九死一生

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863070

感想・レビュー・書評

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  • 小手鞠るいさんの児童文学が好きで読んできました。
    最近は小説も手に取っています。
    無類の猫好きとして有名とか。
    この本もそれが溢れていました。
    ニューヨーク州の森の家に暮らす彼女にしか書けない
    風景と猫が印象的でした。
    Nine lives, but only one life
    うちの猫たちもきっとそうだね。
    ひたむきさ、切なさ、愛することに溢れた一冊でした。

    ≪ 九の生 一つの命 また会える ≫

  • 作者自身が愛猫を亡くした喪失感からうまれた作品。
    主人公・冴子と猫、周りの人々とのやさしい関係を
    紡いでいく物語。
    猫は9つの人生を生きる。9回死に9回生まれ変わり別の猫として生きる。
    だから猫の一生は九死一生。
    常に幸せな猫生でありますように!

  • 冴子と悠紀夫夫婦。
    猫の「ぷーちゃん」ことプリンとの出会いから別れまでの生活。
    夫婦を取り巻く人々との交流。

    行間からにじむ静かな愛情の深さ。

    いい小説だと思った。

  • タイトルは「九死に一生を得る」という意味ではなくて、9回生まれ変わる猫の一生という意味。
    猫を介して結ばれた冴子と悠紀夫の絆を描いた物語でもある。

  •  題名は作品中の「猫ってね、九つの人生を生きるのよ。九回死ぬんだけど、九回生まれ変わるの。別の猫に生まれ変わって、生きるの。だから猫の一生は、九死一生なのね。Nine lives,but only one life.」(190頁)から付けられています。

     猫を愛する冴子、そして同じく猫を愛する悠紀夫が出会い、愛を育み続ける物語。
     愛するものとの別れという深い悲しみを描ききり、そこから少しずつ生まれてくる小さな幸せが丁寧に紡がれてゆきます。いのちあるものを愛することの素晴らしさをあらためて感じさせてくれる物語です。

    プロローグが印象的な作品です。
     「もしもあなたが誰かを本気で愛したら、行き着く先には悲しみがある。悲しみ以外のものはない。待ち受けているのは、悲しみだけだ。なぜなら、あなたの愛した人は死ぬ。必ず別れのときがやってくる。この世と、あの世――あるのかどうかもわからない――に引き裂かれ、もう二度と会うことはできない。たとえあなたが先に死んだとしても、この理に変わりはない。あなたは死ぬ瞬間、別れの悲しみに呑み込まれる。愛する者を残して死にたくないと叫び、濁流に逆らい、むなしく手足をばたつかせる。そんな、虚空を掴むような悲しみだけが待っているとわかっていながら、それでも誰かを夢中で愛したあなたは、報われる。なぜならあなたには、それ以上大きな悲しみは訪れない。あるいは、こうも言えるだろうか。残されたあなたの残りの人生には、もう、いかなる悲しみも存在していない。
     私にそのことを教えてくれたのは、一匹の猫だった。」

著者プロフィール

1956年岡山県生まれ。同志社大学法学部卒業。ニューヨーク州在住。
『欲しいのは、あなただけ』で島清恋愛文学賞、『ルウとリンデン 旅とおるすばん』(講談社)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。主な著書に『優しいライオン やなせたかし先生からの贈り物』(講談社)『星ちりばめたる旗』(ポプラ社)ほか、主な児童書に『心の森』(金の星社)『やくそくだよ、ミュウ』(岩崎書店)『シナモンのおやすみ日記』(講談社)など多数。

「2024年 『新装版 まほうの絵本屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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