震える牛

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 1661
感想 : 350
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863193

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。

    私の嫌いな描写もなく、硬派に進む、続きが気になりどんどん読み進め、最後はファーと本を閉じ、満足感。

    スーパーで買い物する時、色々考えそう。
    思わず冷蔵庫の中の食品を確認しちゃったよ。

  • 本当にフィクションなのか…?下手なホラーよりよっぽど恐かったです。自身の前職と同じ業種が絡んでいることもあり、かなりリアルに感じられました。
    ストーリー全体としても、糸が絡まりあってひとつの大きな流れになるようで面白かったです。

  • 狂牛病とかもうずいぶん前の話だけれど、食品の安全については現在もなおメーカーを信じる以外に消費者に情報はなかなか入ってこない。また調べるすべもない。こんな恐ろしいことが実際に起きていると考えると....以前トマトの濃縮還元の缶詰の実態ドキュメンタリーの小説を読んだけど、あれはごくごく最近の話。
    今日飛騨に旅行行ってきたんだけど、同じメーカーからのしぐれ煮が三種類、一番高いのと一番安いのでは、牛のランクが違うだけでなく、原材料がやたらと多いのが安い方。これが現実。小説で怖いとか言ってる場合じゃないよね。
    この本読むとますます格安スーパーは信用ならない。いや、メーカーそのものが信用ならない。
    それくらい切羽詰まった話で一気に引き寄せられました。

  • とりあえず、ミステリー好きは読んだ方がいい。。
    と言いたくなるほど、正直レビューに書きたい事が多すぎてまとまらない。。

    話は、過去の未解決事件を再調査する刑事の話と、巨大スーパーマーケットチェーン急成長の裏側を記事にする雑誌記者の話なんだが、一見繋がりようのないこの二つの話が交差した瞬間一気に物語りに引き込まれていく。

    帯やレビューに書いてある「どこまでがフィクションなんだ?」とか「ここまでリアルに書いて大丈夫!?」みたいなうたい文句はどれもうなずける内容。
    本を読んでいてリアルであることを拒否したいと思った事はあまりないが、自然とそう思いたくなっていく。
    そしてなにより、食品に対しての考え方を根こそぎ変えられてしまった。
    まだ読んでいない人は何の事かわからないだろうが。。。
    私は、作中に出てきた居酒屋でのシーンが一番印象的で不快だった。

    シーンごとに情景が浮かび描写もうまい。
    また、多くの登場人物が出てくるが、キャラ設定がしっかりしているため読みやすい。救われない話の中での主人公の奥さんには何度も和まされた。

    猟奇殺人や謎解きなど派手な演出がないが、否定したくなるようなリアリティで読者にを物語に引きずり込み、当事者意識を持たす。
    すばらしい作品でした。

  • 久々にミステリを楽しめた。
    丁寧にひとつひとつの鑑を追っていく田川の姿勢は刑事としてだけでなく、あらゆる仕事に通じるものがあり学ぶものがあった。
    また、上からの圧力で思うように仕事が進まないこと、強かに組織内を遊泳する上司の存在という設定も面白い。

  • 強盗殺人事件とそれを追う刑事、地方で拡大を続け地元の商店街を廃業に追い込むスーパー、そのスーパーの暗部を追うWebメディア、スーパーと地元に関わる政治屋、関係ないと思われるそれぞれが最後につながっていく。非常におもしろい展開で全てが解明されてスッキリ解決、と思いそうになったところで実は事件の背後に。。。
    犯人解明のストーリー展開のおもしろさと、その背景にある食肉偽装の恐ろしさ。安売りの食肉加工品はもう食べられない。
    タイトルの意味するものが最後のキーとなった。

  • カテゴリはミステリにしたけど、社会、企業、経済小説でもいいです。

    始まりは未解決の「外国人による強盗殺人?」事件の再捜査。
    ところが、真相は強盗殺人なんかじゃないということがわかってくる。
    で、大型ショッピングセンターの出店で街の商店街がシャッター通りになり・・・食品偽装やらBSEやら食肉業界の裏話、食品添加物の問題と
    とにかく盛りだくさん。

    某ファストフードが使ってるんじゃないかと噂された(日本では使ってませんと公式声明でてますが)ピンクスライムやら
    居酒屋で出されるサラダのカラクリ、コンビニのサンドイッチと
    食品の安全性に意識の高い人なら当たり前な情報だが、あんまり意識したことなかった・・・という人にはすごく衝撃的だったでしょう。
    (食べ物の値段にはそれ相応の理由があります)

    そして、ラスト。
    一件落着ではない。あまりに壮大な経済的、政治的事案になってしまったので、そのほうが自然ではある。

  •  行政、企業、警察、官僚、

    世間一般には見えない社会や組織の裏側が

    見えていないはずなのに

    なぜかリアルに感じ、

    少しずつ明らかになるミステリーの謎を追う楽しさと同時に

    怖さに“震える”心持ちで読みました。

    消費する日常の、

    その裏側と未来を想像することは恐れ多くもありますが、

    直視する勇気にあるのだと思えました。

    「消費させられている」

    「得体の知れないもの」を食べている生活・・・

    これが私達のリアルなのでしょうか

    今多くの方に読んでもらいたい作品の一つです。

  • WOWOWドラマで、ミートボックスの八田役古田新太がぴったりハマりすぎの強烈な印象。もう一度ドラマを観直したいと思った。

  • 轍を読んだ後、同じ著者の作品が読みたくて。
    今回は、ノンキャリアの鑑取り地取りのプロが主役。地道に正しいことを積み上げていく人間と、お金と権力のために手段を選ばない人間の戦い。そして前者は敗北する。
    事件の真相に迫っていく後半の展開にゾクゾクするが…信じられない結末に思わず呆然とした。
    前作同様、微かな希望の光を灯して終わってくれる著者に感謝⁈

著者プロフィール

1967年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、時事通信社へ。経済部記者を務める。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。『震える牛』がベストセラーに。『血の轍』『ガラパゴス(上・下)』『不発弾』『トップリーグ』他、映像化作品多数。主な著書に『ファンクション7』『偽金 フェイクマネー』『復讐の血』『共震』『アンダークラス』『Exit イグジット』『レッドネック』『マンモスの抜け殻』『覇王の轍』がある。

「2023年 『心眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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