なぜザ・プレミアム・モルツはこんなに売れるのか?

著者 :
  • 小学館
3.20
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本棚登録 : 140
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798167

作品紹介・あらすじ

デフレ下で高級ビールを売るために会社と社員はこう動いた。販売量「5年で20倍」の秘密。ヒットの研究大法則。

感想・レビュー・書評

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  • 1.アルコールを一切飲まないのですが、表紙から「営業に関係する本だと思い購入しました。

    2.今やサントリーの看板商品ともいえる「ザ・プレミアム・モルツ」がどのような歴史を辿ってきたのかが書かれています。
    重要なポイントは3つです。まず、社員1人1人が「現場第一主義」を掲げており、お客さんを知ることから信頼を得ることが出来る、常に現場に情報が落ちていることを理解していることです。営業ならばこのことは当たり前ですが、当たり前のことを徹底してこなさない限り結果はついてこないとわかっているため、尽力してきた結果として今がある。次に、創業者の「やってみなはれ」「おもろいやんか」の精神です。挑戦の繰り返しでこそ、人や会社は成長する。そして、お客さんに良い商品を提供できるということが社員にも徹底されており、1人1人が挑戦してきたことが書かれています。最後に、社員のプレミアムモルツに対する愛情です。社員が愛情を持って自社の商品を売り込まない限りは、どれだけ良い商品でも売れないということです。

    3.私が印象に残っている言葉が2つあります。1つはP.242の佐治社長の「もっとカネを使え。無理に今年黒字にしなくて結構や」です。大半の企業は黒字にできる状況であれば、なんとしてでも黒字にするでしょう。しかし、お客さんの良いと思う商品の提供に力を注いだことで、プレミアムモルツが確かな信頼を築いたのではないかと思いました。2つ目は、P.250の山本さんの「何をもって失敗と呼ぶのでしょうか。期待した通りの結果にならないことを失敗と呼ぶのなら私のやってきたことはほとんど失敗の連続です。でも、失敗するから、解析して原因を突き止め、理想の味や香りに近づくことができる」です。最近の自分と照らし合わせると、失敗したくないがゆえにお客さんに話しかけにもいかず、出来ることしかやっていませんでした。しかし、今スゴイと言われる人達は、見えない部分では多くの失敗をしているのだなと改めて感じました。
    異動して1ヶ月経ちましたが、未だに失敗だらけで仕事が嫌になることもあります。そんな中この本に出会えたことは幸運だと思いました。明日からの仕事と頑張っていきます。

  • 【要約】
    「プレモル」のヒットの背景には、開発者の「志」があり、生産者のつくり込む「品質」があり、創業者の「執念」がある。効果的な「宣伝」や、地道な「営業活動」もある。さらに、会社ぐるみの応援がある。これらの必要条件に加えて、時代の流れに沿うために10年以上も耐え続けた忍耐力がある。すべてのプロセスにおいて、「本物」という価値を見失わずにきたことが「プレモル」をロングセラー商品に育て上げた秘密である。
    【考えたこと】
    広告会社やコンサルティング会社が求められる理由のひとつとして、「客観的」といった部分があるように思う。生産開発部や営業など社内の各セクションによっても見え方は違うと思うが、やはり自社製品を愛しているし、その分想いいれが強い。それゆえ見えなくなっている部分もあるように思う。一方で、外部の人間は根本のところで自社ではないという想いがあるからか、より生活者に近い意見を言えるのではないだろうか。もちろん、開発側の「ビールはアートだ」という考え方はコアな客には刺さるのかもしれないが、多くの生活者にはどうでもいいことであったりする。人の好みや趣味も多様であるから、誰にどのようにして伝えるかということも難しい。それに対して、場面を細かく想定してそこからヒントを得ていく発想はとても参考になった。
    「真夏の暑い盛りの仕事帰り、汗をだらだらかいて入ったお店で、冷えたジョッキに冷たい『プレモル』が出てきて、それをゴクゴクと飲みますね。瞬間、「ああ、生きててよかった」と思う。それが、『プレモル』とお客様の最高の『絆』なんです。『プレモル』ブランドを育てるということは、つまりお客様と『プレモル』との絆を、いかに強固なものにしていくかです。飲食店や自宅でおいしい『プレモル』を飲んで『絆』を築いてもらえるよう、そこにいざなうためのさまざまな仕掛けを、われわれはするわけです。テレビCMもその1つです。…ユーチューブで、竹内結子さんの『ザ・プレミアム・モルツのおいしい注ぎ方』というのを流したら、驚くほどのアクセスがありました。その通りに注いでみたら本当においしくて、やってみた人がそれを友達に教える。それも『絆』ですよね」プレモルと生活者の接点をいかに細かく作っていくか。そしてその積み重ねが大切である。プレモルによって文化的な豊かさを味わうことができる。飲んでみてはじめてそれを感じることができるわけだから、いかにして飲ませるか、その発想が大事である。生活者にとってその商品が何を約束することができるのか。「興味のないものにおカネはかけず、こだわりがあるものは背伸びしてでもおカネをかけ、手に入れる。格差社会といわれるが、高所得者層が高いものを買い、低所得者層が安いものを買っているかといえば、決してそう単純な話ではない」商品なりサービスなりを実利的豊かさと文化的豊かさに大別すると考えると、日本におけるそれはそのほとんどが文化的豊かさの訴求であると思う。贅沢な時間を設計するとか、ご褒美としての品であるとか、ファションアイテムとしての携帯だとか、そのアウトプットは社会学的にも洗練されていて、感動すら覚える。

  • 昨今、似たような製品が多く生み出されている中で売れる製品をはどのように生み出されるか知りたいと思い購入

    本書はプレミアムモルツが売れるまでのサントリーの取り組みについて紹介しており、各部署の社員の志、取り組みが述べられている。

    気になったフレーズ
    ・研究開発で大切なことは志を持つこと
    ・再現可能性を追求するため計測技術の構築。
    感頼りでなく最適値の設定を定量的に行う
    ・数値だけでなく、現物をみて判断できるようにならなくてはならない
    ・原料調達はビール作り(製品)をトータルに理解していないとできない

  • うーん、まぁそういうことだよなぁ。ピルスナーの中ではかなる美味いと思うけれども。モンドセレクション金賞とかちょっと怪しいところもある。

  • やってみなはれ。おもろいやないか。

    残念ながら、ビールには縁がありません。炭酸飲料が苦手です。お酒の席でも、とりあえずビール、ではなく、とりあえず焼酎ロック、です。

    今、アイデアが出てから出願までの期間短縮に挑んでいます。とりあえず質は置いておいて、スピード重視です。

    それなりに成果は出てきました。まだ、短縮できると思ってます。プレモルと同じように、絶え間ない改善が必要です。

  • 図書館で立ち読み。

    「なぜ矢沢永吉を起用したのか」
    モンドセレクション最高金賞の製品には「よりインパクトの強いアイコンで「プレモル」を消費者の記憶に残すことが求められた。」(P184)

  • おいしくないのにね
    プレミアムという名前がいいのか
    喉から舌

  • 会社を愛する人たち。
    商品を愛する人たち。
    やはりその力はすごい。

  • プレミアムモルツも、そしてチェコやドイツのビールまで飲みたくなります。
    本で書いてある通りに注いだら美味しく飲めました。
    サントリーのこだわり、センスに対する敬意が深まる一冊。
    プレミアムモルツを贈るときに一緒にプレゼントしても良いかも。
    明日は札幌に行くから、ピルスナータイプの美味しい生ビールを飲んでこようっと!!

  • 酒に強くないということもあって、「所詮、ビールはビール」としか思えないこともあってか、あまりのプレミアム・モルツの賛辞に食傷気味。けど、佐治家のビールにかける執念はすさまじい。ビール事業は45年連続赤字で、累計赤字は1,000億円を超えていたらしい。こんなことオーナー企業じゃなきゃできないね。現社長の子供はいないらしいけど、次の社長は誰になるのだろう。

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著者プロフィール

片山 修(カタヤマ オサム)
ジャーナリスト
愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想力が持ち味。経営戦略、マネジメントにも造詣が深く、長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人事論、時代論には定評がある。2001年から2011年まで学習院女子大学客員教授を務める。
『時代は踊った――オンリー・イエスタディ‘80s』(文藝春秋)、『ソニーの法則』『トヨタの方式』(以上、小学館文庫)、『本田宗一郎と「昭和の男」たち』(文春新書)、『ふるさと革命――“消滅”に挑むリーダーたち』(潮出版社)、『社員を幸せにする会社』『技術屋の王国――ホンダの不思議力』『豊田章男』(以上、東洋経済新報社)など、著書は60冊を超える。

「2021年 『山崎正和の遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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