空白の叫び 上

著者 :
  • 小学館
3.82
  • (71)
  • (102)
  • (93)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 539
感想 : 97
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797290

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 3人の少年が殺人を犯して少年院に入る話。
    罪を犯すまでのそれぞれの心境が細かく描写されているので、病んでるな…と思ったり、これはしょうがないかな…と思ったりしながら長い前半を読み進める。
    葛城くんと久藤くんはわかりやすいのだけど、一見真面目で素直な神崎くんが、自分でも気づいていない闇をかかえ、罪を犯したことを全く悪いと思っていないところが不気味。保身のために他人に頼るところなど、幼稚な面もあるが、計画的に母親を殺しているところをみると、この子が1番サイコパスなんじゃ?と思ってしまう。

  • 序盤は主人公入れ替わり立ち替わりで読みにくい印象。

    事件が起きてから、またその書き方に慣れてからか、読む手が止まらなくなる。

    それにしても、どうしてこの人の話は救いがないのに引き込まれてしまうのか。

    これから下巻を愛でてきます。

  • 面白い!心に闇を抱えた三人の中学生。長編ならではの大きな熱量を感じる。さて下巻へ。

  • 少年犯罪についての本は、周りの大人達や被害者側の視点から書かれることが多いが、これは当事者達からの視点のみ。

    葛城、神原と違って家庭環境に大きな問題がないのに日々瘴気をためている久藤のようなタイプが一番怖いと思ってよんでいたが、結局全員怖い´д` ;

    わかりやすい不良なわけではないだけに余計に。

    刑務所のくだりが辛すぎて暗い気持ちになりながら読んでいた。

  • 凡庸の日々を憎み『瘴気』を体のうちに溜め込む久藤と、才能・美貌・親の金銭的余裕を持ちながらも周りを俯瞰して見ることに慣れた葛城。親戚に預けられ実母に嫌悪感を感じ孤独を感を募らせる神原。さまざまな事情を抱え、中学生という若年でありながら人を殺めた3人。上巻では犯行に至った経緯と、少年院での生活が描かれています。
    読んでいて感じたことは、登場人物の心の変化とともに文体が絶妙に変化していること。
    物語序盤、久藤は平凡な生活に不満をもつ典型的な思春期の男の子だな、というイメージでした。何かと自分がどう思うか、どう感じるか、とにかく自分の視点だけで物事を考え、周囲の人の気持ちを踏まえることが希薄であるように感じます。事件前までは久藤の章が多かったのですが、少年院入所後は言動・思想が激変し、久藤目線の章自体が少なくなっており、何を考えているのか少し不気味な印象を受けます。
    葛城に関しては事件以降、世間を俯瞰して見ることに拍車がかかったように見受けられます。最初こそ世間を斜めに見ながらも一人称で葛城の気持ちにふれることができるものの、入所後はほとんど三人称に近い文体で周囲がどう感じるかを予測立てて機械的に処理していく感じがしました。
    また、神原に関しては上巻の終盤で大きな心の変化があり、何かが動き出しそうな気配が。少年院卒院が物語の終わりを締めくくると予想していますが、そこにどのような付加価値を添えるのか。この作者の本を読むのは初めてですのでラストを読むのが楽しみです。

  • 三者三様、全く違う家庭環境の中学生たちが、それぞれまさかの殺人を犯してしまう。
    なぜ彼らが殺人者となってしまったのか、そこに焦点を当てる第一部。全く理解しえないのだけれど、追い詰められてしまった経緯はどこか納得してしまう部分も。
    第2部は閉ざされた世界ならではの少年院。そこにも絶対的な力関係が存在し、壊れて行く心。同じ中学生同士と言うことで、ひそかに繋がりを求める。
    中々、壮絶な小説です。

  • ((;゚;Д;゚;))三

  • 退屈な日常の中で飼いならしえぬ瘴気を溜め続ける久藤。
    恵まれた頭脳と容姿を持ちながら、生きる現実感が乏しい葛城。
    複雑な家庭環境ゆえ、孤独な日々を送る神原。
    世間への違和感を抱える三人の少年たちは、どこへ向かうのか。
    少年犯罪をテーマに中学生たちの心の軌跡を描き切ったミステリー長編。

  • 生きるって難しい
    と思わせられる・・・。

全97件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

貫井徳郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×