海峡のアリア

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797450

作品紹介・あらすじ

北朝鮮で金日成を前にアリアを歌い、韓国では日本の歌を禁じられた「海峡を越えた歌姫」。その衝撃の半生が初めて明かされる。2006年「小学館ノンフィクション大賞」優秀賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 在日コリアンのソプラノ歌手・田月仙さんの半生記。在日コリアンの年代史を読むと必ずといっていいほど、身内や知人が楽園を目指してだったり祖国建設に一役買おうと北朝鮮に「帰還」したものの、前宣伝とはまったく異なる状況を知らされ苦しんだことが書かれており、この本でも月仙さんの兄弟のことが書かれていた。ほんと、在日コリアンの人たちって過酷ななかを生きている。
    北朝鮮で歌ったり、韓国で歌ったりしてきた月仙さんだけど、北朝鮮で歌ったときのことより、ソウルの芸術の殿堂で「夜明けのうた」を歌えるかどうかという顛末のほうがドキドキした。日本文化解放前夜の最後の攻防ともいうべき緊張感のなか、我を通すのではなく「アー」で「夜明けのうた」を歌うという粋な判断。

  • 無性に彼女の歌を聴いてみたたい。ハングルが分からなくとも、オペラに馴染んだことがなくとも、聴いてみたい。きっと彼女の心は伝わってくる。伝えてもらいたい。ただ素直にそう思う。自分の境遇をはっしと受けとめ、在日コリアンであればこそ培われた感性と音楽家としての天分を発揮し、日韓、そして南北の融和を願う姿はあまりに美しい。

  • 在日2世の田月仙さんによる手記。
    韓国出身の彼女の両親は,日本と韓国の不幸な歴史に翻弄されて日本にやってくる。
    そして,彼女を含めた彼女の家族は,北朝鮮に翻弄されていくことになる。
    日本・韓国・北朝鮮の各国首脳の前で歌を披露した経験や,各国での舞台を通して揺れ動く彼女の心境が鮮明に描かれている。
    波乱万丈な人生を送ってきた彼女だからこそ,表現できることが多々あるに違いない。
    音楽は,国境・人種・民族を越えるということを思い知らせてくれた1冊。

  • 声楽家として成功している田月仙の人生が、実はこんなにドラマティックな(と言うより、見方によっては非常に過酷な)ものであったことを本書を読んで初めて知った。

    田月仙が、朝鮮半島と日本の双方の音楽文化に造詣の深い声楽家として、これからもますます活躍されることを心から期待している。

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