植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」

著者 :
  • 小学館
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797795

作品紹介・あらすじ

「日本一の無責任男」は、凛として、誠実で、優しかった。孤独、修行、絶頂、病気、老い、そして友情…。"ニッポンを元気にした男"が初めて全てを語り尽くしたラスト・インタビュー。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和のスーパースター植木等。その実像に触れる。著者の植木等へのリスペクトが諸所に感じられ、読み終わった後はじんわりと温かい気持ちになれる。世代ドンピシャでは無いので全盛期は知らないが非常に充実した内容で興味深く読んだ。おすすめです。

  • 植木等の様な人間に会ってみたい

  • 小松政夫氏が植木等氏を語るところは、ぐっと来るものがありました。どれほど植木等氏のことを心底敬愛したかが分かります。またクレージー・キャッのメンバーはみんな仲が良かった、大人の関係であったことが、メンバーの入れ替わりもなく息の長い芸能活動を続けてこられた理由だと想いました。ハナ肇氏や谷啓氏も味わい深い人ですね。メンバーの皆がレベルの高いミュージシャンだから、彼らの芸には品が感じられました。いまの芸人とはまったく違うものでした。

  • 植木等さんが実は無責任じゃなかった。

  • 植木等の全盛期というのを見ていないので、「のぼせもんやけん2」を読む前にちょっと「予習」しておこうかな、と。一世を風靡したスターだったことは知ってるけど、もう一つ実感が伴わないのだ。これを読んで、リアルタイムで見たかったなあとつくづく思った。

    過労でダウンするほどの売れっ子でありながら、芸能人的虚飾とは無縁だったという人物像が実にかっこいい。酒も呑まず浮いた噂もない真面目な人柄で、その誠実さから多くの人が信頼し慕ったそうだ。

    テレビやスクリーンでは「わかっちゃいるけどやめられない」であり、「お呼びでない?」であり、「無責任男」であったという、その落差が面白いが、ご本人は「もっときちんとしたものがやりたい」という苦悩がずっとあったのだとか。なんとも切ない気がする。

    しかし、本書の中で複数の方が語っているとおり、植木等の一番の魅力は、出てくるだけでパーッとあたりが明るくなるような「華」を持っていたことであり、「いい加減・不真面目・無責任」というキャラクターを、まるで根っからそういう人であるかのように演じることができた、唯一無二の個性にあったのだろう。

    よく思うのだが、自分自身が「こうありたい」と思い描く像と、人から見て「この人にはこれが合う」と思う姿は、しばしば食い違うものだ。その葛藤を抱えつつ、プロとして仕事を全うした姿にしみじみと感じ入った。

    また、本書で強く印象に残るのが、クレージーキャッツのメンバーの仲の良さだ。結成以来メンバーは同じで(まだ解散していないそうだ)、多少の喧嘩はあっても、グループの危機はなかったという。ハナ肇や谷啓のユニークな個性にも多く筆が割かれていて、ここも面白かった。洒脱で、風通しが良くて、本当にオトナの集まりだったのだなあと思う。

    執筆者が戸井十月であったのはちょっと意外だった。硬派な人というイメージだったので。本書は、植木等へのインタビューを中心に、豊富な周辺取材も加えてすっきりまとめられており、著者の敬意がよく伝わってくる気持ちの良い一冊になっていると思った。

  •  最晩年の植木等さんの聞き書きを中心に、小松政夫や谷啓らへのインタビューも含めての植木等一代記。

     会心の仕事です。そりゃあ植木等という人のものすごさというのがあるからこのページ数を一気に読めるくらいに内容に富むものであったのは違いないけれども、聞き書きをしてまとめた側の愛情に感動する一冊です。ちょっとでも売らんかなの姿勢が見えると、案外読者ってわかってしまうものだけれども、純粋に植木さんの一代記をまとめたかったんだな、という姿勢が伺えるのです。

     こういう仕事を見ると、もの作りって「売れるための努力」と「いい芸をする」というのが両極なわけではないと思います。なんかどうしても、「芸術至高主義」vs「商業第一主義」みたいな物の見方をしてしまうけれども、それだけぢゃなくて、「人を喜ばせることが自分の芸の上達になる」式のモノの考え方は、もっと出てきていいんだろうなぁと思った。

     が、その辺の自助的な仕事が出来るのも、結局は植木等という大人物が素材であるおかげなんだろうなぁ……ということになるのだけれども。
     植木等の両極として、スターを輩出して戦後の芸能界を産み出していったナベプロの社長、渡辺晋との交流も並列で書いているところがなんだか心憎い。なんかその、今現在の芸能界で、なぜビッグネームが生まれないのか? みたいな部分もよく考えさせられる一冊だった。

     完成度の高い伝記だと思います。

  • 逗子図書館で読む。期待した本でした。期待通りの出来の本です。非常に興味深い本でした。僕も、多くの人と同様に、植木さんが好きです。しかし、世代的に、クレイジー全盛期を知りません。それ以前となると、全く知りません。ジャズバンドとしての能力が高かった。これは、自他ともに認めていた。コミックバンドとしては、意外に雑だった。

  • 210.初、並、カバスレ、帯付
    2011.6.13.白子BF
    2015年11月20日伊勢BF

  • かつて自作の映画に植木さんを起用した著者が、その晩年にロング・インタビューし、まとめたもの。「わかっちゃいるけど、やめられない」と親鸞上人は九十歳で亡くなる時に言ったんだとか。だから、僧侶だった植木さんの父親は「スーダラ節」がヒットすることを予言したのだそうです。知りませんでした。

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