックス(特に対中国)のはけ口を、日本に向けているだけだということ。そして、古代には朝鮮半島と日本の間での人の交流があったことは地理的に見ても自然なことにもかかわらず、今の国境を基準に、日本対朝鮮という図式に過度に拘るのは無意味だし、歴史を客観的に見る目を奪ってしまっているということである。

  • 1993年刊行。◆週刊ポスト(小学館)連載。ここから連綿と続く週刊誌連載の日本通史。根底に位置づけるのは「怨霊」と「言霊」。

     今から見ると、中世史以降は相当怪しいし、また、先行研究に全く触れない(批判があったからか、近世史あたりから先行研究に触れるようになる。)し、考古学的知見の甘さは感じる。
     ただし、古代史の宗教からの目線ということに限定すれば、興味深い叙述もないではない。ただし、先行研究があった可能性もあって、一部を除き独自研究ではないと考えるべきだろう。批判的に検討したものも含め参考文献が開示されないのがそれを如実にしめしている。
     しかも、週刊誌連載の悪癖か、同じことを何度も繰り返して字数稼ぎをしている印象がつよく、さらに史的な叙述と殆ど関係のない現代の問題に紙幅を費やすのは興ざめ。

  •  この著者の歴史推理物をいくつか読んでみて、行きつくところはこの大シリーズということになる。以前から梅原猛が好きだったこともあり、いつか手に取ってみたいと興味があったのだが、いかんせん毀誉褒貶が激しく二の足を踏んでいたもの。今回実際に読んでみてつくづく納得した。卑弥呼だの邪馬台国だのは諸説あって必ずしもこの著者のオリジナルではないが、倭の国の語源、卑弥呼や神功皇后の正体から、天皇家の出自にいたるまで、旧弊な固定観念を捨てた歴史の新解釈、というて点では文句なしにおもしろいと思う。だがしかし。書きぶりが悪すぎる。個人の解釈だから主観的なのは仕方ないが、自己正当化のための他者攻撃、くどくどした弁解、重ね重ねの例え話には辟易してしまう。ここまでくると正統歴史観への意識過剰からくる被害妄想としか思えない。内容だけで十分興味深いのだからもっとさらりと書けないものか。

  • 日本古来の単位というものは、すべて「人間中心」にできているということをだ 革命というものは必ず前代の支配者の血を要求するものなのである 現代の歴史学者が何と言おうと、古代日本史の分析には、すべての面に渡って「霊は存在する」という前提で動いていたことを、決して忘れてはならないのである 日本では古代から左(向かって右)の方が上位であり尊いことになっている 私は、卑弥呼は殺されたのだ、と確信している ヒミコは、太陽神信仰を定着させた故に、紀元248年の日食が命取りになり殺された 地名は「言葉の化石」と言われる 神武、崇神、応神の三人の天皇は共通していえることは、新王朝の始祖だということだ 第四章神功皇后編(252~315p)宇佐八幡神神託事件 祖先への信仰は、最も重要な信仰である ヒミコが大和朝廷の祖アマテラスであると主張している 宇佐神宮の比売大神はヒミコだ、とういう結論が出た

  • 出雲と宇佐の4拍手のくだりはゾッとするものがある。
    ワと怨霊信仰は確かに意識すればそこかしこにあるもので、日本人の根底にあるものではないかと感じるし、そのテーマ一貫で歴史を読み解いていくのは面白かった。

  • 若干言い回しがくどいが、内容は面白い。続きが読んでみたい。

  • 社会人になった頃、出張行ったりしたら週刊ポストを買って、この連載にはまっていたよな。

    シリーズでも、この時期のものが一番。

    というか、その後が飽きてきた。

  • ご存じ、週刊ポストに連載されたノンフィクションのノベライズ。正直、あまりにしつこい。日本歴史学会の三大弊害。「資料至上主義」「権威主義」「呪術的側面の無視」。とにかく話の継ぎ目にはこれが出てくる。言い過ぎ、主張しすぎ。
    まあ。それを除けば、読んでいて面白い。ノンフィクションと信じ込むよりフィクションと割り切れば極めて楽しい。

  • 「日本の歴史学の三大欠陥」と日本人の血の根底に流れる「わ」を解説。それを基に古代の日本を考察。

    学校で教わる程度の歴史知識しかない私には、面白い内容でした。
    だた、ちょっとくどかった。何回も何回も同じ内容を書いているのと、お偉方への批判を繰り返しているのがあまり良い気分で無かった。
    もっと素直に書いて頂ければ、もっと楽しく読めるのに。。。

  • 一気に読了。92年の作品なので若干、古さも感じる。しかし卓見だ。災異思想、天人相関説、怨霊信仰、為になった。卑弥呼殺害、天皇陵と朝鮮半島は圧巻である。

  • 作家が日本史をある観点から見直している本。日本と日本に関わる国についての見方、考え方に納得。著者も言うとおり今後古墳などの学術調査の結果のよってはまた大きく修正されるかもしれませんが。それはしたいいつになるのでしょうか?

  • 歴史学者には、『妄想』とか『想像力』っていうのが欠けてると思うのよね~
    資料ももちろん大切だけどね、それだけじゃぁ『ピントのズレた日本史』になっちゃうよねww



    『話し合い至上主義』は平和的だけど、談合とか悪癖も生んでしまった。。。
    長所と短所は本当に紙一重だねぇ…

    古代史はミステリアスだけど、確実に日本人のルーツなんだと興奮して読めました。

  • 実は、随分前から気になっていたタイトルの一つ。
    井沢氏の考察は、新鮮で面白く最後まで一気に読みきってしまいました。
    「倭」「卑弥呼」「邪馬台国」についての考察は、「なるほど!」と膝を叩いてしました。
    「卑弥呼」の死んだ時期まで解ると言うのも凄い。
    一つ一つの内容が面白く、まるでミステリーを読んでいるような感覚であったことも、一気に読んでしまった要因の一つだと思います。

    感想には、ネタバレを書きませんでした。
    読もうと思っている方は、ネタバレを読まずに読まれることをオススメします。
    そのほうが、読み進めるごとに驚きの展開を楽しめることと思います!

  • 伊沢氏の「逆説の日本史」第1巻配本である。伊沢氏の日本史に関する言説は早くから知っていた。非常に卓越した説だと思っていたが”週刊ホスト”に連載されたものが単行本化されるというので発売と同時に購入した。日本の歴史は宗教観なしには解明できない。

  • 逆説の日本史の第1巻。
    「わ」の心、卑弥呼のお話、とってもおもしろいです。

    あまり勉強してこなかった日本史が
    これを読んでよくわかるかと言ったらどうかと思うけど、
    それでも論理的にいろいろ書いてあるのでわかりやすくていいと思いました。

    先はけっこう長いけど、全部読みます。

  • 視点がいい。
    仮説に疑問を感じながら読むと楽しい。
    儒教と和の違いと怨霊信仰の考えは
    日本史に触れるさいにもっておきたい考え。

  • 出雲の大国主命と大和朝廷のアマテラスの関係,倭か大和の語源など,現在の一般的な考古学で常識とされている事柄に対し,敢えて逆説的なことを投げかけながらも,的を得ており,納得させられる部分が多々ある。また,伊沢氏の方が,小説好きにはたまらなくロマンもある。

  • 逆説の日本史シリーズ第一弾。当初は単行本で買っていた。

  • 井沢元彦の逆説の日本史シリーズを読んでみることにした。<br>
    日本の歴史について勉強したいと思い書店でいくつか本を眺めてみたのだが、この本が一番面白かった。<br>
    何が面白いって、井沢氏の考え方が面白い。いや、面白いと言うより、氏の考え方に共感したと言った方が良いかもしれない。<br>
    ひとつの見方にとらわれることなく(例えば何度も文中で批判している史料至上主義)、大胆に、しかし妙に説得力のある説は読んでいて退屈しない。<br>
    雑誌に連載されていたものが原板のようで、それが原因なのだと思うが、同じことが何度か繰り返し書かれていてクドい部分もあった。<br>
    しかし、それを差し引いて余りあるほどに楽しめた。<br>
    ただこのシリーズだけ読んで歴史を学んだ気になってはいけないと思う。<br>
    これは井沢氏の仮説に過ぎず、他の説や正史にも目を通し、自分なりの歴史観を構築する必要はあるだろう。

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封印された「倭」の謎 (逆説の日本史)の作品紹介

「倭」から「和」への転換、これは一体どうして行なわれたのだろうか。つまり「ワ」とは「輪」であり「環」なのだ。倭とは実は「環」であり、古代日本人は、集落のことを「環」と呼んでいた。「わ」の精神と怨霊信仰で読み解く古代史最大の謎。

封印された「倭」の謎 (逆説の日本史)はこんな本です

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