東京帝大叡古教授

著者 :
  • 小学館
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864084

感想・レビュー・書評

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  • 直木賞候補なんですね~(予約いっぱいになる前に読むことができて良かったです)

    面白くて、勉強になりました。というのが正直な感想です。
    普段、まず使わない難しい言葉が多くて、辞書が手放せませんでした。
    実在の人物がたくさん登場して、気分はタイムスクープハンター♪
    叡古教授と藤太のゆるぎない信頼関係も、とても良かったです。

    そして、藤太の本名は?と持てる知識を振り絞って想像したけどわからず。
    (もしかしてアナグラム?とか…)
    最後にやっと、あの方か…。

    以下、ネタバレです。
    あの方について触れています。(名前は書いていません)



    かつて、お名前を読み間違えて覚えていた私が語るには、とてもおこがましいんですが…

    日本の外交の歴史において、不世出の方だと思っています。
    戦犯とされてはいても、あの時代において誰より戦争反対を訴え続けた方だと。

    あの日、どれほどの決意であの場に立たれたのか…
    どれほどの想いであの歌を詠まれたのか…
    今再び、同じ轍を踏むかのような危うい日本をご覧になったとしたら、どのように思われるのかと…
    ふと、考えずにはいられませんでした。

    そして、
    ミステリーのレビューで、このようにネタバレのようなことを書いていいのか迷いましたが、
    門井さんが藤太の本名として”今”あの人物の名前を書かれた…ということの、私なりの受け止め方として書くことにしました。

  • 九州の旧制五高から夏の東京へ先輩を頼って上京してきた主人公は、待ち合わせ場所の帝大図書室に赴く。しかしそこは、頼って上京してきた同郷の叡古教授の殺害現場。と思いきや、その死体は別の教授なのだが、登場した叡古教授に藤太という名前にされてしまう。
    知能明晰な叡古教授のもと様々な事件と向き合うことになる藤太。
    漱石、徳富蘇峰などなど、実在の人物や事件を背景に明治・対象・昭和の歴史を巡る大舞台。

    最後の最後に、藤太の本名が明かされ、歴史を体感させる。
    歴史上の人物・事件を踏まえた大フィクション。面白かったけれど、歴史の知識に乏しい私は、もっと勉強しておけば良かったと悔やみました。

  • 門井さんの作品を初めて読んだけど、面白かったなぁ。
    ミステリーとしてより、歴史エンタテインメントとして爆笑してしまった。いろんな人物が登場するたびに「おいおい」とツッコミながら読了。一番の楽しみは語り手の阿蘇藤太が何者であるかなんだろうね。20世紀初頭の日本政治史に詳しい人ほど楽しめることうけ合い。

  • 五高から東京帝大に進学希望の阿蘇藤太クンの出会う殺人事件の様々・・・といった意趣のミステリーなのですが、一筋縄ではいかない日露戦争~の日本の歴史の中で浮沈する華族や庶民の暮らしまで。何より歴史上の人物が次々と現れてくれるのはうれしい。藤太クンもただそれだけじゃないだろうなと思ったら、やっぱり・・・

  • 前に読んだ、シャーロック・ホームズ対伊藤博文みたいに、歴史と、阿蘇藤太こと重光葵の青春小説と、創作ミステリが混ざったもの。

    面白かった。

    曰く、人が学ぶのは、自分でものを考えるため。誰もが感情に身を任せる日に冷静になる。そういう人間がいなければ、集団はこぞって過ちを犯し破滅への道を突き進んでしまう、と。

    うんうん。

  • 最初は万城目学みたいのを想像していたけど、ちょっと違った。

  • 題名が堅いので難しい本かと思いきや、そうではなかった。明治という自分から見たら堅苦しい時代の話ながら、ちょっとコミカルな感じで話が展開する。テンポもいいのでとても読みやすい。

    ジャンルとしては犯人捜しをする推理小説なのだと思うが、あまり謎解きの部分は重要視されていないようにも感じる。いきなり殺人が発生し、たいした捜査や推理もないまま犯人が明らかにされるのには驚いたが、それも事件の黒幕が背後にいることを示唆する伏線である。ある意味小さな時間がいくつか発生し、小さな犯人があっけなく捕まるのだが、だんだんと黒幕に近づくにつれて面白くなってくる。

    本格ミステリーを期待して読むとがっかりするだろう。読み方としては、明治時代の日本が置かれている立場を踏まえながら、当時の人の考え方や文化・風俗を楽しみ、さらに面白くするスパイスとしてのミステリーを楽しめばいいと思う。普通小説として読むのがいいのかもしれない。

  • 第二話の恋愛話が良かったな。門井版『三四郎』。途中で語り手が叡古教授に失望するところなど、単なるワトソン役でなくて、自分を持っているところが良い。

  •  『小説吉田学校』なんて言うと、もう古すぎるのか。
     そこにも、かの外務大臣は登場する。その小説の史観によるならば、このような青春小説の主人公には、ちょっと不似合いだ。
     彼の人生は、小説の後さらに大きな揺れを迎える。むしろ、その揺れの後から振り返っては、どうか。
     それにしても、あまりにもどかしい、謎解きの連なり。好みは分かれよう。これもかの大臣のままならぬ人生と重ねようとする計略か。

  • #読了。直木賞候補作品。初読み作家。時は明治、帝大の教授が毒殺される。帝大教授宇野辺叡古は、上京してきた熊本第五高等学校生阿蘇藤太と共に犯人探しを始めるが。。。推理小説というよりは、歴史小説。最後は なるほどと。

著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、第42回オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年に『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞。近著に『ロミオとジュリエットと三人の魔女』『信長、鉄砲で君臨する』『江戸一新』などがある。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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