公器の幻影

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著者 : 芦崎笙
  • 小学館 (2015年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864152

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公器の幻影の感想・レビュー・書評

  • 迫力のある作品です。
    大手新聞社の若手遊軍記者が臓器移植を巡る政治腐敗に迫る内容。
    本の帯にある「正義か、信条か、功名心か。」のように、真っ直ぐな主人公の記者としての苦悩がよく表れています。
    臓器移植の問題を通して、死生感について考えさせられました。
    必死に治療を施されてきた患者が脳死状態になったとたんに移植を待っている患者へのドナーとなること。
    脳死状態であり、臓器などは動いているのに死と判定され、摘出が始まること。次の人の命のために、ドナーの人としての死が早められているのではないかとの問いかけ。
    呼吸が止まり、心停止した時を死と考えててきた日本の死生感と臓器移植の考え方にズレがあることを改めて認識させられました。
    死を悼む人、移植を待つ人。人の生が誰かの死によって成り立つことの難しさを感じます。
    人の死とは何をもって死とできるのか。
    本書を読んでの私見ですが、脳死であれ心停止であれ、家族や近しい人が受け入れた時なのではないかと感じます。受け入れるという言葉で一律にまとめられるものではないかと思いますが、法令の条文で決めるにはまだまだ我々は考えなければならないことが多いのだと思います。

  • 東西新聞社会部の鹿島謙吾は、中国の西安で金銭が絡み死刑囚の臓器が日本人患者に移植されているという事実を突き止める。
    記事を掲載すると、中国政府は強く反発し、日本国内でも臓器提供の要件緩和を目指す法案が動き出す。
    臓器移植法案をめぐり蠢く政治家たち。
    鹿島はさらに脳死判定におけるデータ改竄と違法な政治献金を追うが、それを公にすることは移植手術を待つ患者たちの希望を打ち砕くことにもなるのだ。
    正義か、信条か、功名心か、鹿島の決断は……。
    (アマゾンより引用)

    臓器移植って結構ややこしい取り決めがあるんだなぁ
    私は自分が死んだあとなら何でも好きに持ってってと思ってるんだけど、残された人たちが亡くなった人の身体を切り刻むのは我慢ならないって思う気持ち、この本読んで初めて「そういう思いもあるんだな」と思った。
    私が死んだあとに残された人がどう感じるかは分かんないけど、健康に生きてる私だから、死してなお誰かの役に立てるのなら嬉しいんだけど…

  • 臓器提供に伴う杜撰な脳死判定の情報隠蔽、臓器移植を推進したい病院からの見返りの政治献金問題をスクープした大手新聞社記者の葛藤を扱った作品。「起承転結」の〆の部分の盛り上がりに欠けるところが残念!

  • 新聞記者のスクープに対する思い。臓器移植が抱える様々な問題。新鮮な臓器を待つ大切な我が子を見守る親の気持ち、突然やってる我が子の事故による脳死判定の様子。どちらもリアルで辛い。

  •  日本人患者の越境移植というテーマをスタートとして、臓器提供意思表示カード、臨床的脳死診断と法的脳死判定、ドナーの立場とレシピエントの立場、救急救命医学会と移植学会の相克・・・等、臓器提供、移植医療に関する問題が示されながら、全国紙の遊軍記者が最終的に真実を記事としてスッパ抜くに至る逡巡――報道の正義なのか、あるいは功名心なのか――綴られてゆく。 

     「ペンは剣よりも強し」というのは真実であろう。しかし、ひとつの出来事からは無数の真実が生まれる。それらの真実からひとつの真実を選択し報道する人間――記者の判断の有り様によってはペンは凶器になることもけだし真実である。更には、最終的に記事になる前には社風、社の立ち位置からのバイアスが加わり、記者の本旨が変節してしまうこともある。

    (内容紹介)
     東西新聞社会部の鹿島謙吾は、中国の西安で金銭が絡み死刑囚の臓器が日本人患者に移植されているという事実を突き止める。
     記事を掲載すると、中国政府は強く反発し、日本国内でも臓器提供の要件緩和を目指す法案が動き出す。
     臓器移植法案をめぐり蠢く政治家たち。鹿島はさらに脳死判定におけるデータ改竄と違法な政治献金を追うが、それを公にすることは移植手術を待つ患者たちの希望を打ち砕くことにもなるのだ。正義か、信条か、功名心か、鹿島の決断は……。

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公器の幻影の作品紹介

現役財務省官僚作家が描くメディアの裏側

東西新聞社会部の鹿島謙吾は、中国の西安で金銭が絡み死刑囚の臓器が日本人患者に移植されているという事実を突き止める。記事を掲載すると、中国政府は強く反発し、日本国内でも臓器提供の要件緩和を目指す法案が動き出す。臓器移植法案をめぐり蠢く政治家たち。鹿島はさらに脳死判定におけるデータ改竄と違法な政治献金を追うが、それを公にすることは移植手術を待つ患者たちの希望を打ち砕くことにもなるのだ。正義か、信条か、功名心か、鹿島の決断は……。
「スコールの夜」で第5回日経小説大賞を受賞して話題を集めた現役財務省キャリア官僚・芦崎笙氏の新作書き下ろし小説。受賞作では大手都市銀行初の女性管理職に抜擢された主人公の苦闘を描きながら金融界の深層に迫ったが、今回のテーマは新聞ジャーナリズム。臓器移植問題を報じる新聞記者の生き方を通して公器(マスコミ)とは何かを問いかける。



【編集担当からのおすすめ情報】
政治家の「首」をとるスクープを前にして揺れ動く新聞記者の真情を深く鋭く描いた骨太な人間ドラマです。新聞記者の経験を持たない作者がここまで複雑な内面に踏み込めるとは、圧倒的な筆力と豊富な情報量で展開される読み応えじゅうぶんの長篇小説です。

公器の幻影はこんな本です

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