- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093796286
作品紹介・あらすじ
頭取を断罪せよ―乱歩賞作家によるリアリティあふれる銀行ミステリー
「負け組」と言われる東京第一銀行の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みに遭っていた。ただでさえ業務多忙のうえ、エリート意識が強く本部の意向を第一に考えて動く支店長とも対立し、毎日のように遅くまで残業、最後に支店を出る「最終退行」の常連でもあった。バブル期の経営責任もとらず、公的資金に頼りながら、なおも会長として院政を敷く元頭取、その会長に意趣返しをしようと策謀を巡らすリストラに遭った行員との攻防。銀行ぐるみの不正の匂いをかぎつけた副支店長は、ついに反旗を翻す。 攻守ところを変えるスリリングなドラマから現代サラリーマン社会の構造的欠陥を浮き彫りにする。
感想・レビュー・書評
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胸が悪くなるような銀行の内情と腐敗を描きつつ、そこに残る僅かな矜持が立ち向かうという構図。序盤に物足りなさを感じたものの、後半は楽しめました。
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最終退行
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銀行の腐敗に立ち向かう銀行マンの物語。
序章
第一章 傾斜
第二章 旋回
第三章 退職
第四章 乱数
第五章 貸し剥がし
第六章 出向辞令
第七章 裏帳簿
最終章 最終退行
組織に忠実であった東京第一銀行羽田支店副支店長・蓮沼鶏二は、組織に反旗を翻した部下の退職や、支店長の執拗ないびりをきっかけに銀行マンとしての人生に疑問を呈していく。
不透明な金の流れを調査していくうちに、バブル期に過剰な投資をし、不良債権を生み出してもまだ私利私欲を肥やそうとする会長・久遠の陰謀の影を認めた蓮沼。
同時に終戦間際に埋蔵されたといわれるM資金をタネに、久遠に詐欺を働きかける退職した銀行マンと怪しい海洋開発会社。
それを逆手にとろうとする久遠。
腐敗した銀行はつぶれてしまうのか!?
レビューで表しにくいほど話が複雑で、前半は少々疲れましたが、最後は正義を信じている自分がいました。 -
銀行は人事で行員を支配している。企業には、晴れている時に傘をさし、雨が降れば傘を取る。ずっと支店勤務をしてきた行員が、義憤にかられ、私利私欲に取り付かれたエリート頭取に挑戦する。このパターンは池井戸潤に多いな。
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2016/10/12 No.23
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池井戸潤の初期の頃の作品で、銀行を舞台にした王道の金融ミステリー。池井戸潤お得意の勧善懲悪を基本としたストーリーではあるが、主人公が完全に善ではなく、不倫もし、迷いのある等身大の人物として描かれている。支店長や人事部の横暴の描写は、流石に本当の銀行はここまで酷くないだろうと思うほど非人道的で、読んでいてムカムカしたが、最後はスッキリできた。ただ、登場人物の掘り下げが不十分など、後年の池井戸作品に比べると、ちょっと盛り上がりに欠ける気がするのは否めない。
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勧善懲悪ストーリーで最後は正義が勝つ。実社会もこうあって欲しいと思う。蓮沼副支店長、最高!半沢直樹シリーズに近い内容だった。2015年ラストに読んだ本。
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著者得意の銀行ものでそこにM資金が絡んでくるという物語、半沢直樹のようにアップダウンが激しく、やられたらやり返すものではなく、当初はヤラレっぱなしでイライラさせられる。結局正義は勝つ式で終局するのだが、公的資金をつぎ込まれながら反省しない銀行の姿を批判した物語になっている。銀行員は悪人だらけということか?著者の小説が有名になってから銀行を就職希望する学生は減ったんじゃないだろうか。
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おもしろかったー!!
実際はこうはうまくいかないんだろうけど、相変わらず読んでいて引き込まれる。