- Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093863490
感想・レビュー・書評
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13の「卒業」を描いた短編ストーリーは、苦さや痛さ、切なさが滲みながらも若さゆえのキラキラした懐かしさが感じられて、その瞬間瞬間で切り取られた甘酸っぱい感情が心に沁みた。
3月に読めば気持ちが盛り上がるのかなと当初は思っていたけれど、決して卒業は3月だけのものじゃなく、生きていく節目節目で出会うもの。そんな当たり前のことに気付く。寂しいけど、前へ進まなくちゃっていう次へのステップ。自分自身いくつも経てきたはずなのに、何となく流してきちゃったというか、時には敢えて寂しさに蓋をしてきたというか。そんなこんなを少し思い出しちゃったかな、読みながら。
本書で何より嬉しかったのは、小説の初めに加藤さんの短歌がプロローグ的に添えられていたこと。これがとてもいい!歌人としての本領発揮ですね。
どの歌も好きだけれど、その中でもお気に入りなのは
「お互いに笑って両手を振るような未来に向かうような別れを」
かな。
昨日の自分との訣別。明日に広がる新しい風景に戸惑いつつも、わくわくしながら飛び込めるように。そんなふうに、背中を押してもらった感じがするな。勿論、寂しさの方が勝ってしまうときもあるけれど。(そんなときの方が多いかもしれないけどね。)
淡々とした加藤さん独特の文体は、読みやすい反面印象に残りにくい気がしていたのだが、不思議と余韻が心地よいのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学校、夫婦、カップル、友人、様々な卒業。
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卒業は学校だけではないけれど、
高校卒業を描いた一作目がやっぱり沁みる。 -
さまざまな卒業にかかわる短編集。
短編の冒頭にある短歌が短い言葉の中に本編の内容を凝縮させておりさすがだなぁと感じました。学校の卒業だけでなく、教習所や送別会等いろいろあり、切ない気持ちになりました。 -
さまざまな「卒業」をテーマにした短編集。一話ずつは数ページという短さながら、各話冒頭に短歌が沿えてあって満腹感はしっかりあります。
卒業ってハッピーとかアンハッピーとか簡単に分けられないもの。
この季節に読み返したくなる一冊です。 -
短歌を目でなぞって、短編を読み、また冒頭の短歌の意味をかみしめる。
加藤千恵さんの作品は、やっぱりこういう形態が一番好きかも。
名付けてしまえば、きっといろんな「卒業」が人生にはある。
先生と元生徒との恋愛を描いた一編が切なくて良かった。
そういえば、はっきりしたハッピーエンドはひとつもなかったな…… -
卒業ってそういうのもあるのかー。13編もあっても全然飽きない。一押しは「スタートラインすら遠く」。