くちびるに歌を

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著者 : 中田永一
  • 小学館 (2011年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863179

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くちびるに歌をの感想・レビュー・書評

  • ブクログを始めたおかげで、趣味が合うなぁ♪と思っていたブクログ仲間さんと
    偶然同じ時期に同じ本を読んで、同じ部分に感動していたという
    うれしい奇跡を味わう機会も増えた今日この頃ですが、
    今回味わったのは、また別の奇蹟で。。。

    図書館に予約してから3ヶ月、
    ようやく届いて今日読み終えたこの本の作者、中田永一さんが
    昨日、感動のうちに読み終えた「失はれる物語」の作者の
    乙一さんと同一人物だったなんて!!
    本の神様が降臨した?!と思えるような奇跡です。

    育児休暇を取る親友のため、島の中学校の合唱部の顧問を引き受ける、
    元神童、今は自宅でWiiリモコンを振り続ける自称ニートの臨時教員柏木先生。

    その美貌に吸い寄せられて、合唱の経験もないのに下心満載で入部する男子生徒たちに
    慣れ親しんできた女声合唱の世界を踏みにじられた気になって敵愾心を燃やす女子部員。

    昼休み、女子たちに内緒で海辺で発声を繰り返す、男子たちの自主練。

    命の危険に晒されながら、島の病院で陣痛と闘う先生の耳元に
    遠く離れた佐世保から携帯電話を通して届けられる、渾身の歌声、と

    乙一名義の作品とはひと味違った、衒いのない素朴な言葉で描かれる
    ちいさな合唱部の微笑ましくて愛おしい、エピソードの数々。

    自閉症の兄に寄り添って生きるために計画出産されて
    学校では限りなく透明に近い存在として、
    「ぼっち」(ひとりぼっち)の才能に磨きをかけ、
    兄の世話をしながら親戚の工場で兄弟共に働く将来を静かに受け入れているサトルが
    長崎までフェリーで2時間半という、海に囲まれた五島列島のイメージに重なって

    コンクールの課題曲、アンジェラ・アキの『手紙~拝啓 十五の君へ~』をなぞって
    章ごとに挿まれる、部員たちの15年後の自分への手紙もみずみずしく

    ホールに入場できず、弟の合唱を聴けなかったサトルの兄のために
    会場の外でたった三人で歌い始めた歌の輪が
    他校の生徒まで巻き込んでどんどんひろがっていく中に
    すぐにでも駆けつけて声を合わせたいと思わせてくれる、爽やかな感動作です!

  • 中学の合唱部の話。
    入っていけるかな?という大人のためらいを吹き飛ばす~ほどほどに可愛くてリアルで、さわやかで切ない、いい感じの作品世界でした。

    長崎県五島列島の中学にある合唱部。
    顧問の先生が産休をとり、その友人の柏木先生が赴任してきます。
    神童だったと紹介されますが、自称はニートというややだるそうな性格。
    すらりとした美人なので男子は興味津々、男子がいなかった合唱部は、いきなり混声合唱で合唱コンクールに出ることに。
    練習を真面目にしない男子に、女子は不満を抱きます。
    今年の課題曲はアンジェラ・アキの「手紙 拝啓十五の君へ」
    柏木先生は部員に、十五年後の自分に手紙を書くことを提案します。提出はしなくていいからと。

    部長のエリは真面目なしっかり者で、ちょっと無理をしてしまう。
    その友達の仲村ナズナは、母親が闘病中に父親が家を出て行ったことから男性不信になり、男子にも心を開けないでいた。
    コトミは可愛くて優しくて人気があるが、性格のとがった部分は隠している。
    衝突もしながら、少しずつ変わっていく中学生達。
    成長期なんだなあ。
    顧問の先生を素直に慕い、出産が無事にできるか心配したり、遠くから歌を聞かせるくだりも、いいですね。

    桑原サトルは、発達障害の兄の面倒を見るべく運命づけられていて、兄とは仲がいいので不満というのでもないが、気力の出ない日々を送っていた。
    友達もいなかったが、ふと接近する機会があったコトミにはひそかな好意を抱いている。
    合唱部に入りたいと初めて親に主張し、何気なく友達も出来ていく。男子もなんだか面白い。
    内気なサトルがかわいくて、応援したくなりましたね~。
    男子の中では練習を真面目にしているほうだったので、男子の自主練を指導することに。
    存在感がないため、所々で皆にえらい言われようしてるんだけど。

    五島列島ののどかな空気と狭い人間関係、知っているようで知らない微妙な距離感をなんとなく想像しながら、心地よく読みました。
    サトルの兄を合唱コンクールに連れてくるエピソードも無理のない流れで、子供達の歌声がしみわたるようなシーンに。
    素直な気持ちがまぶしい。
    そういうことが、幼い日の大事な思い出にもリンクしてくるとは‥
    よかったねと遠くから思う気持ちになるのでした。

  • 乙一さん、大変人気の作家さんですね。
    周りでは愛読者が大勢いるのですが、実は手に取ったことがありません。何やら、タイトルが怖そうで・・・。
    お仲間に、乙一さんの別のペンネームでの作品ということで勧めてもらい、読んでみることに。


    合唱部の顧問の先生が産休に入ることになり、代わりに東京からやってきた柏木先生。背もすらりと高い美人で、先生を目当てに入部してくる男子生徒たち。女子だけでおこなってきた合唱が混声に代わることに同意できない女子生徒もいて。

    真面目でしっかり者の部長、エリ。
    かわいくて、だれからも好かれるコトミだが、実はきつく尖った一面を隠し持っている。
    闘病していた母を顧みることもなく家を出て行った父親を許せず、ひいては男子に心を開けない、ナズナ。幼いときに出会った合唱の思い出とともに聞きそびれた母の言葉を今も探し続ける。
    自閉症の兄の世話をすることを家族から期待され、決して文句を言わずそれに従うが、まるで自分の感情を押し殺して生きているようなサトル。その彼が、初めてやってみたいと両親に願い出て、父親の反対にあいながらも決して後にひかず、自分の主張を貫いて始めた合唱。自分の出生の意味を思うと、自分自身の人生でありながら自分の意志で選択できないとあきらめていた。あきらめているとも気づかないまま・・・。


    自分を隠して振る舞うことへの違和感。
    友を、異性を、人を恋しいと思う気持ち。
    大人になっても、似たような思いを抱いて毎日を送っている。
    けれど、中学生は行事や出来事を通して、生き方をぐっと深める瞬間があるようだ。純粋な心や体は、何らかの働きかけに素直に反応し、より豊かに、よりたくましく、より思いやり深く変わっていく。

    同じ時間を一緒に過ごす合唱部の部員の目線と、課題曲『手紙』への理解を深めるために出された課題「15年後の自分にあてた手紙」を通して物語は進んでいく。
    彼らの心の変化や、心の奥に秘めていて本来は決して表に出すつもりのなかった本心を描いた本人とともに読者も味わうことになる。

    最後に散らばっていた星を結ぶ線が見いだされ、星座としてかたちや意味を成すように、彼らを繋ぐ見えない糸がちゃんと見えてくる。
    昨年と同じところに立っていても、必ず成長していると信じられるお話です。

  • 飾り気のないストレートな青春感動小説。
    舞台となるのは長崎県五島列島の中学校。
    合唱部に所属する生徒たちのNHK合唱コンクールに臨んでいく姿が
    男勝りの活発な女生徒ナズナと気の弱い男子生徒サトルの視線から描かれる。
    課題曲は実際に使用されたアンジェラ・アキ“手紙~拝啓 十五の君へ~”。
    十五才の自分たちは、十五年後どうなっているのだろうか?
    歌詞の内容と同じような不安や悩みにシンクロしながら、話は展開していく。
    捻り部分は殆どない。
    島に住む純真な中学生たちの心の叫びが聞こえてくるようだ。
    イマドキの都会の中学では、こんな関係性は作れないだろう。
    田舎といっては語弊があるかもしれないが、島という閉鎖された場所の中学だからこそ現実感がある。
    彼らの話す方言の独特の柔らかさが、その現実感を際立たせる。
    最後のコンクールの場面、泣かせどころでは、思わず身が入ってしまう。
    爽やかな涙を流したあとのような読後感。
    中田永一氏はこういった素直な青春小説を書くのが上手い。
    とりたてて凄みは感じないが、琴線にストレートに響いてくる作品だ。

    この作品は昨年の本屋大賞ノミネート作品である。
    どちらかというと地味目のこの小説が大賞にノミネートされたのは驚きだ。
    この作品の素直な感性が書店員に伝わったのだろうか。
    書店員の方々の慧眼に感服せざるを得ない。

  • まるで実話のような青春ハーモニーですなぁ。
    舞台は長崎の五島列島の小さな中学校、
    産休に入った顧問の松山先生と臨時教師としてやってきた超絶美人の柏木先生、
    そして合唱部の女子部員と男子部員。

    Nコン目指して、課題曲「手紙~拝啓、十五の君へ」と自由曲を練習している様子を描いているんだけど、あぁ15歳ってこんなにピュアだったっけって思っちゃったよ。
    都会ではなく、島っていうのがいいんだろうな。
    中学生にとって、そこがすべての世界だものね。

    それぞれ家族に縛られて自分の世界を閉じている部分があるナズナとサトルの視点で交互に語られていくのだけど、二人とも新しい世界が広がったね~と、とてもすがすがしい気持ちになれた。
    ナズナが父親への嫌悪感や母親への罪悪感を乗り越えて、淡い気持ちを自覚したけどそのまま失恋してしまうあたり、15歳だなぁ…っていう甘酸っぱさが切ない。
    サトルも親の束縛や兄への犠牲心から自立して、ぼっちじゃなくなったんだなぁ。
    中学生の成長ってまぶしい。

    男女の対立やそれぞれの悩みや、15年後の自分にあてた手紙が、いかにも中学生って感じだし、合唱で気持ちが一つになるっていうのも中学生ならではで、思わず15歳の私は何考えてたっけなぁと、遠い昔に思いをはせてしまいました。

    爽やかな感動作でした。
    ありがちな設定なのに、ちょっとしたところが心憎いほど巧い。

  •  青春小説って、うーってなる。男子、女子真っ只中ってな感じで、黒い部分がまだ一つもなくて、私が失ったものをまだ持っているこいつらに、少し、ただしかなりの頻度で嫉妬してしまう自分がいるから。

     柏木先生が男前だ。美人なのに、それを鼻にかけず、音楽の授業は手を抜きまくり、部活では、部長の辻よりに、ちゃんと楽譜見てピアノ伴奏しろよと怒られる。先生らしくない。クラブ内でごたごたがあっても、手を入れないし。向井ケイスケが心を入れ替えてなかったら、Nコン出られなかったのでは・・・

     合唱のことよりも、むしろ重点を置かれていたのは、ナズナとサトルの家の事情。ナズナのほうは、出て行った父ちゃんを無視したらいいだけなのかもしれないけれど、サトルのほうはそうはいかない。
     自閉症の兄ちゃんの世話を一生見るようにと運命付けられて生まれてきたと、自分の人生をそう結論付けて生きるサトル。島を出ることもできず、就職先は兄と同じところと決められ、それに逆らうことなどできない。「ぼっち状態」を受け入れて生きるサトルは、憧れの女子コトミを追いかけて、半ば無意識に合唱部に入部する。

     そうだ、サトル。変われ。父の言うことも、兄のすることも、中学生のあんたに関係ない。あんたは将来、兄ちゃんと同じところに就職することになるのかもしれないけれど、今のあんたには、それは関係ない。
     もっと感じて、考えて、思え。
     自分と自分の周りに興味を持て。兄ちゃんを言い訳にして、楽なほうに逃げようとしてんじゃない。
     っと、中学生時代をとうの昔に終えた私は考える。

     15年後の彼らは30歳か。たった一度の今日という日は、やはり大切にしなければいけない。
     ああ、青春小説をよんだら、やはり思考が青春っぽくなってしまった。
     
     やっぱり、青春小説を読むと、うーってなる。うーって、いろいろ考えてしまうほど、後に残る作品でした。
     

  • 10代向きの本かなと読み始めましたが、
    とても素敵なお話でした。
    大人も楽しめる本だと思います。

    軽い感じですいすい読めてしまうのですが、
    後半のコンクールあたりからは感動で涙。
    とても幸せな読後感でした。

    会話の長崎の方言がかわいくて、ほのぼのとします。

    文庫化したら購入したい本です。

  • 長崎・五島列島の中学校。産休の先生の代行でやってきた綺麗な柏木先生目当てに、それまでずっと女子だけだった合唱部に男子が加わり、混声合唱でコンクールを目指す。
    女子と男子の対立も乗り越え、一人一人の成長が本当に微笑ましかった。特にずっと一人ぼっちだったサトル。入部はアクシデントだったけれど、皆と声を合わせる毎に彼の人生がじわじわと少しずつ光り輝いて行き、まるで彼の近くでずっと見守っていた肉親かのように嬉しくて涙が流れた。最後の彼のお兄さんの場面も涙が止まらなかった。
    15年後の彼ら彼女らは、きっと素敵な人になっているに違いない。

    実は私は以前より長崎弁が大好きで!登場人物の長崎弁が可愛くて可愛くて…それだけでも堪らない気持ちになった。

  • 図書館の予約待ちがようやく順番が回ってきた!!
    中学生の合唱部のお話。
    Nコンの課題曲は、アンジャラ・アキさんの「手紙」
    部の子たちが十五の自分に対して書く手紙がいい。中でもサトルの手紙がせつない。
    自閉症の兄がいることで、自分は生まれた。父母が亡くなった後でも兄の面倒をみれるように、と自分は計画的に生まれたのだ。と
    「違うよ~そんなことないよ・・」と思いながら読み進めてると、私の思っていることを 同じ合唱部の長谷川コトミが言ってくれた。そのあたりから涙がとまりません

    コンクールの会場に入らなかったサトルの兄のために、サトル、コトミ、ナズナが歌いだし、それがどんどん広がり合唱の輪ができていく。なんて素敵なんだろうと思った。
    歌っていいな~と思えたし、中学生の清々しさが書かれた素敵な作品でした。

  • 長崎県五島列島、全校生徒150人の中学校。
    音楽教師で合唱部顧問の松山先生が産休に入り、替わりにやってきた美人の柏木先生を目当てに、今まで女子しかいなかった合唱部に男子が入ってきた。
    柏木先生のいないところでだらけるばかりの男子に、Nコンに向けての練習は不協和音が生じていく。

    こうあらすじ書くと、何か別物みたいになってしまう(笑)
    ZOOやGOTHで私を恐怖に震えさせた乙一さん。
    この本は、王道の青春ものでありながら、ちょっとした捻りや軽妙でテンポのよい会話がスパイスになっている。
    ナズナの「15年後の自分」に向けた手紙にはこうある。

    “男子部員と女子部員の対立。
    ラブレター。
    向井ケイスケの告白。
    Nコンの練習と本番。
    地味で存在感のなかった桑原サトルという男子が、今では下級生の女子から慕われるような存在になったこと。”

    この手紙で予想していた展開を小気味よく裏切られつつ、シリアスなはずの場面でもくすりと笑えるところがあり。
    サトルとコトミ、ナズナとケイスケの、九州弁(博多弁と近いようにも思うけれど、長崎弁になるのかな?)でのやりとりがそれぞれ面白い。
    特にコトミがいい味出してる。
    「菊池うぜー…、うるせー…、死ね…、殺すぞ…」
    普段天使のようなイメージをもたれてみんなに愛されているコトミがそんな呪いの言葉を吐き、はっと我にかえって前の席のサトルに、「ほんとうに寝とると…?」と聞くくだりや、彼氏の家でパソコンを破壊すべく大暴れをして捻挫し、遅くにサトルと戻ってきて、不良にからまれたところを助けられたのだと切々と訴えて信じ込ませるくだりが面白くて、何度も噴き出した。

    サトルのお兄さんの前で、ナズナたちが歌いだすシーン。
    こんな風につながるんだなぁとじーんとしました。

    ちなみに、課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」、実は、本当にある曲と思わず、どんな曲か想像せずに読んでしまったけれど、Youtubeで発見。
    あ、、、知ってる…、何年か前によく流れていたのを思い出した。(←遅っ)
    合唱の混成3部で聴くとなお良し。
    この曲聞きながらこの本を読んでたらよかった…!
    レビュ書きながら聴いて、遠い青春の記憶などを呼び起こされ、じんじんこみあげてくるものがあった。
    これからの卒業シーズン、各地で歌われるのだろうなぁ。

  • すがすがしい感動をあたえてくれる本。この作者の描く青春は本当ソーダ水のようにパチパチはじけてさわやかで、私の心の琴線に触れるのです。
    本筋はNHKコンクールに向かって励む物語ですが、みんながみんなきらめく様な生活を送っているわけではなく、
    サトルは学校ではいわゆるぼっちで、自閉症の兄がいることを周囲に打ち明けられずにいるし、ナズナは幼いころに父が蒸発し母も亡くし男嫌いであったり、個々に問題を抱えています。
    五島列島という小さな島での小さな出来事が絡まり合って、気持ちの変化が生まれていく様子が、良い意味で淡々としています。
    方言も相まって暗くなりすぎず瑞々しい印象でした。
    課題曲が「手紙~拝啓15の君へ~」で、先生から合唱部へ未来の自分へ手紙を書くよう宿題を出されるのだけど、その生徒たちの手紙を読むときにアンジェラアキさんの声で「手紙」が脳内再生されて思わずうるっときてしまいました。
    ラストでもうるうるです・・・。
    感動して涙が出るとはこういうことだなぁと改めて思いました。誰かが亡くなって悲しくて出る涙は感動ではない。
    読後、しばらく「手紙」が頭から離れません笑

    できればナズナとサトルによって仕上げられた自由曲の歌詞も見たかったな~。

  • 「手紙〜拝啓十五の君へ〜 の一つの姿」
    かつてのNHK合唱コンクール課題曲をモチーフにした青春小説。
    合唱部に関わるメンバー複数の視点と思いが物語を紡ぐ。
    淡々としたそれぞれの思いが交錯して流れていく前半…
    それが読み進めることで見事な作品になっていく!

    合唱の雰囲気が美しく描写されている。
    そこに込められた様々な思いが描写されている。
    そして、一つの大きな合唱に込められたストーリーが美しい!

    人生は誰もが主役であるように、
    本作の語り手、一人一人の姿が美しく輝いている。
    アンジェラ・アキの歌とシンクロしているストーリーが傑作!

    終盤も去ることながら、エピローグまでがステキ!

    中田永一は「百瀬、こっちを向いて」で好感を持っていたけれど、
    本作の文中に織り込まれたユーモアが自然でまたいい。
    読み終えて、「えっ!中田永一って、あの人だったの!?」
    という意外感が、個人的にはさらにツボだった。

  • 前々から気になっていて、やっと読んだ本。五島列島の中学生が、合唱を通してすこしずつ大人になっていく話。島の子供達は、「島を出るか出ないか」という大きな決断を、けっこう早いうちにしなければならない。そこが本土の子供達とは決定的に違っていて、だからなんとなく島の子供達はどこか芯のある雰囲気がするのかなぁと感じる。それにしても、乙……じゃなかった、中田先生の屈折したぼっちの描写が半端じゃなくリアルだな。映画になるそうだけど、確かに映像化しやすそうな感じがした。

  • 長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。
    NHK全国学校音楽コンクール県大会出場に向けて混乱や対立もありながら最終には皆が団結して歌いきる青春ドラマにホロッときました。
    読みながら遠い昔、NHK全国学校音楽コンクールブロック大会に出場した時を思い出しながら読了。
    課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」と同じく先生からの提出不要の課題で15年後の自分に宛てた桑原君手紙のお手紙に涙誘われました。
    【くちびるに歌を持て、勇気を失うな。心に太陽を持て。そうすりゃ、なんだってふっ飛んでしまう!】の詩が好きだった松山先生の「くちびるに歌を持て、ほがらかな調子で」の言葉が残ってる。
    素敵な本でした。

  • 長崎県の五島列島の中学校の合唱部の物語
    ある中学校に産休の教師の代わりに美人の先生がやってくる
    産休の先生は合唱部の顧問だ
    先生との接近したさに入部する男子学生の姿とか、そんな男子を嫌がる女子生徒、自分の学生時代にもこういうのいたなぁって懐かしい気持ちになります(笑)
    主人公の桑原と、彼を「ひとりぼっち」の世界から引っ張り出した存在の長谷川コトミ
    彼らの胸に抱える、等身大の悩み事が妙にリアルで、そして思春期独特の感性や感覚や葛藤をすごく実感するシーンがたくさんあった
    その描き方がうまいなと感じた一冊でした

    学生時代に、あんなにもいろいろなことが一生懸命できたのに
    大人になると一生懸命することに諦めを感じてる事実にはっとして
    こんな風に何かにうちこめることがまたできるのかな?と考えてしまった

    アンジェラ・アキの「手紙」という歌が物語の合唱コンクールでの課題曲であり、それに基づいて15年後の自分へ手紙をかくのだけど
    いまオトナになった自分が、さらに15年後の自分に手紙を書くとすると
    なにをかけるのだろうなぁってふと思ってしまった

  • 五島列島の中学の合唱部 産休の先生の代わりに臨時で入った顧問の先生はとっても美人。女子しかいなかった合唱部に先生目当てで男子が入部して・・・ ははは わっかりやすいなー男子
    発声練習 腹筋 ストレッチ パート練習 コンクール
    まさに合唱部員だった十五歳の自分を思い出しました。
    「手紙~拝啓 十五の君へ」の歌詞が胸にしみます。
    ラスト 会場で生で聴けなかったサトルの兄のための 即興の合唱シーンにうるうる、たぶんその場にいたら私も加わる! 

  • 高校時代は合唱部で、まさに夏のNコンが活動の2本柱の1つだったので、当時の事が思い出されて最後は涙なくして読めませんでした。あの頃は1つの事に熱くなれた、必死になれた…正に青春♪男子とのトラブルも「あった、あった」と頷かずにはいられませんでした。清々しい一冊でした❤当時の部員とは今も仲良し。あれから何年経ったか考えると「おぅ!」って感じですが☆

  • 今月 映画が公開されるという事で読んでみました。
    合唱コンクール出場に向けて、バラバラだった部員達の気持ちが1つになっていく感情の機微を、この小説のモチーフである「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の世界観に乗せ、
    爽やかにそして等身大の思春期の学生達の姿が描かれ、ラストは感動してちょっと泣いてしまいました。
    しかしながら"歌声"を活字で表現するには限界があり…映画館では耳でも感動して来よう♪

  •  そう言えば、書店で平積みされてたこの表紙。2012年の本屋大賞4位だったんですね。
    離島の合唱部の青春を綴った「くちびるに歌を」です。
     
     中学生のまぶしいくらいの純粋さに、感動しました。
     
    アンジェラ・アキさんの歌のあれですよね。実際に、課題曲にもなっていたハズ。それを元に書かれたのでしょうか?
    すでに文庫化され、コミック版もあるらしい。
    自分の子供に、是非読ませたい1冊です。

  • Nコンに出場したあの15歳の時の青すぎる自分が、本の中の中学生達とともに鮮やかに蘇った。純粋でまっすぐで、熱くなって、素直になれなくて、ぶつかって、涙して、不器用に生きたあの夏をこの本の中に見つけた。みんなの声がハーモニーとなってひとつになった瞬間の、背中をゾワッと何か電気のようなものが走っていく感覚さえまだ今も覚えてる。

    物語は2人の中学生の視点で語られる。
    1人は母を亡くし父が愛人と蒸発してしまって祖父母と暮らす男性不信の少女
    もう1人は自閉症の兄の世話をする為だけに自分は作られたと思っているコミュニケーション障害の少年
    ふたりは少しずつ心の暗部の扉を開き始め、十五年後の自分に宛てて手紙を綴る

    舞台が五島とあって話し言葉のほとんどが方言で、語尾の違いのせいか粗野な印象は受けるけれど特に読みにくさや違和感はない。
    Nコン終了後に歌の輪が広がって大合唱になり、少年の兄が少女の亡き母の言葉を伝えるシーンでは、なんてあざとい展開だと心で悪態をつきつつも目頭が熱くなった。

    楽しいことばかりじゃないし悩みもたくさんあったけれど、十五歳の彼らと同じように、十五歳の頃の私もちゃんとキラキラしてたんだと再確認出来た気がする。

     
    2008年夏のNHK全国学校音楽コンクール課題曲「手紙」に取り組む中学生たちと、この曲を作ったアンジェラ・アキの交流のドキュメンタリー番組「拝啓 十五の君へ」シリーズ。
    2008年5月に放送された第一弾で最初に訪れたのが五島の若松中学だったそうだ。 
    第四弾(番外編?)「拝啓 十五の君へ 若松島編~歌と歩んだ島の子どもたち~」(2009年5月放送)では、練習での部長の葛藤や男子とのいさかいなども描かれていたそうで、これがモデルになっているようだ。

    映画化が決まり女優新垣結衣さんが教師役で五島や長崎で撮影をするらしいので今から公開が楽しみ。

  • 中学校の合唱コンクールの話。
    大人が書く中学生といった感じではなく、まさに中学校に放り込まれた感じ。等身大の言葉や物の例えに甘酸っぱさを感じる。
    伏線の回収の仕方も自然でうまいと思う。
    清々しい風が吹き抜ける感じ。

    初乙一だったが、他の作品も読んで見たいと思う。

    2013.8.22読了

  • 「これって、中学生の課題図書?」と思ったけど、違ったのね…。今の中学生に読んでほしい一冊。
    NHK合唱コンクールを目指す、五島列島にある中学校の合唱部のお話。さわやかな青春もの。とても素朴で初々しい。

  • 期待よりずっと面白くて一気に読み終えてしまった。
    中学生のお話ということで、今の自分が果たしてその物語に入り込めるかどうか危ぶんでいたけど、無用の心配だったみたいだ。
    通り過ぎてしまっても、今もじゅくっとした心の深奥にあの頃の気持ちは潜んでいた。

    「合唱」を軸に描かれる男女の対立、調和。
    「自閉症の兄」を通して見る、自身の存在理由。
    全ての要素が綺麗にハーモニーを奏でる。

    登場人物たちそれぞれの「15年後の自分に向けた手紙」が章の始まりに置かれることで、一人一人の心の動きや変化がくっきりと浮かび上がる構成も良かった。

  • 合唱コンクールを目指す、五島列島にある中学校の合唱部。
    そこに産休になった顧問教師の替わりに、美人教師が1年だけ赴任されて来た。
    彼女目当てに合唱部に入る男子生徒たちと真面目にコンクールを目指す生徒たちの間に生まれる軋轢。
    そして、あれこれあった後、心一つにコンクールを目指す様子が、二人の少年、少女の目線で描かれた作品。

    中田永一さんは乙一さんの別名なんですよね。
    これは乙一さんらしくない爽やかな話ですが、やはり所々に乙一さんらしさを感じました。
    島を舞台にした中学生の話と言っても、ただほのぼのしているだけでなく、現代らしい暗さを抱えた、等身大の中学生の姿がここにあります。

    あらすじだけを見ると、同じ目的をもつ先生、生徒の熱血っぽい青春小説かな~と思うけど、そこは乙一テイストで、アツいものを感じない。
    生徒だけでなく、新任教師も最初はあまりコンクールに対してやる気がないというか・・・やる気のある子とやる気のない子の差もあり、空回りしている感じ。
    やっと皆がやる気になるのは後半あたり。
    そしてそこに所属している、複雑な家庭環境にいる少年と少女。
    コンクールを目指すという共通の目的以外には特につながりの感じられない二人に終盤、思いがけない関わりのあった事が見えてきます。

    こんな風に何か一つの目標に向けて、同じ年齢の人間が思いを一つにするってこと、大人になってからは中々ありません。
    結果はどうあれ、そういう事をしたという経験って、その人の一生の宝物になるんだろうな~と思って何となく羨ましい気がしました。

    作中、課題曲である「手紙」の歌詞を心から理解するために・・・と、中学生たちは15年後の手紙を書く課題を与えられます。
    その手紙の中で主人公の少年が書いた思い、その文章は痛いほど鋭い表現だと思いました。
    『自分のことが、人間の村に入りこんだモンスターのようにもえるのです。』
    短いのに、何よりもはっきりと少年の状況が分かるこんな表現・・・こういうのが乙一さんのセンスだと思います。
    瑞々しく傷つきやすい年代の少年、少女の目線で、淡々と描かれた、それでいて透明感の感じる青春小説です。

  • 五島列島にある中学校の合唱部の物語。
    産休の顧問の先生の代わりに来た美人教師目当てに
    女子部員ばかりだった合唱部に男子生徒が入部してきて…

    合唱って本当に素晴らしいよね!
    部活ってこんなに熱いよね!というのを
    期待して読んだ人はがっかりするかもしれない。

    元々この作者さんが大好きで
    別名義の本も全て読んでいるので
    いかにも!な青春部活系な描写はなさそう…と思っていた。
    思ってた通り、熱血!な部活描写も
    思春期ならではのどろどろした悩みなどに
    焦点が当たるわけでなく
    Nコンを目指す上でのそれぞれが
    比較的淡々と描かれていく。

    合唱の力や、音楽の素晴らしさとか
    部活の皆との心を合わせることの素晴らしさとかも
    描かれてはいるし、最後の皆で歌の輪が
    広がっていくのも良いと思うんだけど
    個人的には視点として描かれている二人、
    人とコミュニケーションをとるのが苦手な桑原サトルと
    父のせいで男嫌い、男性不信な仲村ナズナの成長が良かった。

    特に自閉症であるサトルの兄とナズナの
    サクマドロップのエピソード、
    皆で歌うとお母さんのことを思い出すという
    ナズナの覚えていなかった母の言葉。
    純粋に記憶し言葉にする兄だからこそ出てきた言葉。
    もう一度ナズナがお母さんに会えた気がして
    涙が止まらなかった…

    中学生の頃に読んだらまた違った感想を
    持ったかもしれないな…
    部活を頑張ってる頃に読んでも
    大人になってから読んでも楽しめるかもしれない。

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くちびるに歌をの作品紹介

拝啓、十五年後の私へ。中学合唱コンクールを目指す彼らの手紙には、誰にも話せない秘密が書かれていた-。読後、かつてない幸福感が訪れる切なくピュアな青春小説。

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