卒業するわたしたち

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 248
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863490

作品紹介・あらすじ

理由もなく、当たり前のように会えていた日々や、無条件に一番近い場所にいて、気軽に誘い合っていた日々は、何をどうしたって戻らない。卒業は学校だけのものじゃない。様々な「その瞬間」を描きとる13ストーリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 13の「卒業」を描いた短編ストーリーは、苦さや痛さ、切なさが滲みながらも若さゆえのキラキラした懐かしさが感じられて、その瞬間瞬間で切り取られた甘酸っぱい感情が心に沁みた。
    3月に読めば気持ちが盛り上がるのかなと当初は思っていたけれど、決して卒業は3月だけのものじゃなく、生きていく節目節目で出会うもの。そんな当たり前のことに気付く。寂しいけど、前へ進まなくちゃっていう次へのステップ。自分自身いくつも経てきたはずなのに、何となく流してきちゃったというか、時には敢えて寂しさに蓋をしてきたというか。そんなこんなを少し思い出しちゃったかな、読みながら。
    本書で何より嬉しかったのは、小説の初めに加藤さんの短歌がプロローグ的に添えられていたこと。これがとてもいい!歌人としての本領発揮ですね。
    どの歌も好きだけれど、その中でもお気に入りなのは
    「お互いに笑って両手を振るような未来に向かうような別れを」
    かな。
    昨日の自分との訣別。明日に広がる新しい風景に戸惑いつつも、わくわくしながら飛び込めるように。そんなふうに、背中を押してもらった感じがするな。勿論、寂しさの方が勝ってしまうときもあるけれど。(そんなときの方が多いかもしれないけどね。)
    淡々とした加藤さん独特の文体は、読みやすい反面印象に残りにくい気がしていたのだが、不思議と余韻が心地よいのだ。

  • 色々な年齢、色々な境遇の女性たちが、自分たちの出来事などから卒業していく物語だった。

    卒業というと学校の卒業式などを思い浮かべるが、認知症の祖母から卒業式だと思われて、卒業祝いを送られてきたことをきっかけに運動音痴を
    1日で卒業しようとしたり、親と子供がそれぞれ1人暮らしになって親離れ子離れしたり、学生の頃から好きだった先生と同棲することになったが、その同棲を解消しようとしたり、新しい友達との共通の趣味のアイドルが卒業してしまい、その新しい友達と見に行った卒業ライブで泣いてしまったりなど、卒業は意外にも身近な出来事にも
    当てはまるのだなと感じた。

  • 学校を卒業して、もうずいぶん経つけれど、それでもまだわたしたちはいろんなものから卒業していくのだな。
    13の「卒業」。ここにはいくつもの涙と笑顔がある。
    自分が巣立つ卒業も、誰かが自分から去っていく卒業も、それは一つの終わりではあるけれど、でも確かにそこからまた何かが始まるわけで。
    このままがいい、ずっとこのままでいたいと思っても、その「今」はすぐに過去になるんだ、ということをいくつもの卒業を経た今ならわかる。
    いつか、この人生を卒業するその日まで、わたしもまだまだいくつも卒業していこう。新しい一歩のために。新しい出会いのために。
    この一冊が誰かの元気につながりますように

  • 学校、夫婦、カップル、友人、様々な卒業。

  • 卒業は学校だけではないけれど、
    高校卒業を描いた一作目がやっぱり沁みる。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 辛い別れもあれば、前向きな別れもあり、、、
    素敵な物語が集約されていました。

  • 心を震わせるストーリーたち。
    といっても、気軽に読めて、昔の感情が思い出させてくれる程度。
    なかなか爽やか。

  • 文学

  • 一話一話の短さの為もあってか、入り込めないうちにするんと読み終えてしまった。アイドルのファンのお話が他と毛色が違う気がして印象的だった。

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著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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