探検隊の栄光

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  • 小学館
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863407

感想・レビュー・書評

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  • 80年代、「あ!あれはなんだ?!」の台詞も高らかに、探検隊が秘境に踏み込み
    奇想天外な冒険を繰り広げる某番組を心待ちにしていた男の子たちには、
    懐かしさがこみ上げる本かもしれません。

    テントに侵入し、襲いかかるサソリ!(ただし、ゴム製)
    頭上から飛びかかってくる蛇の大群!(ただし、竿に括り付けた籠の中から)
    洞窟の奥に出現する、頭を3つ持ち、金色に輝く伝説の大蛇、ヤーガ!
    (ただし、コブラとニシキヘビを束ね、カラースプレーで着色した手作り品)

    番組を盛り上げるためになら、多少の(というより、最大限の?)演出は厭わず
    自分達を人質として拉致した反政府ゲリラまで巻き込んで
    胡散臭さ満載の映像を撮りまくる探検隊に、クスクス笑いっぱなし。

    戦闘服を脱ぎ、急ごしらえの腰蓑を巻きつけて撮影に協力してくれたゲリラのため
    ハリボテや撮影用の照明機材を駆使して、警官隊と戦い始める彼らの
    ほとばしるような情熱の行先がいったいどこなのか、
    本人たちにも読者にも、だんだんわからなくなってくる狂騒ぶりが、
    いかにも荒木源さんらしい。

    そんな時代の熱を、彼らのその後も交え、可笑しく、そしてほろ苦く描いたことで
    『アメリカン・グラフィティ』ならぬ『昭和のテレビクルー・グラフィティ』と
    副題をつけたいような作品に仕上がっています。

  • ジャングルで探検隊シリーズのテレビ撮影をする男たち。

    撮影はほとんどが演出という嘘ばかりだったが、
    すべては視聴率のためだった。

    撮影途中の洞窟で、彼らは現地のゲリラに捉えられ
    絶望すると思いきや、ゲリラすらも撮影に取り入れてしまおうと決める。

    ゲリラ3人に強力してもらい順調に進む撮影。

    人質の身でありながらも、そんなことはお構いなしに、
    インチキなことを少しの疑問に思うことなく大真面目に行う日本人の姿を気味悪がるゲリラたちだったが
    次第に彼らたちの間にできてきた絆。

    撮影も終わる頃、反政府であるゲリラと政府軍との死闘。
    無事に帰国した日本人たちのその後。

    ゲリラたちにとって日本人は不思議に見えただろうね。
    私たちは本当に不思議な国の人。

  • ■どこまで行っちゃうの?ってぐらい深く深くこだわりの世界に入っていくのと同期するかのように誘拐犯グループとの意思疎通が深まっていく。そしてその結果...。

    ■って、そんなストーリー。軽い文体と軽い展開が重たいテーマを支えてるような。なんとも不思議な感じ。

著者プロフィール

1964年、京都府生まれ。東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年『骨ん中』でデビュー。2010年『ちょんまげぷりん』が錦戸亮主演で映画化され、2016年には『オケ老人!』が杏主演で映画化された。著書に『探検隊の栄光』『けいどろ』『大脱走』『ヘビメタ中年!』『独裁者ですが、なにか?』『早期退職』など。

「2019年 『残業禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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