- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093863896
感想・レビュー・書評
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ぐるぐる回って,また元のところへ戻る.そしてストーリーは現実と虚構が入り混じり,あったかもしれない現実が,事実を侵食していく.なんとも不思議な味わいの小説で,主人公津田のいい加減さにほとほと嫌気がさしながらも,小説の構造が面白かった.
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どこまで小説でどこからが事実なのか★★
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最後まで読み込むのに難渋しましたが、読み切った価値があるような気がしています。
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2016/01/08読了
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玄人筋からは絶賛の嵐である。
「小説家が小説を書きながら謎を解く小説」という試みは小説技巧的に極めて難しいらしい。
プロット自体は単純だ。
ただ、時点が行ったり来たりするし、(小説内の)事実と主人公である小説家の創作が錯綜するので、全体像は最後までわからない。
飽きさせない小説であることは確かだ。 -
作中の現実を元に作中の作家が小説を書くのですが、その時の加工具合が面白い。
でも、メタな話って、これもそうですが読みづらいですねえ。
タイトルはうまいなあ。
面白いというよりすごい話。でも、読むのしんどいよ。
これ、書くのがしんどそう。作者志望の人の感想が聞きたい。 -
語りのうまさが際立ったミステリー。主人公が作家であり、彼が経験を一部忠実に、一部脚色しながら紡いでいくメタな構造が、一部劇的に功を奏しているところもあるが、一部ではかなりの冗長さを醸しているとこも多々。「違うところであっていれば、こんなことにはならなかった」という小説の帯のコピー。であれば、作家はあらかじめ別の場所で二人をあわせるべきではないのか。このスタンスの忠実さが、作家の目の前に起こる事実にも反映されていく。とすれば、何が事実で、何が小説なのか。思い返せばとても深い、気がするが、時間軸が飛びに飛びまくるので、一気に読まないと全貌が見渡せない。他のものも読んでみたい。
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回りくどく遠回りやら迷走やらを続けていた物語も少しずつ収束していく。
作家で語り手の津田が「あらすじを得意の一気読みして泣く女」読者を揶揄するくだりがあるが、自分もそれに近いのか、本作は「回りくどいよ!」と何度も突っ込みたくなりながら読んだ。
だらしなくて、無精者で、身勝手で、話が回りくどい。そんな津田とは全然仲良くなりたくないけれど、読み終わったとき、このどうしようもない中年男をKY(君を許す)な気持ちで見守りたくなった。