逆説の日本史 18 幕末年代史編1

  • 155人登録
  • 3.85評価
    • (11)
    • (28)
    • (20)
    • (0)
    • (0)
  • 24レビュー
著者 : 井沢元彦
  • 小学館 (2012年3月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798310

逆説の日本史 18 幕末年代史編1の感想・レビュー・書評

  • 『風雲児たち』が江戸時代から幕末・明治維新の視点のデフォルトだと、そんなに「逆説」という印象は受けませんでした。

    ペリー来航をオランダ風説書始め幕閣には警告があったにも関わらず、何もせずに迎えたゆえの、浦賀奉行所でのどたばた(その最前線でアメリカと接した幕府の下級官僚中島三郎助は、西洋式の造船技術を長州藩の桂小五郎に伝授した後、戊辰戦争の騒乱の中で榎本武揚や土方歳三とともに箱館に渡り、息子たちとともに壮絶な戦死を遂げます)。

    お台場、反射炉に加えてボートホイッスル砲(えーと、小型榴弾砲?)を製作することができた江川英龍が、阿部正弘に酷使されて一年で過労死してしまったこと。

    幕府がいかにダメダメかを感じますが、私は敗者の側が勝者の歴史に書かれないところで歴史に貢献したかをもう少し探りたく思います。

  • 井沢さんの逆説シリーズを読んで歴史好きになったものです。ついにシリーズも幕末までやってきました。相変わらず、これまで知られていない事実が満載で、楽しく読めました。

  • アメリカやロシアを怒らせた幕末日本のお粗末外交。その原因となった朱子学と日本人のメンタリィテー。これらの問題がこの巻に通底している。今の日本人においても通じるものがあるだけに、現代の問題としても学ぶべき点は少なくない。

    1853年、アメリカ東インド艦隊司令長官マシュー・ペリー率いる「黒船艦隊」が浦賀に来航。「突然」の来航に幕府や浦賀奉行所は慌てふためいたというのが大半の日本人の認識だ。しかし、ペリー来航の情報は、これより1年前にオランダ商館長より幕府に伝えられていた。しかし、幕府は何ら手を打たなかっただけでなく、浦賀奉行所にも伝えていなかった。予測されうる危機に対して「何も準備をしなかった」のである。そして、ペリーやロシアのプチャーチンが開国を求めて来航するという事態に至って、老中首座阿部正弘は、「この先、日本をどうすべきか」と、これまで幕政に関与させなかった者(一介の浪士までも!)に対しても広く意見を求めることになるが、この対応は幕府の権威を失墜させる。

    実際の交渉においても、「泥縄式」「二枚舌」「たらいまわし」「ぶらかし」「一時逃れの空返事」「遷延策」などを繰り出す。このような幕府の対応を予め研究していたペリーは、それまでのアメリカの(イギリスを反面教師にして)友好的な態度で交渉に臨んでいては、埒が明かないと悟り、「砲艦外交(gunboat diplomacy)」へと舵を切ったのである。アメリカの初代駐日総領事ハリスに至っては、「日本の役人は地上における最大の嘘つき」と激怒するほどだ。
    また、当時日本で唯一英語に堪能なジョン万次郎を「讒言」でペリーとの交渉役から外したり、条約文を林復斎が意図的に「誤訳」したりと、お粗末外交しかできない幕府は、やがてその終焉を迎えることになる。

    また、徳川幕府の安定のために取り入れたはずの朱子学(君主への絶対の忠誠を説く「哲学」であり「宗教」でもある)が、結局は討幕運動に繋がったというのは皮肉としか言いようがない。朱子学は、歴史を歪曲させ、海外の世情を踏まえた改革を遅らせるという問題があるうえ、「将軍家ではなく天皇家こそ忠誠の対象である」という信仰を産んだからである。そしてもうひとつ。楠木正成の勤皇の功を讃えた『日本外史』(頼山陽著)が1827年、元老中首座の松平定信に献上され、発刊され広く読まれたことが、多くの人々を勤皇の方向に導くことになったというのも、これまた皮肉である。

  • 井沢さんの渾身の一冊。いつもどおり歴史の深読みがおもしろい。

  • エポックメイキングな黒船来航。教科書では、突然の来航と外圧による日米和親条約締結という説明がなされるが、それが本当だったのか推考している点に本書の価値がある。米国来航前のロシア通商要求やオランダ支援申し入れなど本書で初めて知る知識であい、当時の軍事技術から推察する蒸気船の「衝撃度」や江戸幕府の官僚的泥縄対応など非常に新鮮な視点で勉強になった。

    明治維新に至る不平不満質量の温存も感じられ、本シリーズの直近作品の中で最も面白い。

  • やはり幕末史は面白い!黒船来航前後の日本の対応は初耳。教科書だけでは物足りないことがよくわかった。

  • 幕末期の幕府閣僚等による見事なまでの後手後手政治に感心し、現在の政治家や官僚に重ね合わせてしまう。

  • 例によっての18巻目。時代が下るに連れて目新しさが少なくなる気がする。ネタ切れ?

    日米和親条約、通訳の意図的な誤訳についてはおもしろい。現場の儒学者責めてるけど、そう志向させた制度というか、幕府上層の責任かと。

  • 幕府の対応と現日本政府の対応の類似性に日本人の悪癖を見る歯がゆさです。
    まさに温故知新。

  • 18巻。

    1800年ごろから、1857年までの、
    激動の時代の入り口あたりには、何が起きていたのかを
    「逆説の日本史」の視点から読み解く。
    この巻で著者が一番力説しているのは
    「ペリーは突然来たわけではない。何度も米国の事前交渉はあった」
    「それを無視、握りつぶして何もしてこなかった幕府は無能である」
    という点であろう。
    ではなぜそうだったかというと、
    「言霊信仰」「日本的朱子学教」「徳治主義」「祖法の思い込み」
    などなどの複合産物だろうというところ。
    まさに、これまでの歴史の中でさんざん出てきたことが、
    やっぱり強烈に悪影響を及ぼしている。
    そして、これはまだ先の話だが、太平洋戦争などでも
    結局このあたりは何も変わっておらず、敗因に繋がっていく。
    そして今日も「絶対平和主義」が生きていたりする。
    (ただ、著者も20年にわたって本シリーズを書いていく中で、
     世の中の空気が変わりつつあることを実感しているようでもある。
     冷戦終了、ソ連崩壊から時間が経つ中で、マルクス思想は見事に
     衰退し、自由主義以外にとるべき道はないということが
     ようやく日本でも主流になったからかもしれないし、
     あるいは北朝鮮や中国との「衝突」も影響をもたらしたのかもしれない)

    本書に戻ると、
    私が一番驚いたのは、ロシアが一番最初に来航し、
    もっとも紳士的に交渉を進めようとしていたことである。
    漂流民を送り届けるなどの「善意」に対して、
    幕府は勝手な対応で長崎に軟禁したりと、無茶苦茶をするが
    それでも戦闘をしかけることもなく、紳士的態度を通す。
    それが、あとからやってきたアメリカ(ペリー)が武力を
    ちらつかせながらの江戸湾入りをする際には、
    手のひらを返したように幕府がおとなしく従ったというのは、
    なんというかまぁ、平和ボケというか、朱子学教に染まった日本人の
    権力階級の主体性のなさ、計画性のなさの表れと思える。
    そりゃ、ロシアからしたら怒るのは当然だろう。

    さらには対外交渉という点では徳川幕府成立以来の数少ない
    貿易相手であるオランダが、国王親書までくれて、
    熱心にアドバイスしてくれたのに(もちろん善意というよりは
    国際的な覇権競争の中での打ち手という意味は大きいだろうけれど
    それを利用するのが、まともな治政者であろう)
    それもどん無視、あとでついに海防力が必要と分かった時に
    泣きつくという始末であるのは、なんともお粗末。

    歴史のIFであるが、仮にロシアときちんと外交し、
    オランダの力をうまく借りることができていれば、
    不平等条約を結ぶこともなく、日本の近代化は数十年
    早まったことであろうし、ハリスとの通貨交渉での失敗に
    起因する金の流出もごく少なかったことだろう。

    けれど、老中・阿部正弘がきっと感じていたように
    「まぁ、こいつらじゃ無理だよ」
    っていうあたりを思えば、そのシナリオは日本では
    実現しなかっただろうなぁとも思う。
    それほどまでに日本的朱子学の強さというか、変革への拒否心が
    強いのが、日本に住む人々なのであろう。

    ただし、著者の書くように、松下村塾の俊英らや、坂本竜馬らのような
    「日本人」(大攘夷)も出てくるという意味では、
    やっぱり国全体に変な宗教思想が蔓延していても、それに異を唱える
    「勇敢なアンチ」は必ず出てくるということも思う。
    そして、長州藩主毛利敬親のように、そういう「変革の旗手」たちを
    支える地方統治者もいたりするので、
    社会というのはおもしろいものである。

    今日もなお、「日本的宗教」信者と、国を憂う変革の担い手たちとの
    戦いは続いているように思う。
    これからの日本は経済的な意味では国際的には... 続きを読む

  • 井沢さんの幕末ネタは、他の本でも結構書いておられるので、知っているものも多かったけど、老中阿部正弘論や3つの大地震が続いたことなど、新たに勉強したこともけっこうあった。

    本書で井沢さんの幕末編に初めて触れる方には読み応えがある内容だと思う。特に現代の日本社会にもつながる問題提起として、朱子学の弊害、改革に無駄なエネルギーを要すること、幕末から明治にかけて芽生えた「日本人」という意識、「言霊思想」に基づくドロナワ的対応、などなど本質をついたものが多かった。

    井沢さんが「日本民族の民族的欠点を克服するための、最も良い方法の一つがこの幕末史の分析だ」と言われることには全く同感だし、次作が大変楽しみである。

  • 毎度のことながらわかりやすく歴史を学ぶことができて素晴らしい。
    歴史っておもしろなと思う。

    ちゃんとした歴史を学ぶことが大事。
    あまりよくわかっていない日本の歴史、しっかり学んでいかないといけない。

  • 言霊の歴史

    「大君の通貨」 佐藤雅美著

  • 予約がやっと回ってきた。いつもながらの切り口。福島の原発事故も言霊の影響アリだと思う。

  • 第一巻から読んでますが、18巻まできました。年一回楽しみに読んでいます。内容は賛否両論あるかもしれませんが、歴史好きには読み応えがあるシリーズです。こういう本他にはないし。次回も楽しみです。

  • 1年に1回、刊行されるのを楽しみにしているシリーズです。

    18巻は、日本人とは何か、日本人の特質は何かを歴史から学び、これからに生かしていく努力をしなければならないと改めて認識させてくれました。

    いよいよ、幕末から明治維新に突入していくので、ますます楽しみです。

    このシリーズを読むと、受験のために暗記していたあの出来事や制度は、実はこういう意味だったのかと新たな発見があったりして、知識が深まります。
    何度でも読み返したい本の一つです。

  • 毎年出版されるのを楽しみしている本のひとつに井沢氏の「逆説の日本史シリーズ」があります。この本は18冊目で、時代も江戸時代の幕末にさしかかってきました。

    この本を読むと「歴史は繰り返す」と言われる通り、幕末の日本を動かしていた役人は「知っていながら何もしなかった」という点で、現在と酷似しているようです。当時も今もその時の判断基準で最高であると選ばれた人たちが、彼らなりに一生懸命やっているのですが、その当時の体制を変えなければ次のステップに進めなかったようですね。

    欧米は金融危機で今は厳しい状況にありますが、それを乗り越えた数年後に、今と同じようにしている日本は時代に取り残されてしまうのではないかと不安を感じました。堺屋氏が予測小説を書いたタイトルが「平成30年」、あと6年ですが何か不気味なものを感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカは、アジア進出、正確に言えば中国との大々的な貿易を望んだために日本の開国を求めた(p15)

    ・当時、アメリカで最も盛んだった産業の一つが捕鯨、鯨油を取るのが目的で、皮を船上で煮込んで油(灯火用)を取るだけで肉は捨てていた(p20)

    ・江戸時代に三大改革があるが、財政的に正しいのは「田沼の政治」と呼ばれている改革のみ、三大改革では家臣の給料をコメで払っているのにコメを増産して給料を上げずに、時価で売るのを放任していた(p25)

    ・アヘン戦争とは、イギリスが清にアヘンを売りつけ、それを没収した清国に対してイギリスが弁償しろと迫り、拒否した清に武力で対応した事件(p53)

    ・儒教や朱子学の欠点としては、「歴史をねつ造する」というものがある(p71)

    ・政治家が新しいプロジェクトを実行しようとするとき、検討する
    要素は、1)成功の可能性、2)予算、である(p107)

    ・当時のアメリカは提督(Admiral)は議会承認が必要であった、議会承認が不要でかつ艦隊の指揮権が認められる階級として、代将(Comodor)が必要になった、ペリーは東インド艦隊の司令長官なので大佐から昇格した(p115)

    ・ペリー艦隊4隻のうち2隻が帆船なのは、補給ができないので石炭がなくても動く船に石炭を大量に積む必要があった(p116)

    ・当時の日本の大砲は大きくなればなるほど青銅製になる、融点の高い鉄を溶かす高熱の炉が存在していなかったため(p139)

    ・弾丸自体を円筒形にすることで、ライフルに沿って回転する運動が均一化されて、射程距離や命中精度が上がった(p157)

    ・お台場の「台」とは、砲台(大砲の台座)であり、正式名称は「品川台場」で、砲台のための人工島である、「お」がつくのは将軍家の施設だから(p167,168)

    ・老中の阿部正弘が広く意見を求めるという姿勢は、今の民主主義の基準では「いいこと」のように見えるが、結局は幕府の権威を失墜させた、外様大名ばかりか一介の浪士までが御政道に口を出した(p182)

    ・ペリーが来年まで回答を待つことに対して受諾したのは、ミニ艦隊の船が減らされて食糧が足りなくなったため(p185)

    ・日米間の交渉は、英語をアメリカ側がオランダ語に訳し、それを日本側のオランダ通詞が漢文化してそれを検討した(p197)

    ・関税自主権が奪われたことによって失われた日本の富は天文学的なもの(p245)

    ・下級旗本の子弟が実力で出世できる唯一の道が、勘定吟味役=財務省主計官になること、これは試験があった(p248)

    ・ロシアのプチャーチンが下田に来た嘉永7年(1854)11.3の翌日に安政東海地震が起き、下田は津波による壊滅的被害を受けた(p263)

    ・日本人は金貨を古くから当たり前のよう... 続きを読む

  • 今回は驚きは少ないが、噛んで含めるような日本史は、判り易い。
    幕府の無作為、大地震が2回続いたこと、ハリスとの為替の交渉が幕府の崩壊を招いたこと。改めて成程と納得。
    外圧が具体化しないと動き出さない。危機が目の前に無いと対策が無い。現在も変わらないのかも。

    将軍家定は堺雅人さんのような人じゃなかったのか。口のきけない将軍や虚弱な将軍もいたなあ、毒をもられたりするからかな。
    岸田秀さんの本では松陰はボロクソ。確かに藩やペリーへの迷惑をまったく考えていない。以前にも友人との約束を優先し、許可の出る前に藩を出ている。どうも幼児的な人だったのでは。

  • こちらも長いつきあいの逆説の日本史シリーズ。
    姿勢が常にぶれないのは評価していいかと。

    幕末幕府が泥縄であたふたしている様子が、
    TPPや震災でどたばたしている今の日本の政府の様子と重なり
    「本当に日本人というやつは⋯」と思ってしまうな。

    ペリーは、黒船は突然やってきたわけではない。
    日本の歴史教育の不備もまた明らかだな。

  • 『逆説の日本史』も18巻まで来ましたか。
    今回は「開国交渉」の頃の時代。さすがに「全く知らなかった。」「目から鱗」というような内容は今回はほとんど無かったものの、日本人のリスク対応における「問題先送り」体質、そしてどうしようもなくなってからの「泥縄式対応」が集約されていて嫌になる。つくづく、歴史とは同じようなことの繰り返しだな、というか、民族のDNAというものはそうそう変わらないものなのだな、というか… この時代から学ぶことは多い。
    この時代に対する一般的なイメージと事実が異なる点を一言で言えば、「ペリー(黒船)は決して"突然"やってきた訳ではない」ということ。

  • このシリーズは本当に勉強になる。ペリーの来航を幕府は一年前から掴んでいたこと、幕末に日本の金が大量に海外に流失してしまったこととその理由など、始めて知る事柄があった。

  • 言霊思想の自覚が必要とされている

  • 新刊が出ると必ず購入する本シリーズもいよいよ18巻目となった。幕末編ということで期待も高まる。まずは黒船来航にかかる目から鱗のお話。
    ペリー来航は以前から分かっており、それに何の手も打たなかった幕府の無策振りを批判、同時に我が国固有の言霊にその原因を探る。
    今後さらに期待したい。

  • 黒船来航前あたりから倒幕前あたりまで。
    黒船は突然やってきた訳ではなく、その前から外国からの働きかけはあった。しかし、当時の政府は何の準備もしてなかった。

    最近どこかで聴いた話。

全24件中 1 - 24件を表示

逆説の日本史 18 幕末年代史編1を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

逆説の日本史 18 幕末年代史編1を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

逆説の日本史 18 幕末年代史編1を本棚に「積読」で登録しているひと

逆説の日本史 18 幕末年代史編1の作品紹介

「日本は前触れなしに突然やってきたアメリカのペリーという乱暴な男に強引に開国させられた」。これが日本人の持っている歴史認識だ。しかしこれは正確ではない。ペリーが「強引」だったのは本当だ。だが「突然」では決してない。それどころか、アメリカは実に慎重に紳士的に粘り強く交渉を続けていたという事実がある。アメリカを激怒させた幕末の「日本外交」。

逆説の日本史 18 幕末年代史編1はこんな本です

ツイートする