鳩の撃退法 下

著者 :
  • 小学館
3.41
  • (49)
  • (91)
  • (93)
  • (38)
  • (16)
本棚登録 : 710
感想 : 112
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863896

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 最後まで気を抜けずに楽しみながら読了。
    主人公、津田という直木賞作家(架空)が虚構と現実の狭間を法螺を吹きながら人を煙にまきながら行きつ戻りつする話。登場人物(とはいってもこの小説の中か、それとも津田氏の書いている小説の中の人物か紛らわしいけれど)の会話一つとってもついつい引き込まれてしまう味のあるもので、当世風でもあったりして笑える。
    お金もこれだけ大きくなると現実味も減るかと思えば・・・
    やっぱり、津田氏と一緒になって溜息しか出てこない(笑)
    引用してあるピーターパン同様、読者を本の世界に引きずり込む力は大きい。本の持つ力はまだまだ大丈夫だと確信できた。

  • ぐるぐる回って,また元のところへ戻る.そしてストーリーは現実と虚構が入り混じり,あったかもしれない現実が,事実を侵食していく.なんとも不思議な味わいの小説で,主人公津田のいい加減さにほとほと嫌気がさしながらも,小説の構造が面白かった.

  • どこまで小説でどこからが事実なのか★★

  • 最後まで読み込むのに難渋しましたが、読み切った価値があるような気がしています。

  • 2016/01/08読了

  • 玄人筋からは絶賛の嵐である。
    「小説家が小説を書きながら謎を解く小説」という試みは小説技巧的に極めて難しいらしい。

    プロット自体は単純だ。

    ただ、時点が行ったり来たりするし、(小説内の)事実と主人公である小説家の創作が錯綜するので、全体像は最後までわからない。

    飽きさせない小説であることは確かだ。

  • 作中の現実を元に作中の作家が小説を書くのですが、その時の加工具合が面白い。
    でも、メタな話って、これもそうですが読みづらいですねえ。
    タイトルはうまいなあ。
    面白いというよりすごい話。でも、読むのしんどいよ。
    これ、書くのがしんどそう。作者志望の人の感想が聞きたい。

  • 語りのうまさが際立ったミステリー。主人公が作家であり、彼が経験を一部忠実に、一部脚色しながら紡いでいくメタな構造が、一部劇的に功を奏しているところもあるが、一部ではかなりの冗長さを醸しているとこも多々。「違うところであっていれば、こんなことにはならなかった」という小説の帯のコピー。であれば、作家はあらかじめ別の場所で二人をあわせるべきではないのか。このスタンスの忠実さが、作家の目の前に起こる事実にも反映されていく。とすれば、何が事実で、何が小説なのか。思い返せばとても深い、気がするが、時間軸が飛びに飛びまくるので、一気に読まないと全貌が見渡せない。他のものも読んでみたい。

  • 回りくどく遠回りやら迷走やらを続けていた物語も少しずつ収束していく。
    作家で語り手の津田が「あらすじを得意の一気読みして泣く女」読者を揶揄するくだりがあるが、自分もそれに近いのか、本作は「回りくどいよ!」と何度も突っ込みたくなりながら読んだ。
    だらしなくて、無精者で、身勝手で、話が回りくどい。そんな津田とは全然仲良くなりたくないけれど、読み終わったとき、このどうしようもない中年男をKY(君を許す)な気持ちで見守りたくなった。

  • 主人公の下衆っぷりに腹が立ち、くどい文章表現にちょっと辟易しつつもやはり、鳩がどこから来てどこにいるのか気になって最後まで読んだ。
    ピーターパンをからめながらの構成がとても面白かったし、各登場人物のキャラも立っていてよかったと思う。

全112件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤正午の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×