教場2

著者 :
  • 小学館
3.39
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感想 : 170
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864350

作品紹介・あらすじ

大ヒット警察学校小説、待望の続編!

●第一話 創傷(そうしょう)
初任科第百期短期課程の桐沢篤は、風間教場に編入された不運を呪っていた。医師から警察官に転職した桐沢は、ゴールデンウイーク明けに最初の洗礼を受ける。
●第二話 心眼
風間教場では、備品の盗難が相次いでいた。盗まれたのは、PCのマウス、ファーストミット、マレット(木琴を叩く枹)。単独では使い道のないものばかりだ。
●第三話 罰則
津木田卓は、プールでの救助訓練が嫌でたまらなかった。教官の貞方は屈強な体格のスパルタ教師で、特に潜水の練習はきつい。本気で殺されると思ってしまうほどだ。
●第四話 敬慕
菱沼羽津希は、自分のことを初任科第百期短期課程のなかでも特別な存在だと思っている。広告塔として白羽の矢が立つのは、容姿に秀でている自分なのだ。
●第五話 机上
仁志川鴻は、将来の配属先として刑事課強行犯係を強く希望している。元刑事だという教官の風間には、殺人捜査の模擬実習を提案しているところだ。
●第六話 奉職
警察学校時代の成績は、昇進や昇級、人事異動等ことあるごとに参照される。美浦亮真は、同期で親友の桐沢篤が総代候補と目されるなか、大きな試練に直面していた。



【編集担当からのおすすめ情報】
週刊文春「2013年ミステリー部門」第一位に輝き、
2014年本屋大賞にもノミネートされ、
警察小説に新機軸を打ち出したベストセラー、いよいよ続編登場!
もちろん、白髪隻眼の教官・風間公親は健在!

感想・レビュー・書評

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  • 評判高い「教場」2作目。
    前に読んだのですが、ブクログに登録していなかったことに気づいて、再読。

    警察学校での訓練と、そこで起きる事件の連作短編集です。
    教場とは、警察学校でのクラスのこと。
    白髪で隻眼の風間教官が、すべてを見抜き、教えます。

    「創傷」
    元医師という異色の経歴を持つ桐沢篤。
    風間公親の指導の厳しさに、不運を嘆いていました。
    大切なものをなくして冷や汗をかくことになるが、教官に見破られ‥?
    この話の問題だけではなく、仲間の様子も出て来て、最後の話までつながっていきます。
    「心眼」
    あまり意味のなさそうな小さな物があいついで紛失。いじめに遭っている忍野がその理由に‥
    「罰則」
    水泳の訓練が大の苦手な津木田。
    ある件を目撃されたと思ったが‥ なぜか何も言われず?

    「敬慕」
    クラスでひときわ美人な菱沼は、広報紙のモデルに選ばれると思っていたが、地味な枝元に票が集まる。
    その理由とは‥?
    「机上」
    強行犯係の刑事になるのが希望の仁志川。
    勉強熱心だが‥
    「奉職」
    第一話から謎の言動があった美浦。やる気がないみたいなところもあるのに、けっこう優秀?
    風間教官の最後の言葉がいいですね!

    警察学校で何をどう教えるかの実際と、おそらく教官によっても違うだろう、突然の実際的な指導。
    卒業後は交番に配属されるため、一見平和な任務のようだが、巡査が新人だろうと、いつ何が起こるかわからない危険もあります。
    そこへ送り出しても大丈夫なように鍛えるのが、教官の仕事。

    1作目の方が怖かったですが~警察学校がいつもああでは、さすがに大変過ぎ?(笑)
    風間教官の鋭さと、作者の頭脳の切れがかぶります。
    感心しつつ、引き込まれました。

  • 警察学校での具体的な勉強内容みたいなのも数々出てきて、やっぱり大変そうだなと思った。
    警察官になるために通る道。

    卒業したら警察官になる以外、道はないのだから途中リタイアがあるのは、本人のためにも警察組織のためにも必要なことなのだろう。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    怪物じみた切れ者刑事は、なぜ教官に転じたのか?君には、警察学校を辞めてもらう。“退校”宣告から執行までのタイムリミットは一週間。風間教場に編入された不運を呪いながら、己と闘え。大ヒット警察小説、新章突入!




    警察学校小説続編、6話からなる連作短編!
    お正月に放送された二夜連続ドラマでも観た内容の章もあって 登場人物を想像しながら読めました。
    本の続編も読みたいし ドラマの続編も希望!!


  • 警察学校の学生同様に、私も風間教官の人間離れした推察力や厳しさに恐れさえ感じるが、風間教官の優しさが垣間見えるとホッとするし、感動する。


    一見地味な雰囲気の美浦だったので、過去からの不屈な精神を知り、驚いた。

    風間教官も心から賞賛されておられましたね。
    「キミみたいな学生に会えるから奉職できる」というラストの言葉を引き出す美浦、本当に頑張ったんだろうな。
    最高の賛辞だと思う。

  • 何もかもを見通す観察力。
    警察官としての優れた実力。
    隙のない教官・風間と、その生徒たちを、オムニバスで描く。
    変わらず厳しい風間だが、冷酷なのではない。
    前作よりも優しく、マイルドになった印象。
    教場の雰囲気も、悪意は変わらずあるものの、ぴりぴりした怖さが弱まったような。
    ミステリというより、人間模様を描く物語。

  • 警察学校・風間教場を舞台にした第2弾。前作より、風間の毒気が感じられず、「こんな作品だっけ?」と思いつつも、一気読み。もう少し、エグイ方が面白い気がする。

  • 教場シリーズの中でこれだけ読み忘れてた。
    相変わらず学生に引導を渡していく風間だが、見逃した学生も中にはいることが意外だった。
    規則は絶対だが、時には柔軟に考えられるところも風間の魅力の1つなのだろうな。

    これだけ厳しく、何をやっても見透かされそうな風間は私にとっては畏怖の対象でしかないが、彼を慕う(というか好きな)学生が現れる。これに対しては完全なる塩対応。容姿に自信を持つ少しばかり姑息な学生が投票で自信をなくすところまで計算しているとは…恐ろしい。

    最後の章で風間が警察を憎みつつも、警察学校にいる理由が、これ以外はないくらい清々しい。単純な理由だが、大事なことだ。
    「会えるからだよ。君のような学生に。」尊敬する人にこんなこと言われたら嬉しいだろうな。
    普段厳しく笑顔を見せない人にそう言わせた学生なら、立派な警察になるだろう。

  • 読みやすくて良い。
    風間教官だけでなく、朝永教官もとても優秀な教官だと思う。

    ドラマを観た時にも思ったけれど、警官志望者がこんな生徒達のような人間だったら嫌だなぁ。

    美浦の背景だけが、私にはなんだかさっぱりわからなった。

  • 警察学校を舞台にした短編集の第2弾。
    警察官になるのは並大抵のことではないのがよくわかるが、他の職業を経験してから転職してきた者がけっこういるのは驚き。
    風間教官の洞察は相変わらず鋭い。

  • シリーズ二作目。今回も教場内で巻き起こる事件と、張り巡らされた罠。それに挫折して学校を去る者と、それをばねにしてより一層成長する者。それぞれの物語の主人公が辿るのは果たしてどちらの道なのか。どの物語も主人公に感情移入するほどにどきどきさせられました。
    本当に、警官への道は険しく厳しいものです。でもだからこそ、そこで戦う彼らはカッコいいと思えました。風間教官もカッコいいなあ。もちろん鬼のような厳しさもあるけれど、そこはかとない優しさも感じられるところが素敵です。そりゃあ女子学生にモテるわ(笑)。

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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