空白の叫び 下

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著者 : 貫井徳郎
  • 小学館 (2006年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797306

空白の叫び 下の感想・レビュー・書評

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  • 第三部 発動
    何とか無事に少年院を退院した3人の少年たち。しかし、社会はそんなに彼らに優しくない。
    次々と社会から排除される少年たち。
    そして、再会した3人はそれぞれの事情から金が必要になり、銀行強盗をすることになる。

    神原の変化がすごかった。
    弱いくせに狡猾で悪事を楽しめる人間になってしまった。
    葛城に言わせるなら工藤や葛城が必死で抑えようとしていた瘴気を神原は楽しんでいた。その覚悟もないのに。
    そして呑み込まれた。
    最後までズルい奴だった。

    作中で何回か言われる「社会は、少年たちの更生なんて望んでいない」
    厳しいようだけどその通りだと思う。

  • 少年院から出所した三人の少年、葛城、久藤、神原。
    三人は家族から見放され、進学を諦めて、接点をもたずそれぞれに生活していた。
    しかし、その生活を脅かす影が忍び寄る。
    三人を脅迫する人間は社会的正義を振りかざす人間か?
    それともかつて三人が罪に服すこととなった、犯罪の被害者なのか?
    そして、その人間は同一人物なのか?
    やがて三人はある共通の目的をもつこととなり、それが三人を再び引き寄せあう。
    その共通の目的とは「金」を得ること。
    そして、彼らは破滅を予感させる道をつき進むことに-。

    ストーリーが進む毎に三人の少年の印象が変わっていく。
    ただの暴力的で愚かな少年かと思われた久藤は自分なりの美学らしきものをもち諦観した少年だとイメージが変わっていく。
    葛城は完璧で冷静な少年かと思われたが、正義感が強く一本気で純粋な少年に。
    神原は三人の中ではちょっと子供っぽく普通の少年だが、残忍で卑怯な面が露わになってくる。
    それは彼らを取り囲む状況の変化がそうさせたのか、それとも元々の性格が発露した結果なのか・・・。

    下巻の後半部分は目を離すことができなくなり一気に読みました。
    ストーリーをそのまま追うだけでも緊迫感があり、面白いと思いますが、それならラストは物足りないと思うかも。
    多分、この話は読む人によってそれぞれ感じる事が違うだろうと思います。
    実際、私も読んでいる最中、そして読み終えてから頭がめまぐるしく回転しました。

    生きるのはつらいこと。
    この物語の登場人物たちはそのつらい時を、仮面をかぶったり、感情を押し殺したり、諦観したり、欲望に身を任せて、それぞれに生きている。
    どれが正しいとか間違ってるなんてない。
    そして、どこにいようと、自分らしくいられない時、魂を押し殺している時が人生の「空白」ではないか。
    その誰かのあまりにも長い空白の叫びが少年たちの空白の叫びを生んでしまった。
    そんな風に思いました。

    個人的に、この物語ではちょっとした脇役が印象的でした。
    彼は真実の自分を見せず、軽薄に生きている。
    彼の言葉から人生は戦うか、逃げるか、しかないのだと思いました。
    やり過ごすこともできるが、そうするとその問題はまた姿を変えて目の前に必ず表れる。
    『現実ってのは辛いもんだよ、久藤ちゃん。多かれ少なかれ、みんな辛い中を生きてるんだ。自分だけが不幸なんて思ってるうちは、まだ幸せなんじゃないの?』
    これが十五歳の言葉でしょうか。
    こんな言葉を言う人間は一番手ごわい。
    絶対に敵にしたくない人間だと思いました。

  • 瘴気と嫉妬と更正の話。少年院を出てそれぞれの生き方を模索するも、看過してもらえない少年たち。葛城と久藤のコンビが好き。久藤の過去に強い影響を残した浜本未央はその内登場するのではと考えていたのだが、そんなことはなかった。結局、尚彦の叔母が何故か網走の住所に宛てて書いた手紙は宗像関連の話だったということでいいのか。内に育つ瘴気を力と勘違いしてどんどん暗い方へと突き進んでいく神原尚彦はある意味一番可哀想な奴かもしれない。最後の雨宮佳津音の叫びが作品の題名とも重なって痛ましい

  • 読後感の悪さといったら……!
    この中で一番性質が悪かったのは、やっぱり神原だったのかなあ、と思います。
    一番マトモに見えて一番ずるく、変な感じになってしまったんだろうなあ、と。そもそもの殺人の動機が、よかれと思ってやっているからですね。
    しかし、最後彼女がかわいそうだったな。
    本来なら美談で終わりそうなものを、葛城との絡みにより「騙された子」みたいな扱いになってしまっているあたりが憎い演出ではありましたけど。
    久藤はマトモになった、とはまた違っていましたが、悟りを開いている幹事はありましたね。
    最後の最後ではすべてを受け入れている風情でもあり、純粋ではないにしろ、軽くでも待ってくれている人、が居ることにちょっとした安堵を覚えていたように思います。
    そして、葛城。葛城はなー、正直一番良い感じの人生をこの後送れたんじゃないか?と思えました。
    父親との和解は難しいでしょうが、それでも再度捕まることもなく、安寧に人生を終えそうな気がします。
    まあ、それが幸せか如何かとなると、別次元の話にはなりますけど。

  • 少年院を出た後を描く下巻。
    これまでは同じ少年院にいたと言うことだけが接点だった三人に予想外のつながりが。
    そしてまさかの銀行強盗、現実味が無いような特徴的な登場人物たちと、一見荒唐無稽の設定にも思えたけれど、自分の居場所を探し求める少年たちの複雑で繊細な思いが見事に描かれていたように思います。

  • っ☉ω☉)っ

  • 社会復帰後も失意の中にいた久藤は、友人水嶋の提案で、銀行強盗を計画し、神原と葛城にも協力を依頼する。
    三人は、神原の提案で少年院時代の知り合いである米山と黒沢にも協力を依頼する。
    三人の迷える魂の彷徨の果てにあるものとは?
    ミステリーで社会に一石を投じる著者の真骨頂と言える金字塔的傑作。

  • この終わり方で
    いいのか・・・。
    不完全燃焼★

  • 3人の少年の生い立ちから始まって、まだ短い人生なのに生きて来た過程が辛くて悲しくなってしまった。こんな中で誰か普通に温かさを持った大人が1人でもいて、そんな大人と出会っていたらまた3人の人生は違ったものになってたのに。そういう大人でいたいな。

  • 少年法改正前の作品なので、厳罰化に向かった現在が正しかったのか、現実にも問いかけられている気がした。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/12187896.html

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