- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093863834
感想・レビュー・書評
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四月の雪の日。あの夜、シェアハウスで開かれたパーティで、一体何があったのか?「樅木照はもう死んでいた」という衝撃的な一行からこの物語は始まる。しかも死んだはずの照の意識は今もなお空中を、住人たちの頭上を、「自由に」浮遊している。
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Bハウスというシェアハウスの住人4人と、管理人の曳田陽一郎。住人の1人、樅木照が亡くなった。自殺なのか殺人なのか、住人同士の関係は?など、それぞれの目線と、死んだ照が空中から見ているもので物語が進んでゆく。イタリアンシェフ、自称俳優、ライター、銀行員と個性的な男女あり、それぞれがそれぞれを干渉したりしなかったり。
誰が殺したのか?謎は解けるのか?と思って読み進めサラっと読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すっきりしない後味を残し、主人公・照の涙で終結。自分の人生に100%満足している人間なんて早々いないんだろうということを思わされる本でした。誰しもが誰かに嫉妬心を燃やし憎しみをもって見えない何かに捉われているなぁと。最後に照が死んでいるように生きていたことを後悔することによってさらに報われない感じに。表紙は照かな?
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「生きることは淋しいに似ている」死んでも尚シェアハウスや不動産の食品曳田に寄り添うように見守る主人公照(ひかる)のつぶやいたひと言が身に染みた。
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死んだ照(ひかる)を巡るシェアハウス同居人たち。奇妙な味わい。
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まぁ面白かった。
1行の空白はあるものの、場面がコロコロ変わるのが分かりにくかった。
「虫娘」という題名にしなくても、もうちょっと「ふわふわっ」としたものでも良かったような感じです。 -
手に取った時から好きだと思った。宇野亞喜良さんの毒ある装丁が美しかったから。
読み始めてすぐにやっぱり好きだと思った。不快感溢れる、スロースタートなのに、どんどん物語に引き込まれて。ゆっくりゆっくり謎が溶かされて行く感じが。以下ネタバレ有り。
醜い感情たちが入り乱れる。死んでしまった照が一番わたしに近いような、や、違う、憧れかも。照のように自由に、死んだように生きるのはやはり憧れる。他人にどう思われようが構わない精神は憧れる。けど、そこから始まったラストはなかなか感慨深い。もっと死んでしまったことを悔やむような生き方がしたかった、というオチが好き。とても綺麗にまとまっていて、憎悪とか、性とか、決して綺麗な物語ではないのに、美しいなと思うものが、この物語にはあった。