希望荘

著者 :
  • 小学館
3.79
  • (173)
  • (476)
  • (290)
  • (34)
  • (8)
本棚登録 : 2697
感想 : 385
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864435

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 妻の浮気で離婚した杉村三郎がプロの探偵として扱った事件4件の物語、どれもこれも短編なのに読み応えがあった。砂男は戸籍の入ら替えの話であったが最近読んだサスペンスで入れ替わりの話はこれで三度目だ、推理小説家の中でも流行りはあるのだろうか。今回は探偵としての杉村三郎を紹介したような話でこの調子でいくといくらでもシリーズは続きそうだが、今多コンツェルンとの対決の話がいずれ出てくるように思うし、オフィス蛎殻の坊ちゃんも今多会長と繋がりがありそうに感じるし、未だ三郎は会長の手のひらで泳がされているような気がする。しかし小泉孝太郎が完全に三郎に刷り込まれてしまったようで、この役は彼しかいないようだ、またTVドラマでも見て見たい。

  • 長いこと図書館で予約をしていてようやく届き読了。

    ペテロの葬列は正直序盤が長く話が盛り上がるまで遅く感じ読み終わるまでに時間がかかったけれど、これは連作短編ということもありテンポよく読めた。一つ一つの作品の長さがちょうどいい。

    前作のラストは衝撃的過ぎ、感情移入して読む私としては菜穂子に対してとても強い嫌悪感を抱いたのだけれど、この作品では三郎の家族に強い怒りと嫌悪感を抱いた。
    社会を知らないあまちゃんと言われようが、あの家族の態度には理解できないし共感できない。何かもっと接し方あるんじゃないの?と思ってしまう。
    それが人間らしいといえばらしいのかもしれないけれど、私はどうにも好きになれない。
    兄嫁はとくに。でもいるよなこういう人、とも思う。
    そこがやたらにリアルで多分私の琴線に触れるのだろう。

    事件としては帯にあったような「絶望」とまでのものは感じなかった。
    短編だからかそこまで難航することなく事件が解決して行くのでミステリとしては弱い印象。
    ただ三郎のお人好しキャラというか、人情み溢れるキャラクターはとても好きなのでやっぱり読んで良かったなぁと思う。

    事件を引き寄せてしまう、とそこそこ悲観しているように見えるが探偵ならむしろ喜んで追いかけて行くほどの強さを持ってもらいたい。
    人の生死や、心の歪みなどに素直に反応する三郎だからこその弱さなのだろうが。

  • 杉村三郎シリーズ。離婚し、義父の会社を辞め、探偵事務所を開業。場所は大地主竹中家の賃貸物件。ついでに前の会社の1階にあった喫茶店「睡蓮」のマスターも近くに引っ越し開店するという。好きな登場人物だったのでうれしい。連作短編で、1話1話は短いものの、やっぱり宮部作品は重いことや怖いことも書き込まれているなと思った。でも主人公杉村三郎は離婚でうじうじしていないし、毎回思うけど、重い事件に遭遇しても結構淡々としているところが読みやすい。

  • 杉村さん、がんばってる!

  • 杉村さんシリーズ待ってました。そしていよいよ探偵業開業!…と思いましたがブランクがあったのですね。ん?蛎殻ってナンダッケナ?と思ったらちゃんと後で解説(?)の一編が出てきました。
    もう、ちょっと遠いところにいる疎遠ないとこか甥っ子を見守るような気持ちで読んでましたね。がんばれ杉村(笑)

    杉村自身の家族のこともそうですが、今回は家族の関係性ということを考えさせられる話が多かったですね。

    かなりヘビーな案件もありましたが、依頼人がご近所さんや高校生が多く、探偵業もまずは手慣らしといった感じでしょうか。母屋のトニー(だったけ)これからも重要登場人物になりそうな予感。
    たまに音信のある親戚の気持ちで、今後の杉村も見守っていく所存です(笑)

  • 杉村三郎シリーズ。
    衝撃の離婚からのその後のおはなしが4つ。

    いきなり私立探偵事務所なんて始めてるので、あれ?こんな流れあった?となるけど、そのあたりのいきさつは3話目で明らかになります。
    調査会社の下請けをしつつ、警察には相手にされないような気がかりや人探しの相談事を請け負ううちに潜んでいた闇を明らかにしてしまう、というようなおはなしでした。

    ちょっとぞくりするような、そして露わになる感情は分かりたくないけど分かってしまうような人間の嫌な部分をついてくる。
    登場人物が結局みんないい人みたいな話よりは読みごたえがあるけど、ほんとやりきれなくて切なくなっちゃうよね。
    今日は折しも東日本大震災から5年半とニュースでもやっていたけど、あの直後の津波の恐怖やら原発事故の混乱やら作中にも登場して、なんか自分のなかでの風化具合に凄いいたたまれないし情けない。

    まあそれでも、杉村さんがそれなりに前向きに頑張ってるのが良かったな。娘さんとも仲良くやってるみたいで安心した。

  • 杉村三郎シリーズ、そして短編。「ペテロの葬列」を読まずに、読んでしまったから、離婚した理由も、今多コンツェルンを辞めた理由も、私立探偵になった理由も分からないまま。ただ、短編だし、前の事件が分からなくても、辞めた後に知り合う人たちとの物語なので、それなりに読める。残酷と言うような事件もなく、人の良心とは何か?をつい考えてしまう一冊。順番は前後してしまうが、「ペテロの葬列」を読もう!

  • もやもやする話が多い杉村シリーズだけど、砂男がメタリカのあの曲を題材にしているのでテンション上がりました。砂男に星5つです。

  • 前作が、かなり衝撃的なラストだったのと、主人公の杉村さんの人となりがとても印象深かったっというダブルの印象で読み始めたからか、すこしパンチが弱く感じました。

    そして、今回は主人公である杉村さんの魅力があまり出てなかったような気がしてます。

    ストーリーは、短いお話が4作品。
    それぞれとても面白いお話でしたが、なんせ前作の衝撃が強かったせいもあり、普通。という。
    本当に普通。

    あ〜もっと私の中の杉村さんは、素敵だったはず〜って勝手に想像してしまいました。(笑)。

  • ペテロの葬列の衝撃のラストがなかったことのように。

全385件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×