さくら

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著者 : 西加奈子
  • 小学館 (2005年2月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861472

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さくらの感想・レビュー・書評

  • 幸福だった家族が、兄の死によって、崩壊していく。
    美人の妹はひきこもり、綺麗だった母はぶくぶくと太り、父はどこかへ消え、語り手の次男、薫は上京し、家族はバラバラになったが、父が帰ると手紙を寄こしたことがきっかけで集まります。
    でももう兄はいない。あんなに強く繋がっていた家族がぎこちなく正月を迎えようとしているとき、もう一匹の家族、サクラが家族を救う。

    西さんの特徴でもある、強烈さ、いびつさ、そして美しさ。すべてが散りばめられた素敵なお話でした。
    構成も登場人物も好きすぎて、全てがすきだと、どこをとったらいいのか、何を書いていいのかわからなくなってしまいますね。

    強烈でいびつな家族でありながらも最後の最後に、一番影の薄かったお父さんが、一番先に逃げたお父さんが、ふんばる。支える。一番非力な犬が、救う。
    そこで綺麗にまとまったような、まっとうな家族に見えた気がして、えらい感動しました。

  • 語り手次男から見た、両親、兄、妹、愛犬との、家族の物語。

    夫婦が出会い、愛し合い、子どもが生まれ、家族になる。
    ちょっとすっ飛んだ、変わった妹がいるものの、平凡な幸せな家族。
    子どもたちの成長の話が淡々と続いているうちに、その微笑ましい姿に、前提となっていた不幸をすっかり忘れてしまっていました。
    その不幸な事故とその後を予感させる段になって、改めてはじめの章を読み直した次第。

    神様の悪送球に苦しんだ兄、
    神様は、どんな球をも受けるキャッチャーと思えるようになった家族、
    大きな出来事を乗り越え、また新たな家族の時間を積み重ねていくのだろうと思わされる終わり方に、最後はホッとしました。

    サクラが愛らしくて、犬を飼っている我が家でもあるな~と。
    サクラには、この後も長生きしてほしいなと思いました。

  • とても幸せな家族の変遷。美しい両親と美しいDNAを受け継いだ兄妹を持つ平凡な主人公薫の目線で語られます。何処へ行っても人気者の兄、誰もが振り向く美少女の妹、そして明るく優しい母と思慮深く働き者の父。誰をも笑顔にさせてしまう(残念な容姿の)飼い犬サクラ。そんな幸せな長谷川家に起こった大きな不幸で、家族は壊れて行きます。急速に歪みバラバラになった家族を、またつなぎとめたのはサクラでした。「僕らはなんて、賑やかな人生を歩んでるんだ」、最後にそう思えた薫の達観は見事。号泣でした。西さん凄すぎる。

  • 西加奈子さんの作品、今までアンソロジーの短篇くらいしか読んだことがありませんでした。
    又吉直樹さんが『夜を乗り越える』(小学館)で西さんを絶賛していたので読んでみようと思い、初期の作品をチョイス。

    父と母、お兄ちゃんと妹と僕、それに犬のサクラ。
    世界で一番幸せだった家族が、兄の死によってばらばらになり、再び新たなスタートを迎えるまでの物語。
    気軽に読み始めたものの、次々と重いテーマが飛びこんできてずっしりとした重量感…だんだん読み進めるのがつらくなってしまった、というのが本音。

    色や音や感触の表現がとても鮮やか!
    読んでいるあいだ五感が敏感になっている感じがしました。
    途中で書き直しをしないで一息に書き上げたような勢いとみずみずしさはデビュー2作目ゆえ?
    ほかの作品も読んでみたいと思います。

  • 割と呑気で明るい雰囲気の中で、兄ちゃんが死んでるって事だけがどうしようもなく辛い。死ななければミキは解放されなかったのかなとも思うけど、やっぱり死ななくても良かった気がしてならない。

    誰にも不幸の訪れなかった、幸せなままのこの家族の物語が読みたいな、と思った。

  • 失踪した父親からの手紙を契機に下宿先から大阪の実家に戻ってきた長谷川薫。15歳の老犬となったさくらが出迎えてくれる。
    太陽のような兄、一への思い出。美しいがけんかっぱやい美貴へのいとおしさ。起きた不幸を神様に恨むのではなく、それを受け止めてしなやかに生きてゆこうとする家族の物語。

  • やさしくて切なくて、泪がこぼれそうになりました。
    この方の作品はいつも心の中にじわんと染み込んで、読み終わったときには「あぁぁああ」ってため息を吐き出すみたいに叫びたくなります。

  • 西さんの本を読み終わったとき、いつも目からたくさん鱗が落ちている気がする。きれいな言葉というよりも、すごく具体的で、近所にいるみたいな言葉で、おもしろおかしく、時に平然とした顔でズシンとさせる言葉が並んでる。順調にみえてもどこかで噛み合せがおかしくなると、崩れるのは早い。でも大丈夫。おわりじゃないし、やってきたことやつみかさねてきたことは無駄じゃない。全部誰かのもので、誰のものでもない、という言葉がすごく好きでした。終盤、みんながものすごくがむしゃらに前に進んでいる様子が大好きだ。読んでて、また西さんにお会いしたくなりました。サクラのかわいさが活字として踊ってます。

  • 歪んだ人、歪んでいく人。むしろ普通より、より幸せな家族が少しずつ崩壊へ向かっていく様。それでも上からやんわりと包み込むような温かな作者の眼差しを感じる。終わってみれば、どんな人でも愛おしいと思える物語。

  • なんとなく寂しいとき、もやもやするとき、疲れてしまったとき。私の心がどこかにヘルプを訴えているとき、この本を読みます。生きること、人を愛することがキラキラと書かれていて、これを読み終わった後は日々の生活の中で少しずつ濁ってきていた心が透明感を取り戻したような、軽くなった気がします。私の救済本です。
    カーペンターズの「Top of the World」しばらく携帯の着信音でした。

  • 古本屋でサルベージした1冊。
    初西加奈子だったけれど、帯文の泣けます!って言葉に「ほんとかい?」と思ってしまって泣けなかった。
    色々詰め込みすぎ&過剰感が否めないと思うのですが。

  • 読みやすいし、どんどん先が知りたくなるけど、うーん。別に特に読む必要もないかな。暇つぶしにどうぞ、と思う。ストーリーは後半、一気に重くなる。犬のさくらだけが、希望。幸せは実にもろくて、一番小さなものに宿る、ってことなんだろうね。

  • 材料だけ集めて詰め込んでぐつぐつ煮込んだ鍋物料理のようだ。味わいがない。

    小説に読み慣れた読者は満足しないだろうが、話小中学生向けには良い。

  • ある5人家族の話。
    いろんな要素が詰め込まれていて、ちょっと中途半端な感じがした。

  • 感動は全くしなかった。この人の作品は初めて読んだが、他の作品を読むことはない気がする。

  • 幸せな家族がむりやり不幸になるように書いてるみたいで
    後味がわるすぎた

  • 高校の頃に読んで、もやもやした印象でなんだかつらくて、今までずっと手元にあったんだけどどうしても読み返すこともできなくて、売っちゃった本。他の人のレビュー見たら絶賛されていて思わずまた読んでみたくなった。今読んだらもしかしたら違う感想なのかもしれないけど、なぜか良いイメージができない本。相性が良くなかったのかな。

  • びっくりしました。
    あと爽快な気分になりました。
    【熊本学園大学:P.N.しるこ2】

  • 読書感想文を書くために買った本。
    救いがあるような、ないような。
    読み終わった後しばらくもやもやしました。

  • 不思議な感性を持った1つの家族の物語。
    色んな物の感じ方、表し方、、、。
    とにかく【絆の強さ】の一言につきる1冊やと思う。
    どんな事があっても、家族の絆は消えない。

    けっこう、重い内容の話の中に愛犬のサクラが存在する事によって息がつまりそうな感じを上手く消せてる♪

  • 人が生きるとか死ぬとか。考えさせられる。切ないお話。

  • 家族の絆を考えさせられる。犬も家族。切ないけど、読んでよかった。

  • 読み終わった瞬間
    「おもしろかった」
    とつぶやいた。

    ほんわかした世界に突然嵐が来るような運びに心奪われた。

  • いったい、この異常な家族の物語のどこで感動するのだ。

  • ラストが近づくにつれ、しゃくりあげて泣いてしまったお話です。
    「さくら」とは、主人公の「僕」こと長谷川薫の家の飼い犬の名前。
    ある年越しに、久々に実家に帰っている間の出来事が「僕」の語り口
    で思い出とともに語られています。
    作者の西加奈子さんは、イラン生まれで大阪在住。泉北ニュータウン育ちの29歳の方です。
    優しく穏やかな父。美人の母。
    万能選手の兄。
    母譲りの美貌と、アンバランスな性格の妹。
    そして、まるで目立たない「僕」。
    その家族をいつも見守るように寄り添っている「さくら」。
    妹の誕生から子供時代の遊び、学校に入ってからの出来事や彼女のこと。
    これらの思い出がどれも甘美で切ないのは、かつてのヒーローだった兄が、
    今はもうこの世に存在しないから。

    幸福に見えたはずの家族が、兄の死から少しずつズレていきます。
    やがて取り返しのつかないほど崩壊してゆき、誰もが逃げて行く。
    しかし「僕」が帰省した年におきた、ある出来後が。。

    小さなエピソードがたくさんあり、散漫な印象があるかもしれません。
    修飾語が多いのも気になるひとがいるでしょうね。
    性についてもあからさまに語られています。
    音楽で言えば、色々な楽器が様々な音をたて、リズムも不安定な感
    じがします。
    ちょうど、ジャズのようなもの。
    しかし終盤に近づくにつれ、美しい調べとなって感動に包まれます。
    Amazonでは何故か、評価は星三つ。
    「たったこれだけのことを言うのに、こんなにページはいらない」という
    酷評もあります。
    たったこれだけ?とんでもない。実に大いなるテーマです。
    悲壮な話なのに、スピード感があり、読後も爽やか。
    芥川賞には縁がなく、直木賞をとるには早すぎて、しかも書評家には
    ウケが悪い。
    そんなことをいつまでも言っているから、若い人の読書離れが進むのだよ。
    若い人にこそ薦めたい本なのに。
    これは読むというよりは、感じる小説なのです。

     それでも、僕たちはずっと生きていく――。
     5人と1匹の、まっすぐで、まっすぐで、まっすぐな、ものがたり。
                               (帯より)

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