小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの

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著者 : 森健
  • 小学館 (2016年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798792

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小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたものの感想・レビュー・書評

  • 経営学と私の履歴書くらいしか小倉さんには触れた記憶がなく、とにかく行政とバトルをしてた強気な経営者というイメージだった。
    そのイメージを覆すのではないが、そのストレスフルなビジネスでの戦いと同時に家庭内でもこんなにストレスフルな戦いをされてたのだなと1人の人間のノンフィクションとして素晴らしかった。取材力も凄いです

  • 先日、ビジネス書大賞2017の表彰式に行ってきまして、そこで、この本の著者である森健さんの、この本に関する対談を聴き、是非「読んでみたい」と思いまして、読んでみました。

    とってもいい本だと思うのですが、「ビジネス書」前提で読んだので、若干違和感がありました。
    この本については、ビジネス書ではなく、伝記として読むのがよいと思います。

    外では名経営者として知られていた小倉さんですが、家庭内では、仕事とはまったく異なる苦労をされていたのですね。
    それだけに余計、小倉さんの偉大さを知ることができたような気がします。

  • とにかく構成が見事。ヤマト運輸・小倉昌男が晩年になぜ福祉事業に尽力したのか——。彼の晩年のプライベートのエピソードを巧みに再構成して最終章の「真相」へ至る展開は上質の推理小説、しかも叙述ミステリーのようである。

  • 神よ
    変えることができるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。
    変えることのできないものについては、それを受けて容れるだけの冷静さを与えたまえ。
    そして、変えることのできるものと、変えることができないものとを識別する知恵を与えたまえ。

    この祈りこそが、偉大な企業家として小倉氏と
    穏やかに家族を愛し続けた父親として小倉氏の
    両面を見事に表現している言葉です。


    ***********************************


    二つの言葉が心に残ったので、引用します。
    まずご子息の言葉。「父の視点というのは、必ず弱いものに惹かれていました。絶対強いものにはいかない。宅急便だって、ふつうの主婦とかの不便や不都合に目がいって、事業化に結びついたし、福祉財団だってそう。それは、自分も弱きものという自覚があったのかもしれない」。
    小倉氏に洗礼を授けた小林師の言葉。「彼の地位であれば、享楽的な楽しみ、目に見える物質的な楽しみはいくらでも手にすることができたはずです。でも、小倉さんは…信仰に勤しんだ。もちろん、それは同時に、彼自身が信仰に救いを求めていたことでもあります。…でも、その彼の個人の祈りは…弱きものの自立を助けるように働いた。…小倉昌男という人の生き方は、神様にも、人々の心にも強い感動を与えた。その目に見えない力は永遠に続くでしょう」。

  • 宅配便の父と呼ばれたヤマト運輸の小倉昌男さんの伝記です。
    小倉さんといえば名経営者のイメージが強かったのですが、
    この本は会長を引退してから亡くなるまでの物語です。
    宅配便を作った男は家庭でどんな姿だったのか?
    なぜ私財の三分の二を投じて、福祉の財団を作ったのか?
    なぜ極めて悪い体調の中、アメリカで最期を迎えたのか?
    はじめは疑問だらけですが、
    最後まで読むと理解することができ、久々に本を読んで泣きました。

    働くことと生きがいの両方を見つけることの難しさと大切さを感じられる、
    やっぱり読書っていいな!って思える本です。

  • よく取材されています。

  • ただただ素晴らしい作品だった。ノンフィクション作品としては間違いなく最高峰だ。ヤマト運輸の創業家に生まれ、「宅急便」を生み出した小倉昌男氏の人生について書かれている。なぜ、氏は多額の私財を投じて福祉財団を作ったのか?そんな疑問から本書はスタートする。仕事関係、家族、氏の晩年を支えた女性・・・多くの人にインタビューを重ねていくなかで、その謎が解かれていく。巨大企業の経営者といえばスーパーマンで、普通の人間とは全く違うという印象を与えがちであるけど、本書で描かれる小倉昌男氏はとても人間くさく、特に家庭では冴えない親父でしかない。その点もとても好感を覚えた。

  • 人一人の人生の虚無。
    偉大な経営者としての見方と、一人の人物としての見方。
    最後は希望より全てを包む愛を感じた。
    世界を見るのも立ち向かうのも家族あってのはじまり。
    受け入れたからこそ進むのだ。

  • 今回の「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞したとのことで試し読みでした。既に小倉昌男氏関連の本は読んでいたので「二番煎じかな」思ったのですが、これはすごいです。まず展開が素晴らしい。グイグイ引き込まれ、あっという間に読了。更に、宅急便を考案し、官公庁とも闘ったと言われる小倉氏ながら、輝ける光から生み出される陰の部分(あまり触れられなかったプライベートな部分)を痛いまでに描いています。ネタバレになるので詳細は省きますが、壮絶な人生だったことがよくわかります。著者もよくここまで取材し、読み込ませる構成をつくったものだと感嘆。文句なしの第一級のドキュメンタリーで、さすがは受賞作品と唸らせます。

  • 宅急便では運輸省(現国土交通省)の免許を巡って悪習的な規制と戦い、90年代になって立ち上げたメール便では郵政省(現総務省)と「信書」を巡る論争で闘った。

    論理をもって不公正な制度に立ち向かう姿は、論理と正義の人という印象を経済界に与えた。

    郵便以外の物流インフラを日本ではじめてつくりあげた。規制緩和のため霞が関の公官庁と闘い、後年は障害者福祉に貢献した。


    「同業の参入を歓迎する」小倉
    <客が他社と比較対照すれば当社のサービスの良さが引き立つ。そんな自信があった>『経営はロマンだ!』

  • 仕事に於ける成功と、家庭での成功は全く別物である事はよく分かっている。会社では駄目社員でも、家では慕われているお父さんというのは存在する。

    必ず叶うけれども、どちらか一方しか選べないという選択肢しかない場合、自分はどちらを取るだろうか…

    今では鬱や境界性パーソナリティ障害などは、必ずしも精神の病とは限らず、栄養障害による可能性なども挙げられているが、当時医療的、社会的、文化的に色々大変だったと思う。確かに福祉に対する方向性は曖昧だったかもしれないが、何十億という資材を費やして行動を起こされた決断に感動を覚える。生きている間に一度でもお会いしたかったと思わされる方である。

    自分にとって「スワンベーカリー」は、初耳でしたが、カミさんは知っていました。さすがです。

  • たいへん感動しました。創造性のある名経営者と名高い方ですが、人生について深く考えさせられる書でした。
    当たり前なのですが、自分の健康を意識しつつも、家族があって社会と関わりながら、人生を送っているということを深く感じました。
    小倉さんは、エキサイティングな人生を送られ、誠実に家族や社会へ献身的に貢献されてきたのだな、それが名経営者たる所以なのだなと、思いました。
    自分も、この様な想いを持って、これからの人生を送ることができればと思います。

  • 経営に関するの内容を期待して読み始めたのですが、家族内での苦悩や喜びに関してでした。宅急便を生み出すだけでも大変なのに、プライベートでもいろいろな困難に立ち向かっていたことに驚きました。

  • ヤマト運輸、小倉昌男さん。偉大な経営者として尊敬されるの人物像とは重なりつつも、悩めるもうひとつの姿。家族との関係がうまく構築できなかった一人の家庭人、父親としての姿。少しずつ謎をときあかすノンフィクションスタイルで、読み物としても読み応えがある。本当にこれが真実なのだろうかと疑いを持つくらい、引き込まれた。
     著名な経営人、有名人でなく一般人であっても、家族との軋轢は語りたくないことだろう。そして逆にそれでも偉業を成し遂げた偉大さが記憶に残った。

  • 娘と母(さらにその母)の親子関係がいたたまれなかったが、精神医学の進歩のおかげでようやく悪い連鎖も断ち切れそうで何より。

  • 後日、著者の森さんと会食する機会があっていろいり取材話をきいた。で、オチになるので詳しくはいえないが、クライマックスの話をきく米国に西海岸の海辺ってどこですか?ってきいたらなんとレドンドビーチ。ここはくしくも自分の人生の転機になるような大事な話、数日をすごした場所でもある。レドンドビーチという場所は、人を素直にして話をさらけだせるなんともいえない力をもった土地だ。

  • 衝撃の一冊でした。小倉昌男経営学に続くビジネス書かと思いきや、社内の者でも知りえない小倉昌男のプライベートでの戦いが赤裸々に綴られています。最近特に感じるがどのような人でも必ず影の部分がある。その影との向き合い方について考えさせられます。
    筆者の書き味としてはノンフィクションのサスペンスのように引き込まれます。それにしてもよく調べてあります。

  • これはこれで良かった。感激を受けるかどうかと正しいかどうかは別にして、これはこれで感激を受ける。

    どんな宗教かはさておき、家族だとか愛だとか、なにかを慈しみ祈ることは人として大事なことだと思う。

    ただ、私には論理しか祈るものがないから、論理的にしか祈れないけどね。つまり、論理的であることでしか祈りは存在しない、ってことなんだけどね。

  • ヤマト運輸 社長として行政とケンカしまくる小倉昌男には障害者の娘がいた。その娘のためもあり、小倉は障碍者の社会参加に真剣にとりくんだ、という話。

  • すごい人もいるもんだな
    → 成功者だもんな
    → あー家庭はだめだったのか
    → 娘が全部わるいのか
    → 実は……

    家族のあり方や精神ケアなどいろいろと考えさせられる内容だった。かなり先進的な発想をするひとだったんだなあ。

  • 一人の名経営者が、なぜ引退後に巨額の私財を投げ打って福祉財団を設立したのか。誰にも語られていなかった動機を筆者は会社関係者だけでなく、家族などのプライベートな関係者への取材を通じて、ミステリーのように明かしていく。
    その裏にあったものは、長女の抱えていた境界性パーソナリティ障害と妻のアルコール依存症と自殺、だった。
    そして小倉の死後、長女の病気は薬で抑えられるようになり、「コーリング」として精神障害者のサポートを志していく様子は、物語として救いがあり涙が出た。

    また小倉の経営者としての素晴らしさも所々で垣間見れる。これは僕自身が中小企業の経営者だからこそ、感銘を受けた。僕もこうありたい。

    「インタビューで訪問すると、取材用に書類やデータを大量に用意している。その資料をもとに語る・・・その説得力や論理も一流でした。ところが、人柄としては、硬そうに見えて、会うと非常に丁寧な人。取材が終わるとエレベータまで見送ってくれる。そんな礼儀正しい事をしてくれる経営者も珍しかった」
    「小倉さんは、はっぱをかけるようなことはしない人でした。むしろ現場のセールスドライバーと会って、直接話を聞く。そこで問題や改善点などを発見していく。一方で地方の支店長など管理職には厳しく、ちゃんと仕事ができていないとか、わかっていないような人には、まともに口もきかない。」
    (スワンベーカリーの立ち上げの際に、タカギベーカリーを見学して)「さらに驚いたのは、小倉がただ見学するだけでなく、自らパン作りの工程を体験してみたいと言い出したことだった。・・・・「サービスが先、利益が後」など品質やサービスを第一にしてきた人だと思いました」


    その他、いくつか印象に残った箇所を。
    ・(会長に戻った経緯について)
    「私が相談役になってから、そう言った事実(交通事故の隠蔽)があまりに多いのに驚いた・・・恥を忍んで再び会長に復帰した」→小倉の現場への理解を表す言葉だなぁと。誰よりも現場をわかっていたからこそ、トラブル時に現場に復帰したのだなと。

    ・アルコール依存の治療プログラムのメソッドとして有名な「変えることができるものについて、それを変えるだけの勇気を我等に与え給え。変えることができないものについては、それだを受け容れるだけの冷静さを与え給え。そして、変えることができるものと、変えることができないものとを識別する知恵を与え給え」は、神学者のニーバーの祈りという言葉が元。

    ・自殺について第二バチカン公会議で「病死」という解釈になり、カトリックでも祈りの対象になった。

    筆者の取材力(よくここまで関係者の関係を築き、本音を聞き出せたなぁと思う)と構成力(ミステリーのように、読み進めると止められなくなる)も圧倒的だった。

  • クロネコヤマト宅急便で知られる、ヤマト運輸の元社長・会長であった、小倉昌男氏の生涯を伝える、ノンフィクション。小学館ノンフィクション大賞受賞。
    日本で初めての、個人から個人への宅配サービスを始め大成功を収めた小倉氏の、事業の成功と私生活の失敗、クリスチャンとしての生き方、引退後の慈善活動などが描かれている。もともと由緒正しい家の出で、東大に行き、親が創業した事業を受け継ぎ発展させ、人柄はまったく派手さがなく、誠実そのものだという。
    一方、家庭は家族の病気などで崩壊し、自分を責め懺悔の日々を送る。お金がうなるほどあっても、幸せとは限らないのだな、と皮肉にも感じる。本書は、小倉家の恥部とも思えるプライベートなことを、小倉昌男を直接知らない著者がディスクローズしてしまっているが、いいのだろうか。家族に会ってはいるようだが。
    妻が死んでから面倒を見てくれた女性の件も、考えさせられた。現在の日本では、やはり籍を入れていないと、最期に立ち会うことはできないのだ。
    小倉氏のことを手放しで称賛するだけではなく、フェアな視点で書かれた本ではある。
    次に帰国したら、スワンベーカリーに行ってみよう。

  • 斜め読み。やや無駄に長いと感じる。小倉昌男氏は家庭的には人並み以上の苦労の人であった。

  •  新聞の書評欄で紹介されていたので手に取ってみました。
     本書は、理不尽な規制権力に立ち向かった闘士としての稀有の経営者「小倉昌男」氏の知られざる一面を明らかにした著作です。
     ここまで踏み込むか・・・、私としては、個人のプライベートを露わにするジャーナリズムの姿勢に諸手を挙げて賛同するものではありませんし、またその伝えられる情報には玉石混交の観があると考えていますが、本著作の筆致は徒にセンセーショナルに煽るでなく、対象に寄り添おうという心が感じられる至って穏やかなものでした。

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小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたものの作品紹介

ヤマト「宅急便の父」が胸に秘めていた思い

2005年6月に亡くなったヤマト運輸元社長・小倉昌男。

「宅急便」の生みの親であり、ビジネス界不朽のロングセラー『小倉昌男 経営学』の著者として知られる名経営者は、現役引退後、私財46億円を投じて「ヤマト福祉財団」を創設、障害者福祉に晩年を捧げた。しかし、なぜ多額の私財を投じたのか、その理由は何も語られていなかった。取材を進めると、小倉は現役時代から「ある問題」で葛藤を抱え、それが福祉事業に乗り出した背景にあったことがわかってきた――。

著者は丹念な取材で、これまで全く描かれてこなかった伝説の経営者の人物像に迫った。驚きのラストまで、息をつかせない展開。第22回小学館ノンフィクション大賞で、賞の歴史上初めて選考委員全員が満点をつけた大賞受賞作。

小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたものはこんな本です

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