こうふく みどりの

著者 :
  • 小学館
3.56
  • (87)
  • (163)
  • (218)
  • (34)
  • (8)
本棚登録 : 1138
感想 : 180
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862066

作品紹介・あらすじ

お前んち、いっつもええ匂いするのう。おばあちゃん、夫(おじいちゃん)失踪中。お母さん、妻子ある男性を愛し、緑を出産。藍ちゃん、バツイチ(予定)、子持ち。好きになったら年齢問わず。桃ちゃん、4歳なのに、まだおっぱい吸いに来る。辰巳緑、14歳、女未満。初恋まであともう少し。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『どこ行くねんな。
    どこて、言うたやんか。「金」。焼肉屋。テレビの撮影見に行くねん。
    なんで俺も行くねや。
    ええやんか、おもろいやんか。なんか、用事あんの?
    ないけど。
    ほな、ええやん。あんた背高いし、テレビの人にスカウトされるかもせーへんで。
    なんじゃそら。』

    二人が大阪弁で話すこの会話。あなたは、これを読まれた時、どう感じたでしょうか?
    Q1) とっつき難かった?
    Q2) 読むのに時間がかかった?
    Q3) べたべたした感じを受けた?
    Q4) “せーへん”を自分の知っている言葉に”翻訳”しようとした?
    Q5) 喜劇の一場面のセリフかと思った?
    ブクログには全国からレビューが投稿され、私のこのレビューも全国の皆様に見ていただいているのだと思います。そんな日本各地には、その土地土地によって方言が存在します。色々な数え方もあるようですが、日本の方言は最終的には16種類に分類されるようです。意外と少ない印象もありますが、この小さい島国の中にそれだけの独自の言葉があることに一方で驚きます。そんな方言の中でも、大阪弁(もしくは関西弁)は関西という文化圏の規模感もあって日本全国どこにいても何かしら耳にする機会が多い方言だと思います。しかし一方で、小説の中で全面的に大阪弁が展開するとなると、それは珍しい部類に入ると思います。私はここ数ヶ月で小説ばかり200数十冊を読んできましたが、大阪弁で記述されたものはあれと、これと…と数えられるくらいしかありません。ただ一方で、数えられるということは、私がそれを強く意識している証拠でもあります。話がそれましたが、上記で出させていただいた5つの質問に戻ります。これらに”Yes” or “No”で回答するとしたらどうでしょう。大半を”Yes”と答えた方がいらっしゃる一方で、大半を”No”と答えた方もいらっしゃるはずです。上記した5つの質問は、小説自体の印象を問うものではありません。ただの大阪弁の会話の印象を問うただけです。にもかかわらず、”Yes”と”No”にその印象が分かれてしまうという現実。『私自身、しゃべる言葉が大阪弁なので、一番自然に書けるのが大阪なのかなって』と語る西加奈子さん。そんな西さんが描くこの作品は、全編に渡って大阪弁が展開する物語です。そんな大阪弁による記述は、果たして物語をどう読者に印象づけていくのでしょうか?

    『平日昼過ぎの銀行は、動きのとろい人が多いような気がする』、そして『うちは、なんや眠い。ここに布団しいてもろたら、そのまま寝てしまいそうな感じや』というのは主人公の辰巳緑、『うちには兄弟もおらへんし、ついでに父親もおらへん』という中学二年生。『ちょっと銀行行ってきて』と言われ、お金を下ろしに来た緑。『今月の生活費三三万円。ついでやから銀行の緑の封筒を束で全部もらう』という緑は地元の上洲商店街を歩いて帰ります。そんな時、田村のおっちゃんに会いました。『おう、緑やないけ!』と大きな声に『おっちゃんかぁ、おはよう』と返す緑。『おはようちゃうやろお前何しとんねやこんな時間に。学校はぁ、なんや創立記念日かなんかか』という質問に『学校あるけど、風邪気味やから休んでん』と返す緑。『ええ身分やのう。おっちゃんも風邪引いて休みたいわ』という平和な平日の街中。『ただいまぁ』と家に着くと『ぬっと顔を出し「にゃあ」』と鳴く『挨拶を忘れへん、律儀な猫』のカミさん。『いつの間にかホトケさんも、のちょのちょやって来た』というこちらも飼い猫。そしてもう一匹、『いつも小屋の中で寝てる』ポックリさんという犬。そんな時『視線を感じた』という先には『台所の引き戸から、桃ちゃんがこっちを見てた』という姪っ子。そして『おかえりぃ』と『台所で藍ちゃんが餅を焼』きながら声をかけます。『桃ちゃんは四歳やのに、まだ藍ちゃんのおっぱい吸いにくるんやと言うてた』という訳ありな母と娘。そんな時『あ!藍ちゃん。桃ちゃんまたおしっこ!』と緑が叫ぶも『え?あーあー』という展開。『おしっこを踏まんように注意しながら、居間へ行』くと、『緑おかえりぃ』と『紫がかった煙草の煙』を噴出させながら言う母、一方『縁側で爪を切ってる』おばあちゃんは『なんぼやった?』と緑に尋ねます。『三十万ちょっと』と返す緑に『ほうか』と答えるおばあちゃん。『お母さん、封筒置いとくで』と言う緑に『鏡台入れといて!』と『何でも鏡台の引き出しに入れる』お母さん。そんな一つ屋根の下に女性ばかり五人と三匹が暮らす辰巳一家のごく普通の日常が淡々と描かれていきます。

    「こうふく みどりの」というなんとも不思議な書名のこの作品は「こうふく あかの」という作品と二部作として刊行されています。どちらから先に読んでも良いということだったのでこちらを選びましたが、その不思議感は書名だけでなく本文の中で視覚的にも続いていきます。まずはその冒頭の一行目。『そのまま前にお進みください』という一文が、それに続く本文よりもフォントサイズを上げて単独で見出しとして記述されています。これには流石にえっ?と固まらざるをえません。そして、『平日昼過ぎの銀行は、動きのとろい人が多いような気がする』という本文が続くこの冒頭。もしや、というその先にも『画面の案内に従ってボタンを押してください』『お取引後の残高3462円』という文章が何故か太字で強調して表記されていきます。さらには『資産運用、他人事だと思っていませんか?』とまたまた太字の文章が登場します。当初、”太字=重要”と理解しましたが、太字が登場すればするほどに、どうしてこの一文が太字なんだろう?と困惑してしまいます。そして、ようやくこれらが主人公・緑の目に入ってくる掲示物や、ディスプレイに表示されている文字列の記載だということに気づきました。全編に渡ってこの太字は数多く登場しますが、ストーリー的には直接関係がないと思われるものが大半です。しかし、よくよく考えると、普段我々は日常生活を送る中で、緑と同じようにこういった莫大な文章を知らず知らずのうちに目にしていることに気づきます。普段はサクサクと脳が意味のあるもの、ないものを振り分けてくれるためにその圧倒的大半は記憶にも残らないのだと思いますが、それを書き起こしていくとこんな風になっていく、西さんの目の付け所の面白さと、それを作品の中でこのように展開してみせる構成の妙にただただ感心させられました。

    また、太字ということで言うともう一つあります。この作品は基本、緑の第一人称で展開しますが、途中に幾度も太字で、緑視点の物語とは一見全く関係のない謎の人物視点のストーリーが並行して描かれていきます。小説内小説とも感じられるくらいに緑視点の文章とは一線を画す圧倒的に沈鬱な世界観のその文章は、やがて結末に向けて緑視点の世界と一つに繋がっていきます。それは、少しづつ、あれ、あれれ、という感じで近づき、そういうことか!と納得感のある結末へと結実します。このあたり、複数の世界観のストーリーが同時に楽しめるとも言え、とても上手いなぁと感じる部分でした。

    そして、この作品は何を置いても、大阪弁無くしては語れない物語だと言って過言ではないでしょう。『私自身、しゃべる言葉が大阪弁なので』と語る西さんが書きおろす大阪弁は、ブクログのレビューからも、普段使いの方にも全く違和感のない本物として捉えられているようです。レビュー冒頭の二人の会話の他、
    『せやかて…、せやかて、やっぱりテレビは、すごいやん』
    『まあ、ええわ、行こ!』
    『阿保、お前。よう見てみい、店のお母さんやがな』
    といった感じで、活き活きとした大阪弁の会話が全編に渡って記されていきます。ただ、上述した5つの質問で、大半が”Yes”になる大阪弁には慣れていないという方の場合、この圧倒的な大阪弁の洪水は冒頭から数ページ読むにも普段以上に読書の時間がかかってしまうと思います。実際、ブクログの感想の中でもそれによって途中で断念したと書かれている方もいらっしゃいます。でも、このことは裏返せば、それが本物である証拠。それっぽく書かれたものではなく、あくまで本物の活きた大阪弁がそこにある。生活に根ざした大阪弁がそこにあるというところにこの作品が潜在的に持つ力強さのようなものがあると思いました。

    では、そんな大阪弁を使っていらっしゃる人々をイメージすると、どんな言葉が思い浮かぶでしょうか?私の頭に思い浮かぶのは”人情”の二文字です。苦しくって辛くって、それでも顔を上げて前を向いて歩いていく人々、ステレオタイプなイメージと言われればそれまでかもしれませんが、私が抱く、活きた大阪弁の先に浮かぶイメージはこの二文字です。そう、この作品に大阪の街を見た、大阪に活きる人たちの喜怒哀楽の人生、紛い物でない本物を見た、そういった感覚を抱いたのがこの作品です。
    『阿保やなぁ』
    という言葉が決して人を本気でバカにしたものではないというその世界観。大阪弁に慣れていらっしゃらない方には慣れるまでは”読みづらい”と、ハードルが高く感じられるかもしれませんが、それを一つ越えた先に広がる世界には、ほっこりとした世界観の中に力強く生きていく人々の熱い思いが感じられる世界が待っていました。

    大阪のとある街を舞台に描かれたこの作品は、女性の力強さを感じる物語でもありました。さまざまな事情を抱える彼女たちには、その逆境を跳ね返し、それでも生きていこう、前へと進んでいこうという力強さ、たくましさがありました。そんな彼女たちの日常が淡々と描かれたこの作品。

    『こうふく』とはなんだろう、人として生きていく中でのそんな根源的な問いかけを改めて意識する機会を与えてくれた、そんな作品でした。

  • 祖母と母と従姉妹と、女性ばかりで暮らす中学生の緑の目線で日常を描きつつ、周りの女性たちの必ずしも恵まれているとは言い難い環境にもかかわらず、どこか温かいものを感じさせてくれるストーリー。

    大阪の下町のごちゃごちゃした感じとそこで人を惹き付ける祖母の存在も、個人的には新鮮だった。

  • 女所帯でくらす中学生緑ちゃんからの視点で描かれてました。
    所々「この人は誰?」な人の視点で描いてある箇所もありました。
    とりとめのない日常の中ど肝を抜かれるような出来事があったりとリズム感が心地よかったです

    2014.10.31(1回目)

  • 緑という中学3年生の女のことその家族の女たちの大阪暮らしのお話。
    それと並行して流れる男と女の悲しいストーリー。

    あとがきの筆者の
    そこに人間がいて、太陽があって、月があって、地球がある限り、つながっているのだ!
    っていう言葉というより感覚に読んでいて痺れてしまった。
    昔も未来も今も、どこかで誰かと繋がっている。
    この本を通じてであったり、飲んでるお茶やこの触っているスマホでも。
    つながりと幸福。

    西加奈子さんの独特な世界観の中に広がる暖かさやメッセージが好きだ。
    そう思い出した一冊。

  • 西加奈子さん、初めて読みました。

    なんだか言葉にできない読後感です…。自分の表現力が無さ過ぎて困ってしまう(笑)

    始めは可もなく不可もなしって感じで読んでましたが、いつの間にか物語に引き込まれてました。

    コテコテの大阪人、中学生の女の子緑ちゃんの日常を描いているだけなんですが、時折挟まれる誰だか分からない別のストーリー。時代も違うし何人か登場するので、「なになに?どう繋がってるの?」とよく分からないまま読み進めてました。

    最後はじんわり涙がでて、心地良く幸せな気分になれました。

    あとがきで西加奈子さんが言われていた「誰かと繋がっているという連帯感と幸福感」、とても共感できました。

  • 家族のみならず、ご近所さんの悩みや愚痴まで
    聞くとはなしに聞いていて、いつのまにか浄化してしまうおばあちゃん。

    のらりくらりと布団で煙草を吸いながら
    妻子ある男性との間にできた娘を淡々と育てるおかあさん、茜。

    「魚住さんの友達」としか認識されないことを歯痒く思いながら
    その親友と同じ男の子を好きになってしまうひとり娘、緑。

    どうしようもない夫となかなか離婚できないまま
    年下の少年にどうしようもなく惹かれていく、緑の従妹、藍ちゃん。

    4歳になっても一言もしゃべらず、
    母である藍ちゃんのあとをずっとついて歩くだけの桃ちゃん。

    子どもからお年寄りまで、
    西加奈子さんは女性を描かせると、本当に上手いなぁと思う。
    ふとすれ違ったときのかすかな匂いまで
    ちゃんと体温を伴って漂ってきそうなほど。

    みんなの悩みを吸い取ってくれる存在として
    誰もに頼りにされていたおばあちゃんが
    実はいちばん深くて苦い過去を抱えていたことに象徴されるように、
    おばあちゃんに色にちなんだ名前をもらった女性たちが
    それぞれ悩みや苦しみにもがきながら、
    それでも誰かの支えや救いになっていく姿が頼もしく、清々しい。

    猫のカミさん、ホトケさん、犬のポックリさんに至るまで
    全部女の子という筋金入りの女系家族(?)の彼女達が
    いつも自分なりの「こうふく」を抱きしめていられますように。

    • 円軌道の外さん

      西さんの小説
      自分も大好きです(*^o^*)

      これも読んで
      かなり泣けました(笑)

      関西弁だからか
      やたらとストレ...

      西さんの小説
      自分も大好きです(*^o^*)

      これも読んで
      かなり泣けました(笑)

      関西弁だからか
      やたらとストレートに響くんですよね〜(≧∇≦)


      あと宮部みゆきさんとはまた違って、
      西さんも
      家族を描くのが上手いし。


      思春期や
      女の子の性や
      痛みを抱えた人たちの痛みが伝わってきて
      いつも切なくて泣き出したくなります。


      西さんの小説って
      映像は勿論やけど
      匂いや音までもが
      読んでいて
      鮮やかに感じられるし、

      表現の豊かさや
      比喩なんかも
      独特な感性があるから飽きないし、

      印象に残る
      言葉や情景描写が多いんですよね♪


      2012/06/19
    • まろんさん
      西さんの関西弁は、なんだかまあるい感じがして
      独特の世界観があって、惹き込まれます。

      ネイティブの円軌道の外さんが評価するんだから、やっぱ...
      西さんの関西弁は、なんだかまあるい感じがして
      独特の世界観があって、惹き込まれます。

      ネイティブの円軌道の外さんが評価するんだから、やっぱりほんものですね!(笑)

      私の西加奈子さんデビューだった『きいろいゾウ』が
      宮崎あおいちゃん主演で来年公開とのことで
      とてつもなく楽しみです♪♪♪
      2012/06/20
    • 円軌道の外さん

      『きいろいゾウ』は自分も大好きな作品だし、
      それを演じるのが
      これまた大好きな
      あおいちゃんということで、
      もう今から
      かなり...

      『きいろいゾウ』は自分も大好きな作品だし、
      それを演じるのが
      これまた大好きな
      あおいちゃんということで、
      もう今から
      かなり興奮しまくってます(笑)(*^o^*)


      あと西さんの作品やったら
      個人的には
      犬がとりもつ
      壊れた家族の再生を描いた
      「さくら」の
      映画化を強く熱望してます♪


      2012/06/27
  • 関西弁って、言葉がぎゅっとつまっていて 短い言葉なのに 云わんとすることがすごく伝わってくるなぁ…
     言葉の力 いいですね。

    心がスッとした。 楽しい読書でした。

  • 西加奈子さんの本の空気感がとても好き。

    緑ちゃんちに行きたい。

  • 西加奈子さんは、家族の物語となると俄然パワーが増す。「さくら」を読んだ時の衝撃を思い出した。つらいことも酷いことも、どんな出来事が訪れても、読み終わったら心がきらきらします。この人の家族の物語で、超長編を読んでみたいと思う。ぜひ描いて欲しいです。

  • クリスマスが近いという事で(嘘)

    西加奈子の「こうふくみどりの」と「こうふくあかの」の2冊を一気読みw

    赤と緑の装丁がクリスマスカラーぽく(内容はクリスマスは全然関係ないけどw)、また村上春樹の「ノルウェイの森」の装丁ソックリ(笑)

    これ絶対パクリじゃろw

    みどりのは中学生の女の子の変わった家庭環境と切ない恋心に関西弁丸出しの文面w

    あかのは仕事も人間関係もそつにこなす旦那の箱入り娘の阿呆な奥さんが……!!!⁡

    それからの旦那はw

    全く違う内容の話じゃが、何故かアントニオ猪木が共通項に成ってて、ちょっぴりリンクする所もあったりして。

    西加奈子の織り成す人間模様が何とも言えず♪

  • やっぱり好き

  • 婚約者がEDでプラトニックで交際している自分に投影してしまった。気持ちわかる。

  • 赤はとても良かったけど、こちらは掴みどころが分からず手こずった。
    頭の中に残るのは、犬と書いてケンと読む同級生と、藍ちゃんの作る料理はきっと美味しいのだろう、そのふたつ。

  • おばあちゃんの存在感、猪木のことばが心に響いた

  • 面白かったです!わたしは関西人なので関西弁がすっと入ってくる。緑のどこか懐かしいような中学生の日常に挟まる、周りの女性の人生やら日記みたいなのやら。
    女だらけの日常ってめんどくさいけど、いいなーっと本当に思った。

  • 初読

    91年に中学生だから、主人公の緑とは同世代だ。
    女系家族という事以外、共通点はないけれども。

    重い過去や色々を越えて今平穏なおばあちゃんと、
    そちらに近付きつつあるお母さんと、まさに渦中の藍ちゃんと
    これから緑と桃ちゃん。

    なんというか、
    そういうもんよなぁー、とか
    そういうこともあるよなぁー、とか。

    人生なぁー。

  • 赤より色んなことを考えさせられた。
    小学生よりひどい感想だなーー(笑)

    モノ書きさんは体験した?したであろうことも記憶としてのこしているのだろうか?

  • 十四歳の緑と女系の家族やクラスメイトや商店街の人たちとの淡々とした日常に、いつの間にかのめり込んでいた。わかり易い親切さはないけれど、子持ちのいとことクラスメイト男子の恋や、殺し殺されの事件やその加害者の妻等、影がありつつでも仄かで、何となく安定感があって、和む。「うちの名前は、ええ名前やねんで。」

  • 112:この人の関西弁は読んでて気持ちがいい。物語的にも、「あかの」よりキレイ。両方読み終わって、つながることについて考えてみたり、この構成でよかったんだとしみじみしたり。話し言葉、藍ちゃんの作るごはんの匂い、そんな日常的なものに囲まれて、辰巳家の不思議さが際立ってる感じです。

  • 中学生の緑の日常と、数名の女性のモノローグが交互に出てくる。
    読みすすめるにつれて全貌が見えてくる感じ。
    緑の笑える日々、中学生らしい初々しさがあり、とても読みやすい。
    でもただ面白いだけではない、人間の深みに触れられるような一冊。
    緑の明るさはすごく感じたけど、身近にこんな子いたらちょっと将来が心配になってしまうかも…という。
    周りの大人たちが、人柄は良くてもなんだか危ない人ばかり。
    まぁ小説の中なら楽しいんですが。
    こうふく あかのを先に読んだけど、みどりののほうが好きでした。

  • つながってる...

  • 辰巳緑。

    すごく優しい気持ちになった。
    こうふくあかの
    を次に読みます。

  • こうふくシリーズは両方読んだが、こちらの方が個人的に好き。作者の着飾らない文体と人の心の描写が好き。

  • 西加奈子さん、はじめまして。
    ふわっとした感じで、よく分からないまま読了した感じ。
    こういうテの文体と世界観は…今まであまり好んで読んできてなかったから、苦手かもしれないと再認識したかも。
    物語の中の物語が、どう繋がってるのかわたしにはちゃんと理解できませんでした。
    でもまあ、なんとなくふわっとしていて、後味悪くはない、感じでした。あかも読んでみます。

  • あんまり面白くなくて挫折

  • 『こうふく あかの』と連動した小説。それぞれがさまざまな過去を背負っている。それでも、緩やかに人生を生きていく術が描かれている心がじんわりと温かくなる。

    ただ、おばあちゃんの過去には衝撃を受けた。。。
    (旦那さんの弟を海へ突き落とした過去)

  • 緩やかに繋がった人々の、それぞれのしあわせ。重く苦しい過去を抱え、それでも笑顔で生きる。ゆったりとした時間が流れるように、愛と嫉妬に包まれた作品でした。

  • 関西弁の文体が時折、何を言っているのか不明で
    それを理解しようとする気は起こらなかった。

    中学生の恋愛と家庭、ほっこりしつつ、
    さくさくと読めた。

    しかし途中で開いて続きを読むと、家にいる人がこれは誰だかすぐ分からなくなりぴんとこないことあり。猫がまぎらわしい。
    そのせいか繋がりも感動はないまま。

  • こちらの方があかより共感できたかな。

  • 『こうふく あかの』とあわせて。個人的には赤より好きかな。

全180件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
小川 洋子
村上 春樹
西 加奈子
桜庭 一樹
吉田 修一
瀬尾 まいこ
桜庭 一樹
東野 圭吾
伊坂 幸太郎
青山 七恵
有川 浩
湊 かなえ
西 加奈子
有川 浩
島本 理生
東野 圭吾
川上 未映子
小川 糸
西 加奈子
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×