空白の叫び 下

  • 386人登録
  • 3.79評価
    • (55)
    • (80)
    • (84)
    • (5)
    • (3)
  • 79レビュー
著者 : 貫井徳郎
  • 小学館 (2006年8月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797306

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

空白の叫び 下の感想・レビュー・書評

  • 第三部 発動
    何とか無事に少年院を退院した3人の少年たち。しかし、社会はそんなに彼らに優しくない。
    次々と社会から排除される少年たち。
    そして、再会した3人はそれぞれの事情から金が必要になり、銀行強盗をすることになる。

    神原の変化がすごかった。
    弱いくせに狡猾で悪事を楽しめる人間になってしまった。
    葛城に言わせるなら工藤や葛城が必死で抑えようとしていた瘴気を神原は楽しんでいた。その覚悟もないのに。
    そして呑み込まれた。
    最後までズルい奴だった。

    作中で何回か言われる「社会は、少年たちの更生なんて望んでいない」
    厳しいようだけどその通りだと思う。

  • 少年院から出所した三人の少年、葛城、久藤、神原。
    三人は家族から見放され、進学を諦めて、接点をもたずそれぞれに生活していた。
    しかし、その生活を脅かす影が忍び寄る。
    三人を脅迫する人間は社会的正義を振りかざす人間か?
    それともかつて三人が罪に服すこととなった、犯罪の被害者なのか?
    そして、その人間は同一人物なのか?
    やがて三人はある共通の目的をもつこととなり、それが三人を再び引き寄せあう。
    その共通の目的とは「金」を得ること。
    そして、彼らは破滅を予感させる道をつき進むことに-。

    ストーリーが進む毎に三人の少年の印象が変わっていく。
    ただの暴力的で愚かな少年かと思われた久藤は自分なりの美学らしきものをもち諦観した少年だとイメージが変わっていく。
    葛城は完璧で冷静な少年かと思われたが、正義感が強く一本気で純粋な少年に。
    神原は三人の中ではちょっと子供っぽく普通の少年だが、残忍で卑怯な面が露わになってくる。
    それは彼らを取り囲む状況の変化がそうさせたのか、それとも元々の性格が発露した結果なのか・・・。

    下巻の後半部分は目を離すことができなくなり一気に読みました。
    ストーリーをそのまま追うだけでも緊迫感があり、面白いと思いますが、それならラストは物足りないと思うかも。
    多分、この話は読む人によってそれぞれ感じる事が違うだろうと思います。
    実際、私も読んでいる最中、そして読み終えてから頭がめまぐるしく回転しました。

    生きるのはつらいこと。
    この物語の登場人物たちはそのつらい時を、仮面をかぶったり、感情を押し殺したり、諦観したり、欲望に身を任せて、それぞれに生きている。
    どれが正しいとか間違ってるなんてない。
    そして、どこにいようと、自分らしくいられない時、魂を押し殺している時が人生の「空白」ではないか。
    その誰かのあまりにも長い空白の叫びが少年たちの空白の叫びを生んでしまった。
    そんな風に思いました。

    個人的に、この物語ではちょっとした脇役が印象的でした。
    彼は真実の自分を見せず、軽薄に生きている。
    彼の言葉から人生は戦うか、逃げるか、しかないのだと思いました。
    やり過ごすこともできるが、そうするとその問題はまた姿を変えて目の前に必ず表れる。
    『現実ってのは辛いもんだよ、久藤ちゃん。多かれ少なかれ、みんな辛い中を生きてるんだ。自分だけが不幸なんて思ってるうちは、まだ幸せなんじゃないの?』
    これが十五歳の言葉でしょうか。
    こんな言葉を言う人間は一番手ごわい。
    絶対に敵にしたくない人間だと思いました。

  • 瘴気と嫉妬と更正の話。少年院を出てそれぞれの生き方を模索するも、看過してもらえない少年たち。葛城と久藤のコンビが好き。久藤の過去に強い影響を残した浜本未央はその内登場するのではと考えていたのだが、そんなことはなかった。結局、尚彦の叔母が何故か網走の住所に宛てて書いた手紙は宗像関連の話だったということでいいのか。内に育つ瘴気を力と勘違いしてどんどん暗い方へと突き進んでいく神原尚彦はある意味一番可哀想な奴かもしれない。最後の雨宮佳津音の叫びが作品の題名とも重なって痛ましい

  • 読後感の悪さといったら……!
    この中で一番性質が悪かったのは、やっぱり神原だったのかなあ、と思います。
    一番マトモに見えて一番ずるく、変な感じになってしまったんだろうなあ、と。そもそもの殺人の動機が、よかれと思ってやっているからですね。
    しかし、最後彼女がかわいそうだったな。
    本来なら美談で終わりそうなものを、葛城との絡みにより「騙された子」みたいな扱いになってしまっているあたりが憎い演出ではありましたけど。
    久藤はマトモになった、とはまた違っていましたが、悟りを開いている幹事はありましたね。
    最後の最後ではすべてを受け入れている風情でもあり、純粋ではないにしろ、軽くでも待ってくれている人、が居ることにちょっとした安堵を覚えていたように思います。
    そして、葛城。葛城はなー、正直一番良い感じの人生をこの後送れたんじゃないか?と思えました。
    父親との和解は難しいでしょうが、それでも再度捕まることもなく、安寧に人生を終えそうな気がします。
    まあ、それが幸せか如何かとなると、別次元の話にはなりますけど。

  • 少年院を出た後を描く下巻。
    これまでは同じ少年院にいたと言うことだけが接点だった三人に予想外のつながりが。
    そしてまさかの銀行強盗、現実味が無いような特徴的な登場人物たちと、一見荒唐無稽の設定にも思えたけれど、自分の居場所を探し求める少年たちの複雑で繊細な思いが見事に描かれていたように思います。

  • 社会復帰後も失意の中にいた久藤は、友人水嶋の提案で、銀行強盗を計画し、神原と葛城にも協力を依頼する。
    三人は、神原の提案で少年院時代の知り合いである米山と黒沢にも協力を依頼する。
    三人の迷える魂の彷徨の果てにあるものとは?
    ミステリーで社会に一石を投じる著者の真骨頂と言える金字塔的傑作。

  • この終わり方で
    いいのか・・・。
    不完全燃焼★

  • 3人の少年の生い立ちから始まって、まだ短い人生なのに生きて来た過程が辛くて悲しくなってしまった。こんな中で誰か普通に温かさを持った大人が1人でもいて、そんな大人と出会っていたらまた3人の人生は違ったものになってたのに。そういう大人でいたいな。

  • 少年法改正前の作品なので、厳罰化に向かった現在が正しかったのか、現実にも問いかけられている気がした。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/12187896.html

  • 内容紹介
    少年院を出た彼は本当に更正できたのか

    久藤美也は自分の容姿や頭脳が凡庸なことを嫌悪している。頭脳は明晰、経済的にも容姿にも恵まれている葛城拓馬だが、決して奢ることもなく常に冷静で淡々としている。神原尚彦は両親との縁が薄く、自分の境遇を不公平と感じている。〈上巻〉第一部ではこの3人の中学生が殺人者になるまでを、その内面を克明にたどりながら描く。その3人が同じ少年院に収容されて出会うのが第二部。過酷で陰湿な仕打ちで心が壊されていく中、3人の間には不思議な連帯感が生まれる。〈下巻〉第三部。少年院を退院した彼らはそれぞれ自分の生活を取り戻そうとするが、周囲の目は冷たく、徐々に行き場をなくしていく。そして、再び3人が出会う日がくる。 少年犯罪を少年の視点から描いた、新機軸のクライムノベル。

  • 図書館にて借りました。
    面白かったー!!!

    上巻は、犯行に至るまで→逮捕→少年院でしたが、下巻は出所→その後の生活になってます。

    いやはや、なるほどそれで銀行強盗ね。
    全てが終わってみれば、大人の身勝手に振り回された少年達、て感じ。
    上巻では動機はあれど、短絡的思考からくる犯行とも読めたけど、読みきるとまた違う。
    変化といえば、神原が一番怖い。
    ひとりだけ一人称の「ぼく」となって話は進んでいたが、そのせいか最後にはなるぼど!
    本当に少年院で色んな事を学んできたんだね、て感じ。
    口調と思考はお子様丸出しなのに、やることがえぐ過ぎる。
    特に黒澤の勤めてる店に嫌がらせしたり、ビラを貼ったり、佳津音ちゃんが電話してきたら、「ち、こんなときに」といった今までにない扱い。そして佳津音ちゃんが素直になってくれるなら邪険にする気はない、と云う思考。
    ただひと言、怖い。
    なので、最後のボコボコは自業自得じゃないの?と、云いたいかな。
    しかし、こうなったのも叔母の丹波への貢ぎ愛も影響があると思うとまともな大人って神原の周りは皆無だな。
    貢ぐなら自分の分までにしといたら良かったのに。
    あれは呆れました。レトルトのハンバーグとかっちかちのステーキでお祝いしといて、使っちゃったの、だから一緒に暮らさない?は同じ大人として恥ずかしい。

    本当に大人の嫌な面を突きつけられた作品でした。
    その後も読みたいような、読みたくないような・・・。

    個人的には葛城くんがツボでした。
    彩との出逢いは確かに葛城君に影響を与えた。
    人はやはり、ひとりでは生きられないんだと思いました。
    あの出逢いを拒否していたらきっと、植物のようになれたかも・・・。

  • あれこれ邪推してしまいましたが、まさかの連続でした。
    すべての文章がラストへの伏線になっているような感覚。
    読んでいて面白かったです。

    神原くんみたいに斜め読みしてると危険ですよ。(笑)

  • 読み応えがありました。下巻は新たな展開があり、それまで点だったものが繋がって行くのに引き込まれました。少年たちのの内面の書き方が緻密で深いなぁと。こうであればいいなという希望のようなものは、ことごとく潰されていく。どんな理由があれ、人を殺めるという事は、人生をぐにゃりと変えてしまうわけで、言い訳なんか通用しないと。読後感は重いです。

  • 上巻と同様にもやもやとした終わり方でした。
    結局誰も救われることなく。いきなり本を買わないで図書館で借りてよかった。

  • 上巻では三人の少年が犯罪を犯して、少年院に収監され、そこでの生活を描いているのだが、少年の心理描写や少年院でのリアルな風景は、ページをめくる手を早める。
    しかし、下巻になると失速・・・。少年院を出た後の少年たちが再び犯罪に手を染めるまでを描いているのだが、必要でないと思われる人物も出てきたりして、話も冗長。
    期待して読んだだけに残念。
    まぁ、水準以上の出来栄えだとは思うが・・・。

  • 貫井さん、容赦がない。

    あらすじ:
    中学生の少年、凡庸を厭い苛立ちを抑えられない久藤・大富豪の子息で他者から完璧に見られる葛城・両親がいない慎ましやかな生活をする神原。何も接点が無い三人だが、それぞれが起こした事件によって、接触が生まれる。決して仲間や同士ではない存在。信頼もしてなければ嫌うことも無い。だが、三人は少年犯罪――それも凶悪犯罪の受刑者として結びついてしまった。


    冒頭容赦が無いと言ったのは、望んでいたものからは取り上げ、望まないものにそれを与える、という徹底した貫井さんの姿勢についての感想だ。ねたばれになるから曖昧にしか書けないけれど、上巻の少年院に入ってからラストまで、残酷なまでに厳しかった。「殺人症候群」を書ききっただけある。厳しいきびしい。
    はじめ、三人の中で一番好意から遠かった久藤。それが下巻からはもっとも理解しやすいキャラになった。いかにも、な完璧キャラ葛城。彼は名状しがたいんだな。自己完結しすぎというか・・・。それが徹底している。かなりきつい体験を舌のにもかかわらず結局落ち着き払っている姿なんて特に。そして神原。一番わかりやすいと思った少年。かれの「欲」の部分はね、やっぱり理解できてしまうんだなあ。
    少年院のくだりは「ショーシャンクの空」を思い出してしまった。だからこそ、あんなふうに話が進むのかな、と思っていたら・・・。うん、厳しい。

    読み出した当初、子供たちが病院の手違いか何かの陰謀で入れ替わってしまう話だと思っていたのだけれど。むー、貫井さんだわ。

  • 下巻は院を出た後に再び3人の少年が出会い犯罪に再び手を染める。上巻に比べるとエンターテイメント性がありテンポ良く進む。神原の印象がガラリと変わって行くのが興味深い。弱くて狡くて卑怯で。ムカつくんだけど、いちばん心に刺さる。先生の父親の話がいまいち心に響かないのは主人公に感情移入させられたからか。彼の最後に安心して少しホッとした。上巻で先の見えない重苦しさにどっぷり浸り、下巻でその気持ちもそれぞれの道に分散され、思ってたより後味は悪くなかった。でも上巻に力強い熱があっただけに、銀行強盗のとこや瀬田の印象が少し軽かったのが物足りなく感じた。

  • 少年犯罪の加害者側からの話。

    三人の主人公を取り巻く環境、犯罪、少年院、その後の生活・・・
    骨組みがしっかりしている。

    特に興味を持ったのが主人公が抱える”瘴気”
    (主人公の一人が瘴気と名付けた黒い感情)
    瘴気とは何か、どこから来るのか、それに打ち克つには?
    つい答えを求めてしまった。
    教えてほしい。私が抱える瘴気もどうすればいいんだろう。

    主人公たちの転がるように転落していく様はリアルで、
    一回垣根を越えてしまった後の世界を教えてくれる。

  • とにかく上下とも合わせて重くて長かった~。
    なんとか読み切ったよ。
    なんとも救いのない感じがあるが当たり前かもしれない。
    未成年とはいえ殺人を犯した人間が
    まっとうな暮らしをしていくのはかなり難しいっていうのが
    ひしひしと伝わってくる。

  • 上下巻を読み終わっての感想です。

    「乱反射」・「慟哭」と読んでの3冊目の著者の作品。読後の遣り切れなさは共通しています。

    上巻、主人公3人のそれぞれの物語は、それだけで1作品にしても良かったんじゃないかと思えるほど作りこまれているように思えました。全くの平凡な自分から見て、3人の辛い境遇やその運命には共感できるはずがないのに、それぞれに感情移入してしまいました。
    ちゃんと伏線の回収などもあり、畳み掛けるような後半への展開は小説としても面白かったです。

  • ラストのオチもいい!
    やっぱり小説ってラストも重要なのだ

  • 久々に長い話しをいっき読み。
    中学生男子の衝動というか、熱気、狂気を感じつつ、どこかで3人とも正気で、その正義はまちがっていないのでは?と感情移入させられる文章に完敗。
    面白かった!

  • 卒院後のお話。上巻は苦しくて重々しかったんだけど、下巻になり、銀行強盗の話が出てから、エンターテイメント性は増したんだけど、少しテイストが変わった感じがして残念。瀬田との関わりがしっくりこず・・

全79件中 1 - 25件を表示

空白の叫び 下を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

空白の叫び 下を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする