がん哲学外来の話~殺到した患者と家族が笑顔を取り戻す

著者 :
  • 小学館
3.53
  • (2)
  • (5)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 39
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093797887

作品紹介・あらすじ

がんになっても、がんでは死なない-これが病気と共存する「天寿がん」の知恵だ!「いのち&こころ」を支える珠玉の言葉。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分の人生や生活の中で何を優先すべきか、それを考えないと不安に振り回されてしまうだけです。
    優先順位をつけて不安を忘却するには、目の前のやるべき事を一生懸命にやる今というこの瞬間に専念することです。不安とは将来予測ですから、心が今に無い、人間が悩むときもたいていそうです。昨日までの事をくよくよと考えて、未来を夢見ることで満足してしまう。今という現在が抜けやすい。
    今日が人生最後の日と思って生きると、人間は幸せに近づける。
    八方塞がりでも天は開いている。
    ゆだねるとは、つらい現実から逃げることではなく、自分の願いにとともに不安や怖れを預けてしまうことです。ですから、きちんとゆだねることができると、本当に心が楽になるのです。
    しかし、ゆだねる相手が必要です。ちょっとやそっとの相手にゆだねるわけにはいきません。宗教を信じる人なら、神という絶対なる存在がいますが、そうでない人には対象が明確でなにので難しい。
    でも、天ならいいでしょう。天を知らない人間はいません。その存在を目にしたことも感じたこともないという人はまずいない。天がなくなったのを見た人もいないはずです。常にそこに開いている。ゆだねるにこれほどふさわしい相手はいないと思う。
    人生は成功のためにあるのでは無い、達成すべき目標ではなく、生き方を示すことこそ人間の功績であるはずである。
    体は自由に動けなくなったとしても、人間の心は常に自由です。自由に何を考え、新しい思いを創り出すことができる、そもそも生きると言うことは、肉体を維持することではなく、心の活動であるはずです。だとしたら、どう生きるかは何を考え何を思うかで決まるはず。
    人間の悩みのほとんどは自分が思っている自分と他人が思う自分とのギャップです。自分は能力が高く人柄もいいと思っているのに、上司からは仕事は適当だし、ずる賢いと思われている。正しく評価されていない、それが悩みです。
    あるいは、人からこう思われたい自分と他人から思われたい自分のギャップかもしれない。どちらにしても外側からの評価で自分を定義し、自分の存在を確信しようとすることで起こる悩みです。本当の自分はそのどちらでもない自分です。外側の評価によらない、何が出来るか何を持っているのかによらない。自分がここにただ存在している。そのことに絶対的な価値がある。その存在こそが本当の自分です。
    僧侶や修験道者たちがする厳しい修行もここを目指します。
    自分の人生はすべて自分の責任で、自分の努力で何とかしなければならないという人生観であれば、やはり出来事に納得することは大事
    人生は避けられないことがある。たとえば、自分ががんになったことを納得するのは無理です。まして自分の死を納得することはもっと難しい。しかし、自分で納得しようとしなくても、与えられたその境遇にあえてしっかりと自分を置いてみることで、自然と起こってくる何かがある。思いもしなかったことが自分の正解で起こることがある。納得しようとしなくても、学びは自然とやって来るものだとおもいます。
    人生は長さではなく質です。そして一日は短いようで長い。たとえ5分でも、本当の意味で考えることをすると、自分の世界が変わることがある。人生が質的に変わってしまうのです。それは人間に与えられた力なのです。

  • がん哲学外来を開設された樋野興夫先生の本です。何もかも失って何もできなくなったときに、それでも自分の存在の価値と意味を見出し深く考えるための「いのち&こころ」を支える言葉がつまっています。
    健康なときの「やらなければならないこと」に追われる生活から、がんになっても「なすべきこと」をなそうとする、そういう考え方の転換が響きました。

  • がんについてのお勉強。
    すげー他人事だけど、がんになるって大変だな。でも、3人に1人は確かがんになるわけだから、あんまり他人事でもないわけで・・・。

  • 心を揺さぶる言葉がたくさんありました。がん患者の家族には、とても支えになる本だと思います。妻も気力が戻ってきたら読んでほしいけど、目下の急務はただ忍耐あるのみ…

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

樋野 興夫(ヒノ オキオ)
順天堂大学名誉教授
順天堂大学名誉教授、新渡戸稲造記念センター長、恵泉女学園理事長。1954年島根県生まれ。医学博士。癌研究会癌研究所、米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センター、米国フォックスチェイスがんセンターなどを経て現職。2002年癌研究会学術賞、2003年高松宮妃癌研究基金学術賞、2004年新渡戸・南原賞、2018年朝日がん大賞、長與又郎賞。2008年順天堂医院に開設された医療現場とがん患者の隙間を埋める「がん哲学外来」が評判を呼び、翌年「NPO法人がん哲学外来」を設立し、理事長に就任。これまで5000人以上のがん患者と家族に寄り添い生きる希望を与えてきた。その活動は「がん哲学カフェ」として全国各地に広がっている。著書に、『がん哲学外来へようこそ』(新潮社)、『明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい』(幻冬舎)、『生きがいに気づく、いい言葉』(PHP研究所)などがある。

「2023年 『もしも突然、がんを告知されたとしたら。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

樋野興夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×