9・11(セプテンバー・イレブンス)―あの日からアメリカ人の心はどう変わったか
- 小学館 (2002年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093860925
作品紹介・あらすじ
日本人小説家が「NYテロ後のアメリカ」を活写したノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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実に恥ずかしいことに、刊行された直後にこの本を読んだはずだが著者の主張をありきたりな「反グローバリゼーション」と誤読していたのだった。今虚心に読むと、著者はある意味でもっとラディカルに(?)愛国主義とも反米・反グローバリズムとも違う第三の道を模索しているように映る。それは言語化するのが難しい、多分既存の(ありあわせの?)言葉では捉えがたいものだろう。逆に言えばそうして体系だった思想に結論ありきの姿勢で収斂させていくのではなく、まず五感を総動員させて捉えたアメリカという外部に自ら実験的に投じる勇敢さを感じる
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米国在住作家・冷泉彰彦氏が、刻々、変わってゆく人々の心の内をリアルタイムで描写し、かつ著者自らが鋭く分析した現代アメリカの深層を大幅に加筆、メディアの報道だけでは知り得ない真のアメリカの姿を、この本は浮き彫りにしている。アメリカ人はあのNYテロの衝撃からほんとうに立ち直ったのか。その答えは本書の中にある。
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04066
テロ直後のNYの様子をレポートしながらアメリカ人の日常生活も描き出している。 -
ある意味ではリアルなあの日からの記述なんだろうけれども、「やはり日本人という固体から見つめる視点」なのだろうし「だからこそ真実がみえる」ということもあるとは思う
真実が人種、人種というよりも種族?種族じゃねーか、人間の数だけ真実はあるもんなぁ
難しい。
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9・11本なんですが、これ!すごい面白かったです。借り物なんですが、色々勉強できる点が多かったので買おうかなー…と。うぅ、1600円のハード…こりゃあ私もお昼代削減でいくしかなさそうだ。
書き口がとても私好みでした。そして視点が筆者だけのものだったり、世論中心(これは思想が偏りやすい)であれば特に面白いとは思えなかったと思います。その点でこの本は今まで読んだ9・11、国際関係の本ではダントツにいい本ではないかと思います。
筆者はアメリカ在住の日本人です。本業が作家という点で、記述がすごく読み手側が面白いと思えるのではないかと思ってましたが、それは当たりかな、と。
時に涙を誘う場面もあれば、わかりやすいアメリカVSイスラムの歴史、国際関係論、アメリカ政治の話などなど、実に幅広く視点が開かれているところも私はいいな、と思いました。
9・11以降、アフガン攻撃に至るまで世界中、そしてアメリカはあらゆる葛藤を抱えていたはずです。
正義の名の元に行われる殺戮行為が、テロの犠牲者の残された家族の心を必ずしも救いはしない、ということは本当は自明のことだったのかもしれません。
それでも、戦いへのムードは高まっていくばかりでした。街中で流れるゴスペル、ハロウィンや感謝祭を向かえる人々の意識、国旗と愛国心…日常の生活から、本当に人々は何に『癒し』を求めていたのかということを、筆者は真摯に見据えようとしていました。
国際関係は専門外(選べば今後も変更は可能です)でしたが、新聞記事だけじゃなくて、一個人の今回のような意見を見てみるのもまた、勉強になるなぁと思いました。
しばらく小説中心でしたので、この本はゆっくりゆっくり読み進めたのですが、本当に良い本でした。次は筆者の書く小説を読んでみたいなと思います。
(2003年5月16日)