きいろいゾウ

著者 :
  • 小学館
3.69
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本棚登録 : 1896
感想 : 366
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093861625

作品紹介・あらすじ

その昔。少女は、病室できいろいゾウと出会った。青年は、飛ばない鳥を背中に刻んだ。月日は流れ、都会に住む一組の若い夫婦が、田舎の村にやってきた。妻の名前は、妻利愛子。夫の名前は武辜歩。ツマ、ムコさんと呼び合う、仲のよいふたりだった。物語が、いま、はじまる。最新にして最深の、恋愛長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 肉子ちゃんがなかなか良かったので
    ずっと積み本になってたこの本を手に取りました(^^)



    前半らムコさんとツマの日常を
    丁寧に描いていて

    あぁこういう風な暮らしもいいなと思いました


    途中でてくる大地くんが
    とてもいい!!



    しかし後半

    がらっと雰囲気が変わっていき

    ちょっとずつ読むのがしんどくなってきました。



    そしてなかなか理解しきれない部分も出てきて…



    そしてそのまま終わってしまった、
    そんな感じです。


    西加奈子さんは3作品目ですが
    表現が綺麗ですね


    一瞬一瞬を丁寧に表現されていて
    読むと楽しいけど
    なかなか入り込めないこともある
    そんな感じです。


    この話は
    前半の感じは好きなので
    星は3つ

  • 絵本と小説が混ざったような世界。
    しかし、小説の中で小説家が登場することが、現実より圧倒的に多いのは気のせいだろうか??

  •  ちっぽけな夫婦の、大きな愛の物語。夫婦って、不思議だ。恋人の延長ではなくなっていく。何ていえばいいんだろう。あるべき場所におさまる感じ?今まで起こってきた嫌なこと辛いこと、恥ずかしいこと、すべてすべてが、その人と出会うためにあった。そんな感じ?

     妻の名前は妻利愛子(つまり あいこ)。見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりする性質。霊感?西さんの作品って、こういう女の人が多いのかな。
     夫の名前は、無辜歩(むこ あゆむ)。小説家。過去に年上の既婚女性と不倫をし、その別れの後、自分の背中に飛ばない鳥を刻む。無辜さんの設定は、村上春樹さんのかく男とかぶる。1Q84の、天悟くんかと思った。

     ツマ、ムコさんと呼び合う仲のよい二人の日常が淡々と書き連ねられていくだけかと思ったら、ムコさんの元に届いた手紙をきっかけに、二人の仲に微妙なずれが生じていく。この辺、読んでて痛かった。

     物語は、ムコさんとツマ両方の視点で交互に書かれるから、読み手である私は二人がどれほどお互いがお互いを好きかわかる。だからこそ、二人が微妙にすれ違っていくのが辛かった。

     「おかえり」「ただいま」。あるべき場所に帰ったムコさん。自然に受け入れるツマ。二人がきらきらしていて、ぴったりで、とてもうらやましかった。
     こんなにはっきりと、誰かを好きだと認識していられて、相手からも同じように好きを返してもらえるなんて、奇蹟のようだと思った。

     すきって、いいな。誰かを好きでいて、その誰かからも好きでいてもらえて、その人のそばにいられて、おかえりただいまが言えるって、いいな。
     それは、この世界の中の、いっとうの幸せなんだろうって、思った。

    • akitukiyukaさん
      コメントありがとうございました。二人のすれ違いも、今までの中で仕方なくすれ違ってしまっていた人たちの思いも切ないですよね。ayakoo80さ...
      コメントありがとうございました。二人のすれ違いも、今までの中で仕方なくすれ違ってしまっていた人たちの思いも切ないですよね。ayakoo80さんのレビューを読んで、積読になっている1Q84読みたくなりました。
      2013/05/31
    • HNGSKさん
      akitukiyukaさん。こんにちは。
      アレチさんも切なかったですねー。いつもチャック開けているじいさんなだけじゃなかったっていう・・・
      ...
      akitukiyukaさん。こんにちは。
      アレチさんも切なかったですねー。いつもチャック開けているじいさんなだけじゃなかったっていう・・・
      すれ違うけれども、元に戻っていく。それも1Q84の世界と似ているなあと感じました。私はタマルさんがすきです。
      2013/05/31
  • 早く文庫にならないかなぁ~

    http://www.kiiroizou.com/

  • ムコさんとツマという田舎で暮らす二人の夫婦の話。
    幸せな光景や描写がとても多くて読んでいて
    心地よくて大事に大事に時間をかけて読んだ。
    この二人を取り巻く人々も何かと良い。
    ずっと大事にとっておいて、これから自分の
    夫婦生活において新陳代謝が必要になった時は、
    またこの本開こうと思う。
    いろんな大切な気持ちを思い出させてくれる本。
    幸せな光景が羅列されている訳ではなく物語
    としても綺麗にまとまっていて、素晴らしい。
    今年一番の本になるかも。
    この作者の他の本も読んでみたい。

    「わかる?わかんないよね?」 この言葉いいなぁ。

  • うまく言葉にできないくらい好きな作品でした。

    ツマとムコさんの関係とか、暮らしぶりとか、大地くんやアレチさんとかぜんぶが良くて、時間をかけて味わうように読みました。


    好きな女の人と住むことが、僕は大人のダイゴミだと思います。

    強くても、弱くても、人間 つよしよわし

    ツマは、僕が、美しき世界で愛そうと思った、初めての人です。
    ただ茫洋と横たわって、でも確実に何かを育んでいて、知らないふりをしていて、おせっかいなこの世界で、過去ではなく未来を見つめて一緒に生きていこうと思った、初めての人です。

    今僕を動かし、慰め、戒め、休ませ、そしてそこにい続けさせていること。
    それは、ツマを愛しているということだった。

    ツマのそばにいる、きいろいゾウ。
    それは僕でありたい。
    背中に鳥を背負った、それは僕でありたい。


    大丈夫って言葉を欲しい時に言ってくれる人はかけがえのない人ですね。

  • 前半のゆっくりと流れる時間描写、主人公の独特の精神状態を軽く流す表現、これでは読了するやろかと少し不安を感じたまま読み進めると・・・ドン!ドドン!ドン!
    西加奈子さんの好きなところは、私になじむ関西弁が綴られるという事もあるけれど、画一的な答えを出さず読み手それぞれの心にゆだねるところ。登場人物もみんな、大好きになるような感じではないけれど嫌いじゃない、少しのクセが読者のそれまでの生き方や環境に左右されるのがいい。
    続編を読んでみたい。

  • 西さんワールドが溢れて、溢れて、そして散らばった っていうのが読み終わった印象。
    気軽に読み始めたけど、たくさんの要素が詰め込まれていて、正直時間はかかってしまった。笑
    石井しんじの「ぶらんこのり」に似てるな、と思う。
    ふわふわと抽象的で、でも引き込まれる。

    他の作品も何冊か読んでるけど、いつものはっきり明快な芯というか、伝えたいことというか、完成された登場人物像というかがあんまりなくて、ムコさんやツマと一緒に悩んで答えを出していくかんじが新鮮だった。

    ムコさんとツマの田舎での暮らしは、時間の流れがずうっと遅くて、色鮮やかで、素直に素敵だなと思う。

    「どれも私たちにこう言ってくれる、遠慮しないで!私たちは堂々と大声で笑って、いつまでも座り込んで、時おりどたどた走って、そして大きな鼾をかいて眠るのだ。」

    そして最後の結論は、西さんらしくいたってシンプル!優しく温かいもので締めくくられてたのはよかった。

    「僕は、人生というものが、ただそこにあるものだと知った。(中略)そしてそれはそこにあるだけで、それだけで安心して眠るに値するものだと、目覚める理由があるものなのだと知ったのです。」
    「ツマがそこにいること、人生のように、日常のように、そこにただいてくれるだけで、安心して眠りにつけるのだということ、堂々と、幸せだと笑っていられること。」

    「僕は、ツマを愛しています。」

  • 2.6

  • 田舎で暮らすツマとムコさん。
    二人ののんびりで、暖かな毎日。
    でも、ムコさんには、背中に大きな鳥の絵があった。

    クスッと笑って、ぷっと吹き出し、
    そして泣いた。

    前半の二人の暮らしぶりが、ほのぼのとしていて、とっても魅力的でした。
    ツマの不思議っぷりが微笑ましく、それをまるごと受け止めているようなムコさんの様子が、いいな~と思っていました。

    後半に、大きな展開があることは知っていて、ちょっと覚悟して読み進めていたのですが、
    切なくて、悲しくて、でもあったかくて。
    誰にでもあるのかもしれない秘密、それを乗り越えて、また二人がたどり着いた、もっともっと暖かな日々。
    鼻の奥が、何度も何度もツーンとしました。


    前回読んだ西加奈子さんの『炎上する君』
    今一つ入り込めず、今では内容も覚えていないという。
    でも、これは、ホントに良かった。
    また別の作品も、読んでみようと思います。


    映画も見たいな。

    今回は、図書館で借りた本ですが、手に入れようと思います。
    そして、近いうちにまた、読み返そうと思います。

    とてもいい本でした。

    お気に入り本ベスト3、更新決定です。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

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