世界でいちばん美しい

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著者 : 藤谷治
  • 小学館 (2013年10月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863636

世界でいちばん美しいの感想・レビュー・書評

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  • ヒトの自意識が過剰に膨らみ制御できなくなったときの恐ろしさを痛感した。
    ヒトってこんなにも許せない者になれるんだ、という驚きと、ヒトが自らの中から生み出す世界の美しさ、を同時に描き出す。
    藤谷さんの紡ぎだす物語を、ずっとずっと待ってました。
    この世界には、どうしようもなく醜く、どうしても許すことのできない人間がいると同時に、自らの中から限りなく美しいモノを生み出し、それによって周りのヒトを幸せにすることのできる人間がいるのだ、ということを改めて思う。
    せった君は神が遣わした天使なんじゃないのか。音楽を通して周りのヒトに「美しい」世界を見せてくれたんじゃないのか。
    素直に、まっすぐに美しい物語だった、とそう思いました。

  • 筆者がチェロ奏者を目指していただけあり、物語の中の音楽的な描写なども違和感なく読めた。

    純真無垢に音楽に生きるせった君は、周囲の人間の心の闇の拠り所であり、また、彼らの支えがあるからこそひたすら音楽に生きることができた。そんな中で徐々に周囲の闇に蝕まれていき、犠牲になったと感じた。何かの拍子に落ちてしまった心の闇のエネルギーの強さや蟻地獄のような深さ、それに否応無くのまれていく人間の心の弱さを突きつけられた気がする。それらが物語の全体を通して、せった君の音楽とは対象的に、不協和音のように流れていた。

    切なさが残った。

  • どこまでも無垢で音楽を愛している「せった君」と、そんな無垢で無欲な姿に苛立ちながらも夢中になってしまう親友・島崎の友情物語かと思いきや、自分のふがいなさを他人や社会のせいにしている津々見の人生が交錯して思いがけない展開に…。

    津々見が人間のどす黒い部分を足してさらに掛けたようなヤツで、真っ白なせった君に照らされると本当に哀れ。
    過剰な自意識や自分の非を認めない姿は、誰しも持っている黒い一面の集合体のようで、読んでいて辛かった。

    せった君の言葉や音楽は、タイトル通り本当に美しかったです。
    最後の二行で涙腺崩壊。
    複雑な構成や人間のクズな部分を散々見せつけられた末の最後のシンプルな言葉で、この二行がほんと美しかった。

  • すごく期待して読んだ割には……。音楽雑学もほとんどなくて残念

  • 読み終わった後、こんなに重苦しい気持ちになるとは、読んでいる時には思わなかった。

    せったくんの音楽、聴いてみたかったな。
    タンゴのたどり着く先はどんな世界だったんだろう。
    せったくんの笑顔をいつまでも見ていたかった。
    そう心から思うほどの物語だったけど、、、
    あまりにもむごい。
    物語が、あの瞬間へ向かわなければいけなかったというのならそうだったのだろう。だけど
    もう2度と、読み返せない気がする。

  • 最初の方は凄くスピード感があって話にのめり込んでいけた。
    ただ、途中の津々美勘太郎が出てきたあたらから話がややおかしな方へ…
    最後に話の中でも勘太郎が言ってた様に人間の人生なんてある日突然出てきた訳のわからないやつにあっと言う間に壊されることもあるのだなと。
    なんだか予想外の終わりだった。

  • 純粋な青年と傲慢で自意識過剰な青年とのコントラストとあの結末。
    渾身の作と言われて納得できます。
    棒切れの伏線は個人的に好きです。

  • 子供の頃から音楽(ピアノ)に類まれな最能を持つ『せった君』。彼の友達が語るせった君との思い出の日々。
    人は生きて、何気ない日常を過ごす。何気なくて忘れがちだが、失って初めてその大切さ、美しさに気付く。
    中盤は少々退屈したが、何か嫌なことが起こる予感を感じさせつつ物語は進む。
    最後は悲しいが、せった君の清らかな優しさと強さがしみる。

  • せった君が音楽に魅了された日々。

    小学校の同級生だったせった君は
    勉強はできないけれど、私が習っていたピアノを弾いたのをきっかけに、音楽にのめり込んでいった。

    議員のお父さんに音楽を反対されながらも、
    表面上は大学を浪人生として、
    夜はレストラン、エグランティーナでピアノを演奏していた。

    海の家で行われたせった君が作ったオペラ演奏会。
    エグランティーナで奏でられるせった君のピアノの音色に魅了される人たち。
    純粋に音楽が好きで、作曲を愛していたせった君。

    せった君の恋人の小海の元カレ
    身勝手な、妄想に囚われた津々見によって失われた命。

    音楽に取り憑かれたといってもおかしくはないくらい、
    せった君には音楽しかなかったようだね。

    切ないが、津々見の部分が後半ほとんどを占めていて、途中からいったい何を読んでいるんだろうかと錯覚する。
    でもおもしろいなあー)^o^(

  •  「船に乗れ」3部作が中学、高校時代の自伝的な小説いなら、こちらは同じ作者の小学生と大学以降の自伝的な小説(たぶん)。主人公がその音楽の才能を引き出すことになる「せったくん」の純粋さが「世界でいちばん美しい」。
     途中、津々見のところで中だるみがあったり、一人称で書いているために主人公が決して知り得ない事柄に津々見からの手紙を使うなど、小説手法としてはおそらく破綻してるけど、それはともかく。
     ハッピーエンドではないのに、読後感は決して悪くない。一時は音楽を生業にしようとした作者の感性が生きている優れた読み物でした。
     最後の2行を読む限り、やはり実話なのかなあと思わずにはいられません。

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世界でいちばん美しいの作品紹介

「船に乗れ!」作者、十年越しの代表作!

雪踏文彦。
ひとは、みな、彼のことを親しみを込めて「せった君」と呼ぶ。語り手である作家・島崎哲も、親友である彼をそう呼んだ。小学校ではじめて出会い、いつもどこかぼんやりしているようだったせった君は、幼少期から音楽の英才教育を受けていた島崎が嫉妬してしまうほどの才能を持っていた。
中学、高校と違う学校に通ったふたりは、あまり頻繁に会うこともなくなったが、大きな挫折をしたばかりの島崎を、ある日、偶然、目の前に現れたせった君のことばが救ってくれる。やがて、再び意気投合したふたりは、彼がピアノを弾いている一風変わったバーで行動をともにするようになった。
音楽のことしか、ほとんど考えていないせった君だったが、やがて恋をして、彼がつくる音楽にも変化が見られ始めた。そんなある日、彼らの前に、妙な男がちらつくようになった。彼は、せった君の彼女・小海が以前、付き合っていた男だった。そして、事件は起こった。

【編集担当からのおすすめ情報】
デビューから十年近く構想を練り続け、ついに辿り着いた著者の新たなる代表作です。

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