- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093798860
作品紹介・あらすじ
自民党憲法草案ならますます日本は衰退する
衆参両院で「改憲勢力3分の2以上」が現実となった今、安倍自民党政権は、憲法改正に向けて一歩一歩「前へ」と突き進んでいる。
今の改憲論議では、戦争の放棄を謳う「第9条」や、災害・テロ対策のための「緊急事態条項」などが俎上に載せられている。しかし、それらの議論は、いわば安倍政権と”同じ土俵”で戦おうとすることであり、最後は”力比べ”となってしまう。そうではなく、首相の改憲提案を逆手にとって、憲法で規定された統治機構を改めることこそ「一強」体制を断ち切る効果的な攻め手となる――この全く新しい改憲論のカギとなるのが憲法第8章だ。
同章は「地方自治」を謳いながら、結局は中央政府がすべての権限を握り、中央の意向に従う者だけに目こぼしする歪な政治の論拠となっている。しかも、自民党の憲法改正草案はそれをさらに強化するものであり、ますます日本を衰退させてしまうと著者は警鐘を鳴らす。
繁栄の単位としての道州制の導入、生活圏としてのコミュニティの構築など、地方の「自立」を促す憲法を作れ――。「平成維新」の提唱者・大前研一氏が、旧態依然とした「安倍一強」中央集権体制に引導を渡す、初めての本格的改憲論。
【編集担当からのおすすめ情報】
2016年夏の参議院選挙で、いわゆる改憲勢力が3分の2の議席を確保し、いよいよ憲法改正論議が本格化しようとしています。しかし、政界やマスコミで俎上に載せられるのは、「改憲vs護憲」「9条改正は是か非か」といった一面的な議論しかありません。
著者の大前氏は、「平成維新」を掲げた30年前から、憲法を一から書き直す「創憲」を主張してきました。永田町と霞が関がすべての権限を握っている中央集権体制をやめなくてはならない。そのためには全く新しい憲法が必要なのだ――本書は、その独自の憲法改正論を初めて本格的に論じた1冊です。本書を読まずして、実のある改憲論議はできません。
感想・レビュー・書評
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大前研一さんが提案する、創憲をやってほしい。
橋下徹さんぐらいじゃないと、道州制の導入などできないんだろうなー。
安部さんじゃ、無理だ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今後の日本がとるべきグランドデザインが書いてある。これを読むだけでも注目すべき国内政治のアジェンダがよくわかる。さすが世界の大前研一。。
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地方自治体に今よりも権限をもたせ、責任を持たせる代わりに自由にチャレンジできるようなしくみにする。衰退をストップさせないと今後はたいへんだ、という内容。
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第9条を中心とした現在の憲法改正に異議を唱え、
第8章の見直しによる日本全体の底上げを訴える内容。
結果的には道州制の導入という著者の結論に行きつくのであるが、
憲法からのアプローチは面白かった。
色々な意見が出るのは良いと思うし、憲法改正にはもっと情報開示が必要と思う。 -
30年も前から主張していた小さな政府を追い求める論、今になっても褪せないし今なお必要とされてる考えだと思う。江戸時代以来の中央集権国家である日本を作り変えることができるのか。大前さんは都知事選以降
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大前研一氏が長年に渡り主張してきた道州制。その総括として、憲法改正を安倍政権がうたう中、真っ向から否定する内容として第八章を取り上げている。第八章は地方分権の項目であり、地方自治を認めてこなかった日本という国を象徴している。大前氏の言うように、経済政策の失敗、政治の腐敗と、低成長、または高齢化社会を迎えた日本が変えるべきポリシーとは何か、それはそれぞれの地域が努力してヒトモノカネを呼び込むことでしか日本は成長できないという危機感なのである。この点は、前提となるサイバー経済、心理経済学等、ケインズ理論の限界点を見て、改めて考えなければならない状態を踏まえれば、当たり前のことのように思える。
もう一つ、重要な点はコミュニティに言及していることだろう。ポートランドやニューヨーク、ロンドンのブリクストンなど、成功をおさえ人や物や金がどんどん入ってくる場所とは、コミュニティを形成し、それが魅力的である。こうしたコミュニティを形成しようとすると、国が全てを支配し、文部科学省が一律の教育を施す限り不可能であり、税金からその使い道までほぼ国に抑えられている状況で、飛び抜ける地域が出てくるはずがないという大前氏の主張もうなずける。
では、政治はなぜ道州制に動けないのか。橋本知事が動いた数年前、骨抜きにしようとする自民党がいた。それは、支持基盤にあると思う。自治を認めれば、国会議員の持つプレゼンスは下がる。交付金をたてにとって、頭を下げさせて来たからだ。でも、限界だろう。公共投資も新幹線も、それ自体は公共サービスでやればいい。オリンピックも同様に国としてやるならやればいい。しかし、ベネフィシャリーが誰かも考えずに、方向性を決めてしまうから間違いが起きる。
まずは、憲法をゼロベースで起草してみよう。大前氏の大きな問いかけに、日本は応えられるのだろうか。