大沼ワルツ

著者 :
  • 小学館
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864480

作品紹介・あらすじ

北海道絶景の地の実話も元にした奇跡の物語

大沼は、明治時代、手つかずの美しい自然に魅せられた開拓民が入った地。香川県から移り住んだ、倉島家に育った三兄弟の長男・秀雄は、第二次世界大戦中、東京で溶接学校に通っていた。秀雄は、よく行く寿司屋で、山梨から住み込みで働きにきていた、坂田家の長女・以久子と出会う。恋に落ちて結婚した二人は、大沼に戻って暮らし始める。そして、長男長女に続き、どうしたことか、次男には次女が、三男には三女が、順に嫁いでいくことになる。三夫婦は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。
北海道を舞台に数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話を元にした渾身の作品。

感想・レビュー・書評

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  • 三兄弟と三姉妹がそれぞれ結婚、そんな上手い話はないない。なんて思ったらなんと実話に基づいた小説だという。これはびっくりでした。
    谷村さんの小説にはなんていうかしっとりとした情緒が前面に出て来るイメージがあったのですが、これは今までにないからりとした明るさがあってとても読後感の良い一冊でした。
    北海道で育った兄弟の力強さに、山梨の姉妹の明るい我慢強さが加わり最強の一族が出来上がっていく、その過程が北の大地への憧れをそそります。
    心や身体が弱っているとき、身の内から生命力を引っ張り出したいとき、そんな時にきっと力になる小説だと思いました。

  • 実話を元にした物語ということで、舞台となる場所や時代背景に細やかな描写がある。フィクションの範囲は分からないけど、とても良く調べ上げられた中で構築されていった物語なのだろう。
    この時代の家族が構築されていく様に、吉も悪しもあるなと思う。
    展開される場面を楽しんで読めた。

    (蛇足)
    近代に近づくと時間が飛んだりする。
    朝の連ドラと同じようなものかと推測した。

  • こういう家族いるんだなぁという感じでした。
    一人一人優しくて、賑やかな家族構成だけど、毎日楽しく過ごせそうだなと思いました。

  • 舞台は函館の近く、大沼。
    駒ケ岳が見守る北の大地。

    時代は太平洋戦争末期〜昭和50年くらいだろうか。
    三兄弟と三姉妹が次々に結婚していく。簡単なことではない事実をもとに小説を鮮やかに紡いでいく。

    寡婦だった三兄弟の母、那須子の思いの強さに胸を打たれる。
    自分がしてもらえなかったこと、例えば義母からの感謝を嫁には惜しみなく与える。…何と深い愛だろうか。自分の寂しさや哀しみを内に秘めたまま、生きて、人生を切り拓いて、望むような家族を得た。
    何度も目頭が熱くなった。
    縁あって家族になっても、中々結びついていられないものだから、たゆまぬ努力があったのだ。たくさんの優しさと強さと。

    そんな那須子のお眼鏡にかなう姉妹たちだから、みんな芯の強い。働き者。
    家族の結びつき、優しさ、うっとおしさ、息苦しさ、最後は理由も聞かずに抱きしめてくれる。

    大きな自然に抱かれて、多分コンクリートのビルばかりで山も見えない私の故郷とは似ても似つかぬ土地。繋がっているのは空くらいかしら、と久しぶりに空を見上げた。

    家事をして、働きに出て、帰って家事をして、子どもの世話を焼き、勉強を見て、寝かしつけて、気がつけば、帰宅して、「仕事」の連続で、スマホゲームに夢中で手伝いもしない旦那を疎ましく思ったり。
    ちっぽけだな、自分と思った。

  • 読後感、う〜ん!ずし〜ん!
    山梨の三姉妹が大沼の三兄弟とそれぞれ結婚して大家族で助け合いながら生きていく物語。
    三夫婦の人生が味わい深く、しみじみとした思いになるが、最後の方で子供の1人が結婚して離婚。離婚の原因もマザコンみたいで、ハッピーエンドで終わらないこの物語、苦味のある後味。この離婚を描く事で、三姉妹三兄弟が結婚してうまく行ったことが奇跡だと思える。
    この物語の続き、三姉妹三兄弟の子供のその後を読みたいところである。
    印象に残った文章
    ⒈ 大事なのは、家族みんなが仲良くいるってことじゃないのかい?
    ⒉ 俺はよ、諒介がもしあれでついてきたら、まだ見込みあんなと思ったんだ。
    ⒊ あのよ、母ちゃんはみんなのためばっかり思って今までやってきたべ。母ちゃん、ひとりぼっちにしないでやってくれな。

  • 土地勘のある人なら、大沼の位置関係、函館西部地区と丸井今井とボーニ森屋のことなどわかるが、知らない人には混乱する。観光案内ばりにそれぞれについて文中で説明しているが、簡単な地図を添えるべきだと思う。また、イクサンダー大沼YHの形状などはイラスト挿絵があったほうがいい。3兄弟姉妹の描写生き方もいいが、那須子の生きざまがよい。3年前発行だから、現在の閑散として、電気屋もなく、紅葉館などの旅館もなくなった大沼湖畔の情景も書き込んでほしかった。3姉妹今は何をしているのだろうか。地名ふりがな、砂原(すなはら→さわら)ではないかな。

  • ある家族の大きな物語でした。
    物語がキレイ過ぎて、ほとんど皆が良い人すぎて、そして淡々とし過ぎて、少しつまらなさを感じましたが、最後はほっと出来たというか、「人生」をみれて、大きな物語だったなぁと思いました。
    もう少し抑揚を付ければ、いい映画になりそう。

  • 2017.8.23

  • 3兄弟と3姉妹が結婚。
    北海道の大家族。
    家族愛。商売。
    ちょっと昔な時代背景もよかった。

    一気に読んだ。

  • 北海道の僻地に嫁いだ三姉妹の
    長女
    そこの姑に気に入られ
    次女も三女も
    旦那の兄弟に嫁いでくる。
    三姉妹
    三兄弟の生き方が真っ直ぐに
    書かれていた

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著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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