役者は一日にしてならず

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著者 : 春日太一
  • 小学館 (2015年2月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798693

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役者は一日にしてならずの感想・レビュー・書評

  • なんで女優が一人もいないのか、タイトルを雑誌連載時のものからなぜ変えたのかなど、とりあえず置いとくとしても、まず読んだ率直な感想は、つなかりが切れちゃってるなぁというどうしようもない寂しさに尽きる。そりゃ若くて活きのいい研究者が話を聞きたいと訪ねて行って、無下に断わる大人はいないだろうし、大御所と呼ばれる彼らでさえ、むしろ協力的に何でも答えてくれている。役者になったキッカケから、撮影の現場、他の演者達とのエピソードに、昨今の現状についての感想頂戴...。役者のインタビューはしない旨を守ってても良かったな。

    ゴタゴタの末、劇団や所属を抜けて以後フリーに、という役者が案外多い。若手と共演しても、偉ぶらず、一歩距離を置いて付き合う役者も多い。決して冷笑したりバカになどしてないし、請われれば進んでアドバイスもするが、それで本当の意味で若手の身になってるのかはわからない。それゆえ、時に反発しながらも、長谷川の弟子を長年続けた林与一が、70歳を過ぎていま、長谷川一夫のかつての言葉をいきいきと語っていることに、なおさら感慨深いものがあるのだ。

    使われている写真がどれも印象的。どの役者も一枚で、蟹江敬三のみ著者らとのインタビュー風景など二枚だが、どれも撮影現場でというよりホテルや喫茶店などでのオフの普段着の格好に見える。千葉真一はらしい鼻のすすり方をしているし、前田吟は指を曲げてお金を表しているように見えるし、蟹江は死期を悟ったかのような横顔だ。文中に半ページを使って、語られた印象的な言葉を太文字で飾っているが、本人も恥ずかしくなるほどいやらしい所業にゲンナリ。

  • はじめに(三國連太郎との六分間)

    平幹二朗
    千葉真一
    夏八木勲
    中村敦夫
    林与一
    近藤正臣
    松方弘樹
    前田吟
    平泉成
    杉良太郎
    蟹江敬三
    綿引勝彦
    伊吹吾郎
    田村亮
    風間杜夫
    草刈正雄

  • 16人の俳優さんへのインタビュー。多くの人が時代劇の今後を心配していて、私も心配になってきた。

  • 「名優」と呼ばれる人たちへのインタビューをまとめたもの。インタビュアーの基本姿勢が絶対的なリスペクトで貫かれていて、役者の方々はみな、これまでの道のりや演技にかける思いなどを語りたいように語っている。著者の仰ぎ見る視線を共有できる人にとっては、興味深い話も多いだろうが、インタビューとしては平板な感じがする。つっこんでないもの。申し訳ないけど、役者哲学より交友関係のゴシップ的な話のほうがおもしろくて、そっちは少ないのが残念。

  • 映画評論家という職業は、絶滅危惧種的存在にしか思えないけど、春日太一の本を読むと、映画史家というのは必要なんだなあ毎回思います。

    短時間のインタビューで、ベテラン俳優達から、実のある話をうまく引き出せる著者の手腕は鮮やかです。


    登場している俳優たちは、名前と顔は知ってるけど、邦画もTVドラマも殆見ない自分的には、俳優としてというよりも、バラエティ番組などで見かける大御所俳優枠というポジションのおじさん達。という程度の認識しかありませんでした。

    例えば、松方弘樹なんて、昔「元気が出るTV」でただ笑ってるだけの、おじさん。と思っていたので、時代劇に対する思い入れの深さとかが書かれていて、良い意味で、自分の中での新発見でした。

    遺作の「希望の国」が良かった夏八木勲のインタビューとかも興味深かったですが、個人的には、前田吟が恵まれない出自であることが書かれていた事と、仕事に対する姿勢のビジネスライクな割りきった感じに考えてる所が、印象に残りました。

    他の読んだ方のレビューを読むと、仕事論である。という感想が多いですけど、これを突き詰めて考えてみたら、例えば仕事をしている上で、自分が少し悩みにぶつかった時に、もし身近にこういう上司達がいたら、相談に乗ってもらいたいな的な感想を自分は持ちました。

    第二弾も出版されるそうなので、それも早く読んでみたいです。

  • このインタヴューの男優の人から、よく名前が挙がる
    高倉健、若山富三郎、勝新、大瀧秀二、志村喬
    やはり俳優としてだけじゃなく、生き方、人柄も魅力的だったんだろうな。

    蟹江敬三、夏八木勲なもう他界してしっまったね。
    このインタヴューが読めてよかった。

  • ま、つまり、年配の男優さんのインタビュー集なんです。
    ただ、一応ねらいとして、女性遍歴とかではなくて、「芝居と言う仕事に取り組んできた歴史」という切り口が意識されている、ということですね。
    夏八木勲、蟹江敬三、平幹二朗、松方弘樹、千葉真一、中村敦夫、林与一、近藤正臣、前田吟、平泉成、杉良太郎、綿引勝彦、伊吹吾郎、田村亮、風間杜夫、草刈正雄、
    という16人。多いですね。一人一人はそんなに長くありません。
    やっぱり、こういう面々に対して、まだ生きている訳ですけど(インタビュー時点では)、

    「日本映画史」「日本の映画、およびテレビドラマ及び演劇まで含めた、視覚物語芸能史」「つまりは、日本俳優史」

    と、でも言うべき、すごくこう、後世からの研究視点も意識したような切り口を持っている。聴き手で本の作り手である、春日太一さんが。

    その視点が、春日太一さんの仕事の素敵さに共通しているなあ、と思います。

    そういう目線で見ると、この16人はそれぞれに、劇団の養成所だったり、映画のスカウトやニューフェースだったり、コネだったり、モデル出身だったり、いろいろな形で仕事を始めています。
    そういう出発点や事情自体が、もはやその時代の世の中の有様を映していて面白いですね。
    それはつまり、1960年代=1970年代前半なんです。
    この頃、高度経済成長が一回フン詰まって、1968年の学生運動の季節があって、その反動として迷走の70年代…というこの時代のことを、よりよりこの16人に重ね合わせて観ていく視点が強めにあったら、もっと素敵な本になったのかなあ、と思ったりしました。
    (まあ、あと、それぞれにもうちょっと突っ込んでいけないかなあ、とは思いますけど…。経歴なぞってちょこっと自慢話、というパターンが多いんでね)


    16人それぞれの発言内容は、まあハッキリ言って、「きれいごとに終始するところは、読み手としては面白くない」という一言に尽きますね(笑)。
    演技論的なことでいうと、それぞれいうことは正反対のバランバラン(笑)。まあ、どういう修業出自から来ているか、ということの多様さが判って素敵なんですけど。
    そもそも、知らない人の話は面白くない訳ですが、もし多少でも「あ、あの人なんだな」とわかるのなら、
    夏八木さん、蟹江さん、前田さん、平泉さん、綿引さん、あたりは、こういう切り口でちゃんと取り上げられることが多くは無いので、新鮮さ、ありますね。

    個人的には、蟹江敬三さん、平幹二朗さん、林与一さん、近藤正臣さん、前田吟さん、平泉成さん、田村亮さん、あたりが比較的に面白かった気がします。

    ●近藤正臣さんって、売れるまで大変やってんなあ

    ●前田吟さんは、とにかく稼ぐっていうことをちゃんと言う人なんやなあ

    ●やっぱりこの世代の、この16人には?深作欣二、山田洋次、そしてなにより「テレビドラマ」っていうのは巨大な存在やなあ。
    (東映系の男優が多いっていうのが大きいんですけどね)

    というのが面白かった感じですかね。

    気負わず軽く読めました。

  • 自分に厳しい生き方をしてきた人ばかり。だからいまだに残り続けているのだろうが。

  • それぞれの役者さんの思っていること通ってきた道は当然ながら違う。だが、何十年と同じ道で生き抜いてきた人たちの言葉というのはその信念や思いの結晶だとよくわかる。
    人はやがていなくなる。だからこど残しておくということの意味は大きい。時代劇について書かれてきた春日さんだからこそ時代劇の全盛期を見てきた方々の言葉や体験は貴重であり残したいという気持ちが強いのも伝わってくる。
    時代劇に興味がなくても、ずっと最前線で戦ってきたひとりの人間の言葉、商業に対しての生き方に対してのそれぞれの言葉がジャンルも関係なく読み人に届く一冊になっている。
    多くの方が悪役をすることについて語られていたように感じた。人間の多様性、想像することなんかを考えた。
    続編が出るのをやはり期待してしまう。

  • 名優16名のロングインタビュー集。映画やドラマを見ていて、これは一朝一夕ではないな、積み上げてきた膨大な経験から滲み出てるんだろうな、という俳優さんがいる。その蓄積層の中身が何なのか、この本でわかる(もちろん膨大の一部ではあるけれど)。皆さん技術を持った職人であると同時に生活や悩みを背負った一人。こだわり方などは他の仕事をしている人でも参考になる。赤と黒の装丁がカッコいい。

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役者は一日にしてならずの作品紹介

名優の仕事は、熱い。名優の言葉は、深い。

週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』初の書籍化。昨年死去した夏八木勲、蟹江敬三をはじめ、平幹二朗、松方弘樹、千葉真一、中村敦夫、林与一、近藤正臣、前田吟、平泉成、杉良太郎、綿引勝彦、伊吹吾郎、田村亮、風間杜夫、草刈正雄ら16人の名優が登場。名作の秘話、役作りの真髄を語り尽くす珠玉の役者論。
●「演じるほかに、道はなかった」――夏八木勲
●「セリフは、魂の叫びだ」――蟹江敬三
●「斬るときは、手首の力を抜け」――松方弘樹
●「スターはベンツに乗れ、役者は電車に乗れ」――平泉成
●「自己主張を消して、存在する」――平幹二朗
●「演技とは、ホテルの鍵穴から覗かれているようなものだ」――前田吟
●「日本のアクションを、変えてやる」――千葉真一
●「死には、美学がある」――杉良太郎
●「時代の妖怪で、あればいい」――近藤正臣
●「印籠には、持ち方がある」――伊吹吾郎
●「演技の間は、サッカーに似ている」――中村敦夫
●「仕事のないときこそ、芸に差が付く」――林与一
●「感情は、後払い」――綿引勝彦
●「セリフにも、表情がある」――風間杜夫 などなど金言の連続!



【編集担当からのおすすめ情報】
日本が誇る役者たちの「知られざる芸談」を聞き出したいという筆者の熱い思いから生まれた本企画。特に夏八木勲さん、蟹江敬三さんは生涯最後のロングインタビューとなりました。人生を演技にかけた男たちの仕事論は、どんな職業にも通じる「熱さ」が籠もっています。週刊ポスト連載時には収録できなかった未公開エピソード満載です。

役者は一日にしてならずはこんな本です

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