鳩の撃退法 上

著者 :
  • 小学館
3.29
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本棚登録 : 880
感想 : 113
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863889

作品紹介・あらすじ

誰もが読みたかった著者5年ぶりの長編小説

かつての賞作家・津田伸一は、いまはとある地方都市で無店舗型性風俗店「女優倶楽部」の送迎ドライバーとして暮らしている。ある日、明け方のドーナツショップで顔見知りになった男が、その日の夜を境に妻と幼い娘ともども失踪するという事件が起きる。
家族三人の「神隠し」事件から一年と二ヶ月が過ぎた頃、以前から親しくしていた古書店の店主・房州老人の訃報とともに、津田伸一のもとへ形見のキャリーバッグが届けられた。老人が生前、持ち歩いていた愛用の鞄はしっかり鍵がかかっていて、重みもある。なんとか開錠した津田伸一の目に飛びこんできたのは、数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札の山だった。
この老人からの遺産で、残りの人生を楽しく生きられると思ったのも束の間、行きつけの理髪店で使った最初の一枚が偽札であったことが判明する。女優倶楽部の社長によれば、偽札の出所を追っているのは警察ばかりでなく、一家三人が失踪した事件も含めて街で起きた事件には必ず関わっている裏社会の“あのひと”も目を光らせているという。まさか手もとの一万円も偽札なのか。白黒つけたい誘惑に勝てず、津田伸一は駅の券売機に紙幣を滑り込ませてみるが……。

【編集担当からのおすすめ情報】
家族の失踪をはじめ、謎が謎を呼ぶドキドキの展開にも惹きつけられますが、それとともに、著者ならではのユーモアと遊び心あふれる語り、思わず吹き出してしまうコミカルな会話のやりとりなどを存分に堪能できます。上下巻という(ある意味)仰々しい体裁に身構える必要もまったくありません。とりあえず物語をお愉しみいただきたい。読み進むうちに思いもかけない小説の世界に引き込まれます。ケタ違いのおもしろさにみちた、文字通り佐藤正午氏の最高傑作です。自信を持ってお薦めします。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻は我慢。後半になってようやく面白くなりそうな感じがしてきた。下巻でいろんな謎がスッキリするといいんだけどな。

  • 最近映画化された「鳩の撃退法」。友人が読み始めてすぐに挫折したらしい。と言われると余計に読みたくなるのが私。とりあえず読んでみたわけだが、端から面白いではないか。

    幸地秀吉なる人物を主人公に据えた物語かと思わせ、実は俯瞰した立ち位置で物語を執筆している津田伸一が主人公。そして古本屋を営んでいたが閉店する房州老人。その彼が亡くなった時、津田は形見分けとして貸していたバッグと共に古本と大金を手にするのだが…。

    上巻では幸地の嫁の不貞、女優倶楽部の嬢たち、ベンツのワゴン、ハンディカム…とちりばめられたネタがどうなるのやら。

  • 以前この本を読んで星を3つ付けたことは覚えている、覚えているというか上巻は星3つで後半は確か星2つにした事を覚えている。
    それなのにどうして今、初版から7年も経った今、2021年になって積読しようと思ったのか、その理由について語る前にこの本が映画化されたという事実を語らないわけにはいかないだろう。
    こう書けば、僕がこの本を積読しようと思った理由は明らかに思えるが、それならまず先に僕の好きな俳優の藤原竜也が出演するとわかった昨年の段階で、以前購入した靴の箱の中に閉まってあったこの本をどうして取り出さなかったのか、そもそもどうして僕が本棚を買わずに靴の箱に本を入れているのか、その説明をする必要がある。
    それに、もしかするとそもそも理由は映画化などではなく、僕の親友がこの本を読んで星を5つ付けていた事を思い出したからかもしれないし、思い出したのはその友人と先日鳩に付いて話したからなのかもしれない。
    だが、もちろん僕は親友と鳩の話なんかはしないし、話をしたとしても恐らくこの本の主人公の職業についてだと思う。
    まあ理由は実際のところどちらでもいいのだが、積読後の感想は以前と同じでは無かった。
    青天の霹靂である。
    MKO めちゃめちゃかなり面白かった。いや、まさかこんなに面白いとは!か。どちらでもいいが。

  • 傑作。

    交錯する時間軸と登場人物、コミカルなセリフの応酬、魅力的な舞台設定と鍵を握るガジェット。
    内田けんじの映画(『運命じゃない人』『アフタースクール』『鍵泥棒のメソッド』)と似ている。
    個人的には、こういうのは映画よりも小説の方が向いているように感じる。

    いきなり最初の2章での人称のすり替え方の鮮やかさに度肝を抜かれる。
    そして虚構の中に虚構を構築するメタ構造。
    もちろんこの『鳩の撃退法』自体が虚構なのだが、その虚構の中に事実と虚構(与太話)が不連続に織り込まれるのだ。
    上下巻合わせて900ページを超える大作だが、構成力が素晴らしいのでまったくダレない。
    その上で構成力を支える筆力(文章力)の確かさ。

    1つ前に読んだミステリ小説が、構成力と筆力の点であまりに貧しかったので、この作品の秀逸さが際立つ。
    やはりこういう作品に出会えるから小説読みはやめられないのだ。

  • 2015 6/12

  • 5年を掛けた1000枚に及ぶ著者会心の最高傑作…
    各メディアにも取り上げられらしくなく気合十分であるようだったのでファン?としては彼の老後の生活のために買ってやらにゃ!と思っていたのだが本屋より先に図書館で見つけてしまって借りてきちゃった…正午さんゴメン。
    さてその内容と言えば彼独特の瀟洒で(ふざけた)凝りに凝った(回りくどい)メタ要素(ひとつ間違えるとメタメタ)を内包する正統派(古臭い)ミステリー。
    そんなこなでやはりこれは正午さんにしか書けない貴重な物語であることは間違いないだろう。さて半分終わった!その結末やいかに?

  • 初佐藤正午です。最初は回りくどい文章で、読みにくいなって思いましたが、慣れました。だんだん面白くなってきました。下巻が楽しみです。ソニーのハンディカム、我が家にもあったかな?どこへいった?あんな使い方は思いつきませんでした。

  • 2022/9/5
    回りくどい!こんな作家やったっけ?次下巻!

  • 家族が失踪したのでどうなるのと読んでいったのですが、話にのめり込む事が出来ずに、斜め読みしました。
    映画化になったので、もう少し面白いと思ったのですが、私には無理な気がします。

  • 先日読了した「流浪の月」が良すぎて、
    観てみたかった映画の原作だったので、
    先に読み始めることにした。
    とりあえず近日中に「流浪の月」を観てから、
    それから。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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