牛を飼う球団

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著者 : 喜瀬雅則
  • 小学館 (2016年1月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093798808

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牛を飼う球団の感想・レビュー・書評

  • 四国アイランドリーグ。野球好きなら、ご存知な方も多いであろう、独立リーグ球団。
    そこの選手はプロ扱いだが、低給でNPB(日本のプロ野球)やメジャーを目指す、球団である。

    “四国”であるから、当然4県愛媛、香川、徳島、高知に球団がある。それぞれ愛称があり、高知の場合は高知ファイティングドッグズだ。

    Jリーグなどで概要に詳しい方もおられると思うが、地方の球団はその地方の企業や個人から寄付を受けて、試合を行い、地域貢献などをして、球団を運営している。Jリーグと違う点は、四国アイランドリーグは、NPBとは別個・無関係の球団だ。

    当然、NPBからヘッドハンティングされることもある。今年のパシフィック・リーグ、千葉ロッテマリーンズの中心選手で、首位打者のタイトルを取った角中勝也選手は2006年のドラフト会議で同球団に7位で指名された。彼は当時高知ファイティングドッグズの選手であった。

    で、なんで私がこの本の書評を書こうと思った訳は、独立リーグは「プロ」を名乗っているのにもかかわらず、彼らはほとんどは無名で、かつそうでなくとも、諸般の事情で社会人チームを辞めたり、大学を中退した選手が最後の望みをかけて、死に物狂いで野球(を含む球団行事)をがんばっている。いい意味でのスポーツマンシップの持ち主たちなのだ。

    高知県といえば、ご存知の方も多いと思うが全国最貧県の一つで、上場企業も数えるくらい。法人スポンサーもなかなか思うように集められない。そんなわけで、球団の方針として、多角化経営をしている。

    その一つが、本書の題名ともなっている、「畜産」である。高知ファイティングドッグズの職員はオーナーが球場で、高知名物の「帽子パン」を売る、練習後選手は農作業に精を出す。畜産をする。まさに「牛を飼う球団なのだ」。

    ここでこのブログを読んでいる方は、オーナーがどういう方か知りたいと思うだろう。名前は北古味鈴太郎、短髪で少し太った好青年といったいで立ちだ。

    彼は高知の名門・土佐高を卒業後二浪し、大学進学を断念。様々な職を遍歴した後、不動産会社の経営者となった。そんなエリートサラリーマンに故郷からSOSが届いたのだ。

    それは「高知ファイティングドッグズにメインスポンサーが見つからない」ということで、オーナーを球団が公募するということだった。

    リーグCEOの鍵山誠は鈴太郎に会うとともに、意気投合。
    「この人に任せたい。すぐにそう思いました」と述懐している。その結果、鈴太郎は晴れてファイティングドッグズのオーナーとなったのだ。

    そこで鈴太郎のオーナーとしての営業が始まる。
    球団経営には最低基本的に6千万円程度必要。当時の収入ベースは4000万円に過ぎなかった。
    高知球団の2014年の人件費総額は5600万円に上った。これに経費が加わってくる。

    「4000万円足りない!」年間2000万円くらいなら、「自分で何とかなるんですよね。(鈴太郎談)」したがって2000万円足りない。メーンスポンサー探しが始まった。

    大阪市に本社を構える整水器メーカー創業者社長の森澤紳勝は、高知県土佐清水市の出身。一代で東証一部に上場する企業を作り上げた名経営者だ。

    森澤のもとには、高知県選出の国会議員や、高知の政財界など、あらゆるルートから球団救済の声が届いていた。

    鈴太郎は大阪本社の日本トリムに森澤を訪ねる。「2000万円を3年間」無理を承知の話だ。しかも鈴太郎にとってはこれがオーナーとしての初仕事。

    この商談の内容は本書には詳述されていないが、森澤は快諾。理由が「君のような若い経営者を支える。それが、僕の仕事だ」しかし「だから、口の出しようがないねん。訳が分からへんしね」金は出すけど、口は出さない。ベストなオーナーの有りようだ。

    鈴太郎マジックは他にもあった。
    なんと「越知(... 続きを読む

  • 高知県にファイティングドッグスという独立リーグのプロ野球チームがあることをご存知ですか? 彼らは球団のため、高知県のため、自分たちの手で野菜を育てて売るなど球団とは思えない面白い活動をおこなっています。そのため、畑を通じた地元の人との交流が盛んで、ファンとの距離も近いです。こんな球団が地元にあったら…と思わず感じてしまいます!

  • Jリーグの地域密着もそうなんだが、日本の「都道府県」というレベルでの「変わらなさ」について、挑戦していく姿は活き活きとしてひかれる。
     ただ、高知ファイティングドックスの「野球」そのものが語られていないのは、どうなんだろうか?そこに魅力が無いと。
     通訳の青木さんのような、プレイヤーとしてのめざましい活躍がもっともっと語られて欲しいよ。

  • 独立リーグの事がよくわかる。
    四国アイランドリーグは成功しているように思うけど、なかなか大変そう。

  • 独立リーグには惹かれるものがあるので、読んでみた。

    前代未聞の「プロ野球×地域創生」物語
    経営難で球団存亡の危機に瀕していたプロ野球・独立リーグの四国アイランドリーグプラスに所属する球団「高知ファイティングドッグス」。しかし、若き実業家・北古味鈴太郎がオーナーに就任することで事態は大きく変わっていく。鈴太郎は前例のない取り組みで球団を活性化させ、無謀とも思える球団の黒字化を目指していく。そのなかで始めたのが「牛を飼う」ことだった――。

    藤川球児が帰国後入団したことで、知名度がぐっと上がったんだな。頑張ってほしい。

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牛を飼う球団の作品紹介

前代未聞の「プロ野球×地域創生」物語

経営難で球団存亡の危機に瀕していたプロ野球・独立リーグの四国アイランドリーグプラスに所属する球団「高知ファイティングドッグス」。しかし、若き実業家・北古味鈴太郎がオーナーに就任することで事態は大きく変わっていく。鈴太郎は前例のない取り組みで球団を活性化させ、無謀とも思える球団の黒字化を目指していく。そのなかで始めたのが「牛を飼う」ことだった――。
●序章 異質の光景
●第1章 運命に導かれ
●第2章 理想の町を創る
●第3章 牛を飼う
●第4章 農業事業部
●第5章 ベースボール・ツーリズム
●第6章 最貧国からの挑戦者
●第7章 野球好きの女医
●第8章 「主将」と「県議選」
●第9章 真夏のご褒美
●終章 孫の手貸します


【編集担当からのおすすめ情報】
本書は、1つの野球チームが実際に起こした“奇跡”の物語です。作品の中では、独立リーグをずっと取材し続けてきた著者だからこそ引き出せた、球団職員たちの「ホンネ」が満載。高知球団の「プロ野球×地域創生」を体現した個性溢れる取り組みは、野球に興味がない人でも楽しめます。小説のようにドラマチックなノンフィクションです。

牛を飼う球団はこんな本です

牛を飼う球団のKindle版

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