- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093863803
作品紹介・あらすじ
歌舞伎子役と親同士の確執を描くミステリー
「美しい夢ならば、夢の中でも生きる価値がある」
『サクリファイス』で大藪春彦賞、第5回本屋大賞2位を獲得した、近藤史恵氏が長年温めてきた、歌舞伎の子役を主人公にしたミステリー。
市川萩太郎は、蘇芳屋を率いる歌舞伎役者。花田屋の中村竜胆の急逝に伴い、その息子、秋司の後見人になる。同学年の自分の息子・俊介よりも秋司に才能を感じた萩太郎は、ふたりの初共演「重の井子別れ」で、三吉役を秋司に、台詞の少ない調姫(しらべひめ)役を俊介にやらせることにする。しかし、初日前日に秋司のおたふく風邪が発覚。急遽、三吉は俊介にやらせる。そこから、秋司とその母親由香利との関係がこじれていく。さらに、秋司を突然の難聴が襲う。ふたりの夢である「春鏡鏡獅子」の「胡蝶」を、ふたりは舞うことが出来るのか…?
【編集担当からのおすすめ情報】
とにかく読んでみてください。
歌舞伎に詳しい方も、そうでない方も、たっぷり楽しめます。
近藤史恵氏の淡々としながら緊張感のある描写に、あっという間にひきこまれると思います。
感想・レビュー・書評
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歌舞伎…詳しくないけど好きです\(//∇//)
演目に詳しくないからタイトルも意味分からず笑
タイトルに殺しってつけたのはなぜ?
サスペンスでもミステリーでもなかった(^^;)
主人公は市川萩太郎、37歳の女形です。
慕っていた先輩女形・竜胆が急死し(花田屋)
一人息子の後継人になって欲しいと連絡がくるところから物語が始まります。
萩太郎の息子・俊介6歳
竜胆の息子・秋司7歳
歌舞伎の子役のことはニュースとかで、歌舞伎父と
初舞台‼︎とか?海老蔵と勸玄くんとか?
それくらいしか知らない♪(´ε` )
でもさすが近藤史恵さんです!
素人にもよくわかる歌舞伎界
そして御曹司たちの環境と行く末…
俊介と秋司という2人の御曹司もいいけど、萩太郎がとても良い人(T_T)
ハッピーエンドでよかった〜‼︎
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女形の市川萩太郎は、7歳で、父親を亡くした、中村秋司の後見人となった。
萩太郎には、 秋司と同学年の息子、俊介がいた。
秋司は、天才的な踊りの才能を持っていた。
我が息子は、踊りの稽古にも、興味を示さない。
萩太郎は、悩みながらも、形だけの後見人になるつもりはなく、秋司を、我が息子俊介と同じように扱うと決心する。
そして、二人の初共演「重の井子別れ」で、台詞の多い、重要な三吉役を、秋司に、台詞の少ない調姫を俊介にやらせるこたにした。
ところが、初日前日に秋司が、おたふく風邪に。
急遽、三吉役を俊介が演じる事に。
歌舞伎界の不文律の一つ「三日御定法」により、俊介を本役とする事になった。
更に、秋司に難聴の症状が。
「春鏡鏡獅子」の「胡蝶」を二人にやらせるのが夢だった萩太郎は、秋司の持っていた踊りの才能を惜しみ、事の重大さを悩んだが、秋司は、歌舞伎界を去っていった。
一気読みで、面白かった。 -
久しぶりの近藤史恵さん。
歌舞伎の世界を描いているが、知識のない私でも読めて、やはり読みやすいです。
タイトルから、殺人事件がいつ起きるのかとハラハラしながら読みました。
息子の俊介と、後見人を断りきれず引き受けた秋司と、二人の少年を指導する萩太郎の心の動きが、自然に伝わってきて、引き込まれた。
大きな事件は起きないが、静かな中に糸がピンと張ったような緊張感があり、それが歌舞伎の世界観と合っていて、この味も良いなと思う。
最後まで読み、少年たちの目と心を後から知る。
子供の目は真っ直ぐで、大人には見えない物事の本質が見えているのかもしれない。 -
御曹司
後見人
舞台
おたふく風邪
鏡獅子
歌舞伎の知識は全く無いのですが、読みやすかったです。ミステリーではないと思います。
父親と子、母親と子が丁寧に描かれています。
図書館から借りた本 -
著者の作品で好きなのは、自分の日常生活から遠い世界が舞台になっている作品である。
この作品も、歌舞伎の世界のことが書かれており、興味深く読んだ。 -
作者の歌舞伎や役者に対する愛が伝わってくる。
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歌舞伎の家に産まれた運命
俊介と秋司の胡蝶見てみたいなと思った
なんか踊ってる姿想像したら感動しちゃった
歌舞伎の豆知識
代役を立てたら3日間はやらせなければならない
3日過ぎても舞台に戻れない場合は千秋楽まで演じる権利がある
三日御定法
へぇ〜と思った -
一番ものを考えているのは、子どもかも知れない。真実が見えているのも。
親として身につまされる。 -
子供を追い詰める親の愛や悲しさ。最後のシーンは晴れ晴れとした爽やかさが胸に広がりました。歌舞伎の世界はよく分からないけど、その世界に生まれてしまった子供の葛藤は、その時は語られることもなく、後になって本人の口から聞くことになるのですが、大変そうだなと思います。俊介はとてもいい青年に育って、秋司と会話を読めば頭いいなぁ、と感心します。由香里の余りの必死さが招いた諸々。子を愛し案じる余りのやり過ぎの行為は読んでいて決して気分のいいものでは無かったです。それが子供の才能を一時とはいえ潰した…のかもしれませんね。
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近藤さんの真骨頂ともいえる梨園×愛憎劇。
しびれます。良かった!
萩太郎は踊りを得意とする歌舞伎役者。
お世話になった先輩役者の忘れ形見である秋司の後見人を引き受ける。
息子の俊介と同い年であるにも関わらず
格段に踊りがうまい秋司を見た萩太郎は、その差に苦悩する…。
そんな中、秋司と俊介が揃って立つ舞台の当日に、秋司がおたふく風邪にかかってしまう。
それをきっかけに萩太郎は秋司の母と揉めてしまい…
秋司と俊介に「春鏡鏡獅子」の「胡蝶」を躍らせるという萩太郎の願いは叶うのか。
『胡蝶殺し』というタイトルから、てっきり子役のどちらかが死ぬと思っていましたが、
想像していたものとは違いました。
そして、最後がとてもよかった。良い終わり方でした。
子を思う親の気持ちがとても丁寧に書かれています。
子を持ったことのない私でも、抵抗なく受けいれることができました。
子の才能を見届けられないことも
子の才能を信じてやれないことも
子の才能を気負いすぎてつぶしてしまうことも
どれもとても悲しい。
親バカに全くならずにいることは難しいと思います。
でも萩太郎は親バカ心に流されず、客観的に2人を見ていた。非常に素敵だと思いました。
萩太郎の態度から、秋司は萩太郎が本当に思ってくれていることを感じ取ったのでしょう。
3人に幸あれと願わずにはおれないラストでした。 -
とても良い形で終わっていて読後感がよい。俊介と秋司は一生涯よい友達でいることだろう。そして萩太郎を加えた3人の関係もうらやましいくらいだ。今まであまり興味がなかった歌舞伎の世界も垣間見ることができた。
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☆☆☆☆☆5つ
著者は、わたしにとっては、いつ迄経っても『サクリファイズ』の近藤史恵である。
そして、この本は、これまでは全く興味のなかった「歌舞伎」の世界に引きづり込まれて行く自分を感じる。これはサクリファイズの時、同様にほとんど興味のなかった「ロードレース」の世界へ引きづり込まれたのとよく似た状況である。
作者は説明しないで理解させるのがとても上手いと思う。物語を追っていくと自然とその事柄への理解が進んでいるのだ。なかにはそういう究極の手法を最初から諦めて「注釈」などを使ってあっさり説明してしまう著者も居るのだろうが、それは興ざめというものであろう。物語の本筋を読みながら自然と廻りの知識も頭に入っている、これが読書という趣味行為の一番の醍醐味だとわたしは思う。
そういう意味ではこの本は☆は10個!!!なのだ。 -
近藤史恵さんは、小説を通して、この世にある様々な未知の世界を教えてくれる存在。本当に幅広い。
私は歌舞伎のことは全く分からないけれど、それでも、知らない世界のほんの一部を垣間見るように、楽しく読ませてもらった。
梨園のことや、歌舞伎の演目や舞台に詳しい人だったら、きっと馴染みがあって、更に楽しめたのかもしれない。
題名から、歌舞伎を舞台にした殺人事件ミステリーかと思ったら、全然そういうのではなく、ヒューマンストーリー。
子供が大人になる時っていうのは、大人にならざるを得ないから。 -
それなりに面白いですが、ミステリーというのは少しきついと思います。
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タイトルからしてもっとドロドロの梨園の内部暴露的なストーリーかと思ったらサラリとした爽やかなストーリーだった。
秋司の大人になってからの消息の判明の仕方が少しわざとらしいのが残念。 -
誰が胡蝶を殺すのか、どきどきしながら読んだ。そうか。あの人だったか。
絶妙なタイミングで情報が出てきて、自分で推理をしているように錯覚するけど、お釈迦様の掌の上。いいだけのひともわるいだけのひとも出てこないのも好き。 -
タイトルが気になってビクビクしながら読んだけど、なんの、なんの、いい話でした。
親が子を想う気持ち、子が親を想う気持ち、友が友を想う気持ち、それぞれ納得の作品でした! -
不穏な雰囲気にハラハラしながら、一気に読んでしまった。
梨園の人たちの関係性が、知らなかったことばかりで興味深かった。芸能の世界っていろいろ大変なんだな。 -
2014.8.2歌舞伎役者中村竜胆が肝臓癌で急逝。遺児の秋司の後見を引き受けた萩太郎。同学年の息子俊介がいること、秋司の母親由香利はそのエキセントリックさで悪評が立っており戸惑いを感じるものの、秋司の才能を前に驚き、俊介と大切に育てていこうとを心に誓う。二人の初舞台を前に起こった思いがけないことの前までは…。
近藤さんの梨園もの、以前も読んで面白かったので、期待していました。同学年の息子、エキセントリックな秋司の母親という設定からいろいろ想像していましたが、読み出したら、秋司も俊介も可愛く、なんとか無事に育ってほしいと一気読み!面白かった。ネタバレ厳禁!是非、たくさんの人に読んでもらって、歌舞伎、読書の面白さを知ってほしいと思いました。もっとも私は歌舞伎に疎いので、大昔にしか見ていない歌舞伎、また、観てみたいと思いました。 -
歌舞伎の2人の子役が主役ですが、1人の親であり、他方の後見人でもある市川萩太郎のめを通して物語は進んでいきます。
親の立場ではどうしても我が子を客観的に見ることが出来ないですよね。自分が間違っていたということも多々あるはずです。それらの想いがきれいに描写されています。
歌舞伎の演目がたくさん出てくるので、素養がある人はより楽しめると思いますが、そうでない一般の人でも十分楽しめました。
でも、雨の五郎、重の井子別れ、春興鏡獅子はあらかじめ知識があると楽しめると思います。
歌舞伎の見方も変わる一冊かもしれません。歌舞伎を見に行きたくなりました。 -
著者は、過去にはずいぶん歌舞伎ミステリを発表していてわたしは好きだったのだが、最近・・・とくにロードレースを書いた前後くらいか?書いてなかったので、読めてうれしい。
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タイトルから嫌な流れを想像してこわごわ読み進みていったけど、どんどん引き込まれてあっというまに読み切ってしまった。
ラスト20ページほどの疾走感。ちょっとうるっとくるエピローグ。幻想的な締めくくりの一文。
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歌舞伎の題材だが、堅苦しくなく、すらすら読めた。
近藤さんの本は、専門分野の題材を扱っても、興味を持たせてくれる。
タイトルからして、誰が死ぬのか悲劇のラストだと思っていただけに、なんだかあっさり。
親や子が想いやる温かい話だが、みんな立派で他人事のように感じてしまった。 -
久しぶりに近藤史恵を読んでみました。
歌舞伎を舞台にした話らしく、敷居が高いかなと思いつつ読んでみましたが、歌舞伎の世界のことはさらっと流す程度で、ストーリーに重きを置かれていたので、すんなり話の中に入っていけましたが、ストーリー自体深みのあるものではなく、心に響くという内容でもなく、読後もあっさりしたもんです。 -
最近歌舞伎づいているので、梨園のお話を。
子供は大人が思ってるほど「子供」じゃないんだよね。大人になるとなんで忘れちゃうんだろう。
もっとも、周りよりもっともっと大人であることを強いられる環境なのもあるのだろうけど。
後半の2人には泣かされた。