空白の叫び 上

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著者 : 貫井徳郎
  • 小学館 (2006年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797290

空白の叫び 上の感想・レビュー・書評

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  • 殺人を犯した3人の中学生。
    凡庸であることを酷く嫌悪し怖れ、新しく着任した非常勤の女性教師を憎みながらもその体に溺れ、殺した工藤。
    家柄もよく、秀でた容姿と頭脳を持ち、対人関係だって常にクール。しかし、幼馴染との関係だけは冷静に築けず殺してしまった葛城。
    母に捨てられ、祖母と叔母の下でそれなりに平穏に暮らしていたのに、祖母の死、その後の遺産争いから発した母親の卑劣な行為を許せず、母親を焼き殺した神原。

    第一部 胎動では、この3人が殺人を犯すことになった経緯が。
    第二部 接触では、同じ少年院へ入院した3人の過酷な生活、そして、3人の出会いが語られる。

    正直、読んでいてすごく苦しい。稚拙なことしか言えないけれど、やっぱり殺してはいけなかった。
    少年たちの目線で書かれていることもあって、葛城と神原だったら、殺してさえいなければ、相手の方が何倍も卑らしい人間だったのに…なんて思ってしまう。工藤にしたって、小狡くて陰湿でそりゃもう嫌な奴だけど、柏木にさえ出会わなければ…と思ってしまう。誰よりも理解できなかったのは柏木だから。
    でも、そこまで彼女を壊した、あるいは彼女の何かを目覚めさせたのは工藤なのだから因果応報というやつか…。
    結果として彼女は一番効果的な復讐を果たしたのかもしれない。

    第一部でも十分にキツかったのに、第二部の院生たちの陰湿なイジメの描写はさらにキツイ。これからどうなってしまうんだろう…と苦しいのに気になって目が離せない。

  • テーマソングはTHE BACK HORNの「扉」。読後聴くと心臓痛い。「告白(湊かなえ)」で読後感が最悪って言ってる方には是非読んでほしい。最悪、というより、やりきれなさと悲しさが胸に溜まる。少なくとも3日は消えないと思う。「永遠の仔」を読んだ後以来の虚無感。
    以下下巻のネタバレもあり。
    久藤美也、葛城拓馬、神原尚彦。1人1人のキャラクターがしっかりしていて、各自の心の動きや自分なりの定義なども不自然ではなく物語に(感情移入ということではなく客観的にだけども)入り込めた。胎動→接触の流れも良かったし、そこからの発動もボリューム満点だった。
    久藤は完全なる悪党とは言えない。でも瘴気に取り込まれないように適度に心を開くべきだった。水嶋も、下巻で良い味を出したと思う。
    葛城みたいな人が周りにいたら、その徹底された人格を少し崩すぐらいに近づいてみたい、なんて思ったけど実際いたら怯んじゃうのかな。途中で壊れたのは当然だったのかな。
    全編を読み終えた後、神原……尚くんの部分だけ「ぼく」という一人称だったのはこういうわけだったのかと思った。この子が一番変化があって、それも悪い方へ悪い方へ、なのに本人はいたって無邪気。その崩壊の過程は一人称の方がわかりやすいし気味が悪い。
    上下巻を読み終わって。
    3人は殺人犯だし、自分達の罪を心から"反省"はしていない。それでも彼らに少しでも良い結末を、と思っていたら……そりゃそうだよねと言う感じ。尚くんが死んだ時は「やっぱり」と目をギュッとつぶってしまった。久藤もこれから、幸せにはならなくていいから、少なくともひとりの人間として生きていってほしい。葛城の、実は英之と、というのは予想がついていたから衝撃は少なかった。彼はきっと生きていけるんだろうな。瘴気のことばかり考えることは少なくなるんだろう。
    ところで本当の終わりに佳津音が出てきたのは、読んでいる時はそうでもないが、後々、秀逸だったなあと思えてきた。最後の台詞にいたっては「よく読者の気持ちをわかっていますねー」と皮肉をこめて言いたくなるぐらい。
    少年をテーマにしているにしても、結局は大人の行動がその影、瘴気を生みだし育ててしまったも同然。3人のことを責められず、寧ろ辛い目に遭ったら胸が痛くなったのは、3人も被害者だからだろうか。

    「永遠の仔」と同じで、いつか絶対再読したいけれど、今すぐに読み返す気力がない。しばらくはこの虚無のような余韻が残っているだろうし。いやあ、すごい作品だった。

  • 3人の14歳の殺人者。
    自分の容姿の悪さや中学時代にいじめられていた過去にとらわれている久藤美也は肉体関係を持ってしまった女性教師を、医師の家に生まれ並外れた頭脳と容姿を持つ葛城拓馬は幼なじみを、奔放な母親が育児放棄をし祖母と叔母に育てられた神原尚彦は母親を殺した。
    3人は少年院で出会い、卒院後に再会する。
    3人は無事更生することができるのだろうか。
    あるいは更生せずとも別の世界を切り開くことができるのか。
    って感じのお話だ。

    とにかく重い、つらい、救いがない。
    「少年院は罪を償う場所ではなく、更生させる場所である」という記述がたびたび出てくる。
    「罰を受けたい=生きることに救いを見出せない」少年たちにとって、卒院後の世界はさらにつらいものになっていく。
    そして、自分の瘴気を持て余す彼らは、「植物のようになりたい」と願うのだった。
    なににも動じない心を持ちたいと。

    この3人の少年、まったく違ったキャラクターなのだが、共通点はふたつ。
    自分の犯した罪を後悔していないところ。
    罪の原因は被害者にあるということを疑っていないところ。
    絶望しきっていて、「自分はひとりで生きていかねば」と思っている一方で、理解されたがってもいる。
    人間って本当に複雑だ。

    結末をまったく逆方向に持っていってもおもしろかったかも。

  • 【頭脳、容姿、経済、すべてに恵まれながらガンプラ作り以外に熱中しない拓馬。
    腕力に秀で他者の干渉を拒む美也。
    父を知らず祖母と叔母に育てられたおとなしい尚彦。3人の中学生はなぜ人を殺したのか?彼らが少年院で出会った時、新たな運命が動き出す】

    上巻は彼らが人を殺すまでの過程と少年院での生活です。
    なかなか面白くてすぐ惹きこまれました。
    上巻を読み終えて早く下巻を読みたいっっ!と思いました。

  • 三者三様、全く違う家庭環境の中学生たちが、それぞれまさかの殺人を犯してしまう。
    なぜ彼らが殺人者となってしまったのか、そこに焦点を当てる第一部。全く理解しえないのだけれど、追い詰められてしまった経緯はどこか納得してしまう部分も。
    第2部は閉ざされた世界ならではの少年院。そこにも絶対的な力関係が存在し、壊れて行く心。同じ中学生同士と言うことで、ひそかに繋がりを求める。
    中々、壮絶な小説です。

  • ((;゚;Д;゚;))三

  • 退屈な日常の中で飼いならしえぬ瘴気を溜め続ける久藤。
    恵まれた頭脳と容姿を持ちながら、生きる現実感が乏しい葛城。
    複雑な家庭環境ゆえ、孤独な日々を送る神原。
    世間への違和感を抱える三人の少年たちは、どこへ向かうのか。
    少年犯罪をテーマに中学生たちの心の軌跡を描き切ったミステリー長編。

  • 生きるって難しい
    と思わせられる・・・。

  • 3人の中学生の少年が殺人を犯してしまうまで、少年院で巡り会う、少年院を出て来てからの3部作になっている。中学生の子供は子供の部分もあり大人もビックリするぐらい大人な面もある。その部分を3人の個性も生かしながら、上手く物語にはめて行ってた。事実でないことを祈る重い内容でした。

  • 重っ!(内容も物理的にも)
    感想は下巻でまとめて
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/12187896.html

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