オケ老人!

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 313
感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093862332

作品紹介・あらすじ

平均年齢世界最高齢(?)の梅が岡交響楽団が贈る、笑い、涙、サスペンスありの世界にひとつの交響曲。

感想・レビュー・書評

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  • ムムッ!

    ◯ケ老人を連想しそう。

    中身はタイトル通り、老人のオーケストラ。

    そこに、抜けているが、人のいい数学教師、中島が入団するところから話が始まる。

    そして、最初から違和感あるのは、ロシアにいる、ある悪人風人物の心情描写。

    この二つの世界が結び付いていくのか・・・。

    とは言っても、僕が「のほほん気分」のまま読み通せたのは、各ページに書かれたイラストのおかげ。

    各ページ(約340ページ)の下部5センチを使って、老若男女が一列に並んで歩くイラストが横から見た角度で一人ひとり描かれている。

    見開きで20人ちょっとずつ。

    フォロワーさんの本棚・レビューで、温かな気分で、のほほんと読み終えたいな、と手に取ったので、その通りの読後感で着地できて、とても満たされました。

    ありがとうございました。

  • うれしい!たのしい!大好き!
    久しぶりにこのフレーズを叫んでしまった♪
    音楽を奏でることの楽しさが、ポップコーンのようにポンポン弾けます♪

    遥か昔の中学時代、
    「数学の学は、学問の学。つまり、数について真剣に学ぶこと。
    音楽みたいに、音でラクをするのとは違う」と言い放った数学の先生に
    いつものように(?)猫をかぶるのも忘れて
    「音でラクをするんじゃありません!音で楽しむんです!」
    と、食ってかかってしまった私には、うれしすぎるこの物語。

    酸素吸入器のチューブをきらめかせながら、入れ歯も砕けよと絞り出すトランペット。
    養生していても起こる発作なら、死ぬまで弾き続けたい、と
    亡き妻のヴァイオリンで万感をこめて奏でられる、『新世界』のメロディー。
    聴衆の前で、本業の寿司屋の包丁捌きも鮮やかに
    カットし、くり抜かれたダイコンとニンジンで、ある時は重厚にある時は軽快に
    超絶技巧のカデンツァまで披露しつつ吹きこなす、世界初のダイコン協奏曲。

    チューニングもまともにできず、弾けないパッセージはにっこり笑ってスルーし、
    全曲通しての演奏どころか、何小節目まで通せるか最長不倒記録を延ばすことが目標で
    全員で絞り出した和音もネズミの断末魔の悲鳴にしか聞こえなかった
    平均年齢だけが突出して高い、梅が岡交響楽団が
    30代の数学教師、中島の、まさかの勘違いによる入団をきっかけに
    まるで若木のように、ぐんぐん成長していくのです。

    並行して描かれるロシアと日本を股にかけるスパイのエピソードに
    初めのうちは本筋に集中できない気がして、
    「なくてもいいのに。。。」と思ったりしていたけれど
    愛すべき指揮者ゴルゴンスキー登場の頃から、ふたつの物語が
    第1主題と第2主題のように見事に絡まる構成の妙に感動し、

    冒頭からずっと頁の下を可愛らしく連なって歩いていた挿画の大勢の人々が
    339頁で楽しげに吸い込まれていく先の風景に
    思わず「おお♪」と歓声をあげて

    久々に諸手をあげて「楽しい!」と宣言できる音楽小説に巡り会ったよろこびを
    誰かに伝えたくてたまらなくなる、そんな大好きな本になりました!

    • まろんさん
      doroppoさん、こんにちは♪
      阪急電車の走る、私の憧れの地から戻っていらしたのでしょうか(*^_^*)
      拙い文章から、私のウキウキワクワ...
      doroppoさん、こんにちは♪
      阪急電車の走る、私の憧れの地から戻っていらしたのでしょうか(*^_^*)
      拙い文章から、私のウキウキワクワクを読み取ってくださってうれしいです!
      この本、ほんとにモリモリ元気が出ます。
      音楽の描写も、音楽好きにだけ伝わればいいや、という高飛車な書き方じゃなくて
      普段着の言葉で、誰にでも伝わるようにという願いを込めて書いてあるのがわかって
      その辺も、とても素敵です♪
      お時間ができたら、ぜひぜひ(*'-')フフ♪

      2012/08/26
    • doroppo4さん
      まろんさん、読みました!
      ほんとに、うれしい、たのしい、大好きでした。

      またまた大雨で新幹線の車内に5時間缶詰め・・・でもこの本のおかげで...
      まろんさん、読みました!
      ほんとに、うれしい、たのしい、大好きでした。

      またまた大雨で新幹線の車内に5時間缶詰め・・・でもこの本のおかげでドキドキ、ハラハラ、ウキウキ・・・じぃ~んとしていました。

      本ってすごいですよね。まわりがどんな状況でも、物語の世界に入っていける・・・。とても救われました。

      まろんさんの「普段着のことばで・・・」というのもよくわかりました♪

      数学の先生にくってかかったまろんさんのエピソード・・・小説の題材になりそうですね!




      2012/09/19
    • まろんさん
      doroppoさん、新幹線に5時間。。。大変でしたね(ノ_・。)

      でもでも、その時間を私も大好きなこの本が慰めてくれたのだったら、とてもう...
      doroppoさん、新幹線に5時間。。。大変でしたね(ノ_・。)

      でもでも、その時間を私も大好きなこの本が慰めてくれたのだったら、とてもうれしいです!

      私の周りでは誰もこの本を読んだ人がいなくて
      この楽しさを語り合えるチャンスが皆無だったので
      doroppoさんが、うれしい、たのしい、大好きと言ってくださったこと、
      本当にうれしくて、頬がゆるんでしまいます♪
      素敵なコメントをありがとうございます!

      ちなみに、くってかかってしまった数学の先生には
      卒業するまで、顔を合わせるたびに
      「きみは、見かけによらずキカナイ(北海道弁で、気が強いという意味です)からなぁ」
      と言われ続けました(笑)
      2012/09/20
  • ハラショー!オーチン・ハラショー!!

    タイトルのインパクトで二度見して、「ちょんまげぷりん」の荒木さんだったので決定。文庫版だったので皆さんが仰る可愛い挿絵はありませんでした、残念至極。

    高校教師の中島くんは勘違いからご老人ばかりのアマオケ「梅響」に入団してしまいます。

    団員の平均年齢はおそらく世界最高齢。 演奏レベルは言うまでもなく。。。
    当然中島くんは退団を決意するのですが、お人良しな性格ゆえ辞めるに辞められず。成り行きで指揮をするはめになり。。

    ロシアスパイのアリョーシャの話はトーンが違いすぎて両者がどう絡むのやら、、、と思いましたが後半にかけて盛り上がってきます。

    音楽は聴く専門で特にクラシックには疎く、中高時代も音楽鑑賞会では心地よさのあまり熟睡して曲に聞き入ったことのない私ですが、「スウィングガールズ(お年寄りVer.)」のようで楽しかったです。

    先日読み終えたばかりの貴志祐介さんの『新世界より』に効果的に使われていたドヴォルザーク「家路」がこちらにも登場!
    意図せずリンクしたときってなんだか嬉しくなります。本の世界にも「縁」があるのかな。

    生きた音楽に触れたくなりました。
    パイプオルガンの演奏で讃美歌を毎朝歌っていた中高時代って思い返せば贅沢だったなぁ。

  • ブクログ仲間さんのレビューから、またまた楽しい物語に出会いました。
    おもしろかったぁ。

    と~っても年齢層の高いアマオケ「梅響」のお話。

    出来ることなら、学生に戻って吹奏楽部に入って、もっともっと音楽に触れた毎日を送って、「分かる、分かる~」とうなずきながらもう一度読みたいな♪
     

    • まろんさん
      わ~いわ~い!
      doroppoさんが読んでくださって、
      その上楽しいと思ってくださって、
      ほんとにほんとにうれしいです゚.+:。(ノ^∇^)...
      わ~いわ~い!
      doroppoさんが読んでくださって、
      その上楽しいと思ってくださって、
      ほんとにほんとにうれしいです゚.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:。

      音楽も、物語も、やっぱり誰かを幸せな気持ちにしてくれるものがいいですよね!
      2012/09/22
  • 映画化されたので、この作品の存在を知りました。といっても、映画は観ていないし、内容もよく知らずに読みました。映画の主人公は杏さんだったけど、本の中では男性教師でした。

    勘違いから弱小オーケストラに入ってしまった主人公の話の裏で、もう一つの物語があり、その2つが次第に重なっていく………。

    ロシアの人気指揮者は、映画の中では男性?女性?

    オーケストラの演奏も気になる………。

    いつか、映画の方も観てみたいです。

  • 暖かくて笑える音楽小説です。ちょっとした勘違いから、老人だらけのオーケストラ梅響(ウメキョー) に入団してしまった高校教師の中島先生。団員は、酸素吸入器をつけたペット奏者、認知症のバイオリン奏者、 補聴器をはめた打楽器奏者。平均年齢は多分世界最高齢。 辞めるに辞められなくなってしまった中島先生のお人良しぶりとお年寄りとのずれ気味なやりとりが本当におかしい! 並行してロシアスパイの話がミステリアスに進んでいき、最後にこの2つの話が交錯して終結をむかえるのですが、 ハッピーエンドでありハッピーエンドじゃないような?それでも最後まで笑える心温まるお話です。 大人の趣味としての音楽の楽しみ方を教えてもらったような気がします。

    • 円軌道の外さん

      こんにちは!
      お気に入りポチ
      ありがとうございました(^O^)

      自分は文庫派なので、この小説はまだ未読なんやけど、

      ...

      こんにちは!
      お気に入りポチ
      ありがとうございました(^O^)

      自分は文庫派なので、この小説はまだ未読なんやけど、

      音楽を扱った小説好きだし、
      yuriさんのレビュー読んで
      無性に読んでみたくなりました(^_^)

      音楽とスパイの話が
      どんな風に
      繋がっていくのかが
      スゴく気になります!


      2012/05/17
    • yuriさん
      >円軌道の外さん
      コメントありがとうございます
      機会があったらぜひ読んでみてくださいね^^
      笑えてほのぼのした気持ちになれる小説です☆
      >円軌道の外さん
      コメントありがとうございます
      機会があったらぜひ読んでみてくださいね^^
      笑えてほのぼのした気持ちになれる小説です☆
      2012/05/25
  • 映画化されていますが、小説の方もとても面白かったです
    とても読みやすく、おかしな展開だなと思いつつも止まらなくなりました。
    主人公の方も裏の主人公の方も、新たな人生へと歩み出すエンディングが好感を持てます

  • 映画の杏ちゃんに相当するのが主人公?
    出来損ない老人楽団がどんどん形になっていく様に
    わくわくした。ブンコさんいいキャラだな。
    蜜蜂と遠雷がちょっと頭を掠めた。

  • 映画が面白かったので原作も読んでみたが、なかなか楽しかった。映画は主人公を女性に変えているが、メインストーリは忠実に脚色してたのだと感心した。先に映画を見てしますと、マネージャの話はないほうがすっきりするな。エグモント序曲、中1の時に必死で練習した曲だし、聞きたかったなあ~

  • 「こいつらは腑抜けなんかじゃない。それぞれの人生を生き抜くということは、私が経験したつもりでいたものに決して劣らない、いやもっと激しいかもしれない闘いなのだ。こいつらはそんなふうに生き抜いてきた人生をかけて、たった今も、音楽に全てをぶつけて闘っているのだ。」

    オケ老人!!!!!ずっと気になってて、やっと読めた!!
    もう最高すぎる!!大好きだぁーーーーー!!!!!!!

    と、読み終わったあとはもう大興奮で、未だにこの本を手に取ると、嬉しくなる。
    それぐらい、明るく、元気で、私の大好きな音楽が微塵にちりばめられている素敵なエンターテイメント小説だった。

    傑作はたくさんあるけれども、ここまで、私にぴったりとくる作品を見つけることは久方無かった。
    それを考えるとこの出会いは、まさに奇跡!!と大きな声で言いたくなるぐらいとても良い1冊で、とてもとても、良かった。
    あぁ、買わなくっちゃ!!
    元気を貰うために♪♪

    【9/9読了・初読・市立図書館】

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著者プロフィール

1964年、京都府生まれ。東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年『骨ん中』でデビュー。2010年『ちょんまげぷりん』が錦戸亮主演で映画化され、2016年には『オケ老人!』が杏主演で映画化された。著書に『探検隊の栄光』『けいどろ』『大脱走』『ヘビメタ中年!』『独裁者ですが、なにか?』『早期退職』など。

「2019年 『残業禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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