別れの時まで

著者 :
  • 小学館
2.86
  • (5)
  • (14)
  • (24)
  • (28)
  • (3)
本棚登録 : 157
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863025

作品紹介・あらすじ

その秘密に触れなければ、ずっと愛し合えていたはずだった-。胸が苦しくなる長編恋愛小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「水曜の朝、午前三時」の感動再び!と期待して手に取った作品。でも、これは恋愛小説なのかなぁ。

    主人公・松永が舞台女優・伊都子と心を通わせたと思った矢先の不審な出来事。松永を監視し警察に内通しているものの影。伊都子の過去の秘密。作品半ばからの展開は思わぬ方向へと進んでいく。
    戦後日本で本当に起こった重大事件をモチーフに、つい最近まで影を落としていた思想の闘いにまで話は広がりを見せる。

    「明るければ何でもいいという風潮が日本をだめにしたんですよ」という言葉にはうなずくしかない。
    このあたり、右を見ても左を見ても大人になり切れていない人間ばかりの今の世の中を嘆く作者のメッセージがこめられている。

    恋愛小説としては、主人公の魅力不足と二人の恋愛感情の高まりの描写不足が物足りないし、何故二人が別れなければならなかったのか、その理由が今一つ理解できなくて消化不良気味・・・
    ということで、胸が苦しくなる恋愛小説とはなりませんでしたが、むしろ軽薄になりつつある世の中を憂う印象を強く残した作品でした。

  •  手記募集に応募してきた毛利伊都子という三十五歳の女性の作品が優れていて、
    松永が編集者として会いに行く。女性には小学生の息子がいて、シングルマザー。
     父親は亡くなったものだと決め付けていたが(流れで誰でもそう思うと思う)
    実は違うらしいと話していて思う。
     松永の娘の早紀はその息子を気に入り、仲良くなる。やがて二家族はいえを行き来するようになり、松永と女性・毛利伊都子も付き合うようになる。
     
     息子の父親の亡くなり方は伊都子に松永への信頼を失わせた。
     
     伊都子は絶望的なことがあっても倒れることなく、しっかりと立って、
    女優としていき続けるのだ。それがすごい。

     はじめからが公安に話した記録で、最後には松永さんの署名で終わる(公安の五十嵐さんの確認もあり)という流れの一冊。

  • 久しぶりの蓮見氏の作品。やっぱり独特の味がある文を書くなぁ。
    帯に完璧とも言える書評がありました。
    「歳を経てからの恋愛は過去との闘いなのかもしれない。男はただただ囚われ、女はただただ前に進もうとする」
    シンプルで切ない話です。

  • 秘密を共有して共にいることはできないのかもしれない。この作家さんの書く小説はいつも大人だなぁと思う。

  • 水曜の朝、午前三時が好きなのでこの本を読んでみました。
    恋愛小説と言うより色々な家族の物語を読んだ様に感じました。

  • 編集者の松永は家族をテーマとして私記を編纂する時、とてもいい文章を書いた毛利伊都子と出会う。

    女優として舞台で活躍する彼女と、彼女の息子隆。自身の娘早紀と疑似家族のような関係を築き、伊都子とも恋人関係になる。

    しかし、伊都子の周りには公安の刑事が張り付いていた。刑事から「協力するように」と半ば脅迫気味に迫られた松永。隆の父親は左翼の過激派で逃亡犯だった。

    「左翼」と言われても私にはいまいちピンときませんが、たまに駅で「過激派」と呼ばれる人たちの指名手配写真を見たりします。はっきり言って時代遅れとは思いますが、今でもそんな人たちはいるんでしょう。

    公安の刑事がとても嫌な人で暗い印象を持った。実際にはどうかは分からないけれど、人間の暗い部分を見続けると、自身まで暗く染まるのだろうか。

    伊都子母子と松永親子、とてもいい関係だったのに壊れてしまって悲しい。

  • さらりとした文体でとても読みやすかったけれど、登場人物の語り口がみな一緒で最後まで違和感がぬぐえなかった。

  • え、なんで別れたの? 女、ワガママすぎね? いや、それ以前にムスコが奥深すぎね?

  • 「水曜の朝、午前3時」が良かったのでこれも読んでみました。良かったです。

    大人の恋愛小説かと思って読んでましたが、徐々にサスペンスに変わっていきます。恋愛小説にしては軽いというか、すぐに恋仲になってしまうのが何だか軽いなと思っていましたが、サスペンスタッチになってからのがおもしろかったです。主人公が事件を追い、北海道の紋別で青のインプレッサで活躍するあたりが印象的で良かったです。著者は車好きなんでしょうね。「水曜の朝、午前3時」ではベレットがいい味出してましたが、車は小説にいい味を出すと思います。このあたり車に興味のない人には味わえないところでしょうね。

  • 前半は、恋愛ものとして面白いと思いました。
    後半は、何といったら適切かわからないんですけど、違う話?って感じの終わり方でした。

    松永の小市民っぷりは嫌いじゃないし、伊都子も嫌いじゃないけれど、どこか消化不良に感じてしまいました。

  • オビに惹かれて読んだのだけど、全然、だった。
    「入り」は大人の恋愛を期待できたんだけど、いつのまにか冷ややかな二人になり、別れ、となった。
    もっと、ドキドキしてせつなくなる話かと思ったのになぁ。。。

  • 出だしは面白かったのに、ラストがすっきりせず消化不良。

  • 普通の恋愛小説を期待してたのに、
    途中からよくわらからん展開。

    中身と題名が一致してない気がする。
    途中から飽きて、しっかり読んでないから
    理解出来てないだけなんかなぁー。


    表紙の感じとかは割と好きやねんけどな…

  • 手記募集で応募してきた女性に興味を持ち

    その女性を交際を始める。。。



    最初は純粋な恋愛小説だとおもってたけど

    終わりの方では公安とか出てきたり

    なんだか物騒でちぐはぐな感じをうけた

  • 話の雰囲気は良かったが、いまいち内容がよくつかめなかったし、引き込まれなかった。

  • 最初は読みやすかったが、だんだん相手の女性の男関係がでてきて、ちょっとウダウダしている感じ。

    結局、手記はどうなったのか。じっくり読んでないので、
    わからない。

  • 「水曜の朝、午前3時」の出来を期待していたためか、残念ながら少し物足りなかった。それでも他の作家に比べれば内容は十分濃いと思う。

  • 表紙借りしてしまったけど、それだけのような...語り口は読み易いけど、年齢を感じさせない女優のシングルマザーと、娘と良好な関係を保っている父子家庭の編集者ってなんか出来過ぎです。後半突然に、過激派とか公安警察だとか絡めてこられても...無理矢理感いっぱい。

  • 手記募集で応募してきた女優を面接した「私」は、その波乱の人生に興味を持ち、交際を始める。だが、彼女の息子の父親であるかつての「恋人」が指名手配されていることを知り…。

    蓮見圭一は「大人の恋愛小説」の名手なのだそうだ。なるほどリズム感のある文体で前半は中年の恋愛、後半はサスペンスタッチの展開という作品を無理なく読ませる。惜しむらくはタイトルが結末を明示していることか。
    (B)

  • ~その秘密に触れなければ、ずっと愛し合えていたはずだったー。~

  •  最後まで、どうなるんだろう と思いながら読んだ。

     毛利伊都子の気持ちも分からなくはない。けど…

     松永の近所付き合いを羨ましく思う。

  • タイトルが成就しない恋愛小説を示唆していたが、男の立場から見れば、歯がゆさも感じてしまった。実際にあった昔の大事件を使っているのはどうなんだろう。被害者とか良く思わないんじゃないかな。

  • 不思議な小説だった。
    ただの不倫の話といえば、そうなんだけど、それぞれの深い事情が
    本当のようで、作り話のようで。作り話なんだけど。
    主人公に入り込めたのだから、おもしろい小説だということか。
    ラストがよりドラマ仕立てになっているが、それがなんとなく後味を引く。
    澱んだ感じが残る。
    展開はおもしろいと思う。
    TVドラマ、映画にしやすいのでは。

  • この人の文章好き。レビューみるとあまり評価高くないけど、なんで?終わり方が消化不良な気持ちになるから?「水曜の朝午前三時」が良すぎたからかな。

  • 会社の社長様から誕生日にかしていただきました。
    『熟年の恋愛』などという帯に、どきどきしながらよみはじめましたが、文章が綺麗で、一気に読めました。

    恋愛小説かと思いきや、いい意味で期待を裏切られました。
    ただ、最後の終わり方はスッキリしないかなぁ・・・・。

    蓮見さんの他の作品が読んでみたくなりました。

  • 不自然な文章。ストーリーというより、一つ一つの文章が読み辛い。調書ライクだからそうなのか、読んでいて不愉快だった。内容も理解できない。

  • 初めは長編恋愛小説という趣なのだが、中盤から緊迫したサスペンス小説へと転じていく。出版社に勤める中堅編集者の松永薫が、企画している手記本に原稿を応募してきた女性に興味を抱き近づいていく。松永は早くに妻を亡くし、男でひとつで中一の娘・早紀を育てているのだが、相手の毛利伊都子と接触するうちに、彼女もシングル・マザーとして女優業のかたわら、小四の息子・隆を一人で育てていることが判明する。住まいが近所であることから、親子同士で共に食事したことをきっかけに関係が深まっていく、、、ここまでがロマンスの部分。その後、次第に松永の身辺に怪しい出来事が起き始め、いつの間にか周囲を公安警察が取り巻くことに。原因は隆の父親で失踪している過激派協力者にあることが次第に明らかになっていく、、、

  • 勧められて初めて読みました。綺麗な文章を書く作家さんだと思いました。最後のふたりの分岐はとても綺麗にせつなく書かれていました。ちょっと子供の心理描写や伊都子の感情を表に出して欲しかったと個人的には思うけどきっとこれを読み取るのが作品にひたるってことなんだと思います。他の作品の評価が高いので読んでみようと思います。

  • ザ・男の恋愛を描くならこの方か藤田宣永さんか、という気がします。蓮見さんの作品はとても久しぶり。とにかく『ラジオ・エチオピア』と『水曜の朝、午前3時』が強く印象に残っていて、この二作に出会えたのは児玉清さんのおかげなので、私の中では蓮見圭一といえば児玉さん、というイメージです。
    肝心の内容については、きちんと期待を裏切らない男の大人の恋愛。心の機微、情景の描写がとても美しく、物語の背景も適度な重力できっちり描かれていた印象です。
    大人の恋愛とは、メリハリのある恋愛を言うのかもしれませんね。

  • 本当は5★にしたいのだが、恋愛小説なのかはたまた何なのかよく分からない作品になっている。
    全体的に恋愛小説としては、切なくいい話であったが登場する子供達の心理を考えるともう少し考えて欲しかった。過去があるから、今がある。母親なら子供を中心に考えるはずである。結末を恐れ、一歩を踏み出せないのが現実だろう。
    一方、警察とのやりとりは現代では現実性がない。何故なら弁護士等々が介入するからである。
    残念である。

全32件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

1959年、秋田市生まれ。立教大学卒業後、新聞社、出版社に勤務。2001年に刊行したデビュー作『水曜の朝、午前三時』が各紙誌で絶賛されベストセラーになる。他の著書に『八月十五日の夜会』などがある。

「2023年 『美しき人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

蓮見圭一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×