- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093864046
感想・レビュー・書評
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これまでの「神様のカルテ」に繋がる、エピソード0。
一止の研修医時代、本庄病院が24時間365日患者を受け入れる理由、いつか一止が榛名のことを「孤高の人」と呼んでいたその背景、「神様のカルテ」について。
1〜3の読後に読むと、すべてが繋がって、心が温かくなる。
そして、一止の研修医時代。
まず「何事にも最初というものがある。」という一文に、妙に納得。
一止の場合は医者だけど、誰にでもその経験はあって、何かに取り組むときには初めてばかりが繰り返される。
何かに慣れてしまうとその感覚も次第に薄れていくし、なんだか改めて「最初の」感覚って大事だなあと、気持ちがシャンとした。
そんな一止の研修医として「最初の」患者さんである國枝さんが、一止にかけた言葉が忘れられない。
”優しさというのはね、想像力のことですよ”
優しさは弱さではなく、相手が何を考えているのか、考える力を「優しさ」という。
困っている人の話、怒っている人の話、悲しんでいる人の話、喜んでいる人の話、そういうたくさんの小説を読むことで、たくさんの人生を体験して、少しずつ人々の気持ちがわかるようになる。
そうすれば、優しい人間になれる。
だから國枝さんは、”本はよいですな、先生”と言う。
素敵な人だなあ、國枝さん。
そして、夏川さんの景色の描写がとても好きだ。
信州の夏の夕焼けの描写は、まさにその景色が目に浮かぶ。
次は新章を読む。
ますます、夏川さんの描く物語の深みにはまっていく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここ10年くらいに読んだ小説の中で、「神様のカルテ」シリーズはトップクラスに好きな作品です。登場人物たちが強く、優しく、それぞの事情を抱えながらも、一生懸命に生きている姿に勇気をもらえますし、脇役として登場する信州の自然、酒、そして文学にも心をくすぐられます。時に涙しながら、静かで幸せな時間を過ごさせてもらいました。
本作品は、1~3作の時間を遡り、登場人物たちの過去が描かれています。なるほど、こういうことだったのか、と思わされるエピソードの中に、やはり同じような温かさが溢れています。 -
これまでの話に出てきた人たちの話。ハルさんや辰也、一止の過去について書かれている。一止がなぜ本庄病院を選んだか、そして一止の医師としての信念を知ることができた。今作も良かった。
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現実はうまくいかないことも多いれど。
だからこそ、本の中にくらい優しい世界を見たい。
少し疲れてるときに読みたいシリーズだな、と思います。 -
一止の大学から研修医時代の話に、棒名姫。
神様のカルテファンとしては必読です。
一止の学生時代や本庄病院の成り立ちなど、
シリーズ根底となるエピソードがたくさんあります。
相変わらずコーヒーがよく出てくる作品ですが、
一度は東西のコーヒーを飲んでみたいものです。 -
「神さまのカルテ」シリーズの4冊目にして、これまでの物語の前日談。
お馴染み&既に亡くなってしまっていたりする人々がまだ若い時の姿を見せてくれるのがとても嬉しい。
主人公の一止は、国家試験準備の真っ最中だったり、研修医のスタートを切っていたり、また、ハルさんは雪山で芯の通った姿勢でそっか、そんなことがあったのね、と語ってくれたり。
本屋大賞で一作目がノミネートされた時、夏川さんが会場にいらしていたので少しだけお話させてもらったのだけど、(奥様といらしてました。(#^.^#) ハルさんのモデルかな、と嬉しかった!)地方医療の実体験を基にした小説です、と。
うん、医師に求めるところが大きくて、少々甘い、というか、ドリーミィすぎるのでは?と感じられる部分もあるお話なのだけど、現役のお医者さんが書いておられるのなら、それはただの夢物語ではないのだろう、と思えるところが強みですよね。
タイトルの「神さまのカルテ」の意味も始めて分かった。
ネタバレです。
「神様のカルテ」=神様が書いたカルテ、なんだね。
人間の病気を含めた人生のあれこれは、その人が生まれた時に神様が書いたカルテにのっとって進んでいくのだから、その生き死に医師の力は及ばないところがある・・・。これって、日々、患者さんを診ている夏川さんの本音なんでしょうね。そして、だからこそ、医師の仕事は限られた命の中で何ができるかを真剣に考えることだ、とも。命に対して傲慢にならないことだ、と若き大狸先生に言わせているのだけど、これもまた現場にいる医師から出た言葉だと思うと、素直に胸に入ってきます。
夏川さん、医師の激務と小説家の二足のわらじで身体をこわさないでくださいね。 -
ここに来て「ゼロ」を出してくるとは・・・
当然、期待が大きく膨らんだ中で読んだわけですが、期待に十分に応える内容でした。
希望を言うなら、はるなの出番がもっと欲しかったですが。。。
今更「ゼロ」ですが、十分に読む価値アリですよ。 -
一止たちの国家試験前の落ち着かないような様子、まさに青春時代、懐かしいようで、すがすがしさもあり、よかった。
事務局長の冷徹な顔の裏側にある、悲しい思い出、心の底にある、温かさ。よかった。
研修医時代の一止の健闘、患者さん國枝さん夫婦の思い。よかった。
榛名さんが雪山で救った命。健三さんが、がんばって、生きてくれているといいなあ。
それぞれ、短編で描かれているけれど、命と向き合うことの大変さが伝わってくる。
医療業界の抱える問題もちらっと触れていたのも興味深かった。 -
神様のカルテ0、読み終わりました!
「人間にはな、神様のカルテってもんがあるんだ」
「神様がそれぞれの人間に書いたカルテってもんがある。俺たち医者はその神様のカルテをなぞっているだけの存在なんだ」ー本文よりー
懸命な医師。懸命な故に苦悩する医師たち。そして、彼らを取り巻く温かな人情。
この作品には、人間の尊厳が満ちています。
人間賛歌とも言うべき、このシリーズを是非とも多くの方々に読んでもらいたいと思います。
※「0」は主要な登場人物の短編集。「1」「2」「3」を読んだ後の読書をお勧めします。