鳩の撃退法 下

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著者 : 佐藤正午
  • 小学館 (2014年11月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863896

鳩の撃退法 下の感想・レビュー・書評

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  • 上巻の帯に「この作者の新作を、ずっとじっと、ひたすら待っていました」と角田光代のコメントが書かれている。
    まさにその通り。私もずっと待っていた。
    佐藤正午は大好きな作家のなかでも、私にとっては村上春樹以上の待ち人。
    この本も5年ぶりの長編である。(しかも上下巻!)
    今回もずいぶん待たされました。

    念願の図書館予約一番を勝ち取り、年末年始に読める―!
    あー、でもきっと面白くて一気に読んじゃうんだろうな、ムフフ。
    なんて思いつつ読み始めたのは良いが、予想に反して手強い相手だった。

    津田伸一は直木賞を二度も受賞した(?)経歴を持ついわば過去の人。
    この津田が冬の日にドーナツショップである男と知り合った。
    まさにその日の夜に男は家族と共に忽然と姿を消した。

    現実に起こった失踪事件を元に小説をしたためる津田。
    その小説の中の世界と現実の津田の生活を錯綜しながら物語は進んでいく。
    どこまでがフィクションでどこまでがリアルなのか段々分からなくなってくる。
    伏線をいくつも張り巡らせた巧みな展開は一筋縄ではいかない。

    タイトルの「鳩の撃退法」にある鳩とは一体何を意味しているのか。
    つがいの鳩はどこへ行ってしまったのか。
    後半になるまで明かされない鳩の真実。
    最後は全ての謎が解き明かされ・・・。

    読むのに苦労させられましたが、最高に面白かったです!
    ここまで複雑な構成はなかったんじゃないかな。
    無冠の帝王、佐藤正午。やはり只者じゃない。
    彼の作品には良く使われる過去に遡及する展開がミステリー要素と相まってぐぐっと惹きつけられちゃうんですよね。
    忘れてはならないのが会話の妙。
    佐藤正午の台詞回しの巧さはいつ読んでも痺れる。
    必ずと言っていいほどのだめんずっぷりが良いのよね~。
    これは好き嫌いが分かれるところだと思うけれど私はたまらなく好き。
    憎めないのよね、なぜか。

    もう、本当にありがとうと言いたい。
    こんなにボリュームのある小説を堪能させてくれて。
    佐藤正午氏、この小説を「墓碑銘にしたい」なんて言ってますが、そんなことおっしゃらずにもっともっと新作を書いていただきたい。
    切に願います。

  • 小説の中の話なのに、実際の話なのか創作なのかいろいろと考えてしまうところがおもしろい。
    自分が作家の津田でもお金は手放したな。
    元々自分のものでもなかったんやもん、見なかったことにできる。面倒事に巻き込まれるのだけは勘弁や〜。
    そうは言っても、お金となると目がくらむものよね。
    あれがあったら……と。
    しかし、いろんなことが関わり合ってたんだ。

  • 作家、津田伸一は今は風俗店の送迎ドライバーをしている。
    ドーナツショップで会った男が妻と幼い娘と共に行方不明となる。
    津田は、行方不明事件を題材に書き始める。
    後に古書店主から津田に届けられたキャリーバッグには大量の一万円札が入っていた。
    津田伸一、どうなる?
    上巻で「いまあなたが読んでいるこれは、基本、深刻な物語である。」と書かれている。
    しかし、津田伸一が書く小説は、笑えるのである。
    小さなことにこだわり続ける津田。
    下巻では「僕のことばは、あなたに届いているか?」と書いている。
    そう!!彼は読み手に問いかけるのだ。
    はい!津田伸一からのことば、受け取りました。
    面白くてニヤニヤが止まらなかった。
    佐藤正午さんが楽しんでいる様子が伝わってきた。

  • 現代小説でこれほど衝撃を受けたのは村上春樹以来。物語の構成、語り口、どれをとっても素晴らしい。現在活躍している作家の中で最も技量のある1人だと思う。

  • やっと終わったって感じです。
    話が重層になっていて、なんなだか解決して欲しいものがしないという感じ…

  • 後藤明生さんの『蜂アカデミーへの報告』みたいなのをイメージしていたら全く違った。『小説家の四季』で佐藤さんの随筆を読んでいた体験となんとなくつながった。

  • 謎は謎だが、割とすっきり伏線回収。下は一晩で一気に読めたぞ。

  • もやもや長いけど、嫌いじゃない。
    OMSは使ってみたい。

  • もやもやする。幸地家と本通り裏と女優倶楽部の物語として、普通にシリアスに書いたら、つまらないということなのでしょうか。この物語に津田さんいらない気がする。ごめんなさい。

  • やはり合わなかった。

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鳩の撃退法 下の作品紹介

人々の交錯が一日の物語となり浮かび上がる

もうしばらくだ。もうしばらく待てば、偽札事件は終息する。一家三人の神隠し事件はともかく、みずから関わった騒ぎのほうは警察も裏社会の“あのひと”こと倉田健次郎も追跡を断念するだろう。追手の心配がうすれ、そう考えた津田伸一はノートに鉛筆で「二年前、夏」と文章を書き出し、しばらく平穏に過ごしていた。
ところが翌月に入って、ハンバーガーショップに姿を見せた女優倶楽部の社長からいきなり退職金を手渡され、最後通告を受ける。
「このままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。おれたちというのは、床屋のまえだとおれ、それにもちろん津田さんの三人組のことだ。だけど厳密にやばいのはあんただよ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ」
あのひと倉田健次郎が散髪に現れたのか? 房州老人のあの大金は裏社会から流れてきたものなのか? 数日のあいだ身を潜め、せっせと小説の下書きをつづける津田伸一にまもなく決断の時期が訪れる。
忽然と姿を消した夫婦と娘、郵便局員の失踪、疑惑つきの大金、そして「鳩」の行方……多くのひとの人生を大きく左右する二月二十八日の交錯が、たった一日の物語となって雪の夜に浮かびあがる。


【編集担当からのおすすめ情報】
本作品は文芸誌「きらら」に足かけ4年にわたり連載されました。その期間毎月、次回はどんな内容がどんなふうに描かれるのだろうか、と待ちきれなくてうずうずしていた編集者にとっては、こうして上巻から下巻までいっぺんに読める「あなた」が正直なところうらやましいです。下巻では急展開も待ち構えています。ぜひ最後の1行まで、これぞ小説、と言えるおもしろさをご堪能ください。

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