駄犬道中おかげ参り

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著者 : 土橋章宏
  • 小学館 (2016年9月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864534

駄犬道中おかげ参りの感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の伊勢参りを舞台にした、エンタメ時代小説。

    生きて行くには困難が付きものである。何だかんだで行き詰まった人はときに、旅に出る。人生のリセットである。時代は変われど、そんな風に旅に出る人は昔からいたのかもしれない。

    伊勢神宮へのお参りは江戸の庶民にとって1つの夢であった。一生に一度はお参りりしてみたい場所、それが「お伊勢さん」だったのだ。60年に一度の遷宮がある年はひときわ御利益があると言われ、江戸庶民は大挙して伊勢路を目指した。これを「おかげ参り」と称する。
    とはいえ、旅をするにも先立つものはカネである。貧乏人はおいそれとは旅立てない。町内で皆がカネを出し合って、くじで代表者を決め、行けない者の代わりにお守りや魔除けを買ってくる「代参」が往々にして行われた。
    一方で、信心だから、大目に見ろ、とばかりに、奉公人が主人に黙って、あるいは子どもが親に言わずに、抜け出して参る例も多く見られた。「抜け参り」である。金もないのにどうするかといえば、行く先々で路銀を寄付してもらうのである。伊勢まではいけないものが金を恵む代わりに、自分の分もお参りしてもらうという寸法だ。「抜け参り」するものは、目印として柄杓を持つのが習わしであった。
    さらに、伊勢参りに出かけたのは人ばかりではない。お使いとして、犬を行かせる例があったという。首に「代参犬」と札を付けると、道中、人々が食べ物を恵んでくれ、ときには首の袋に喜捨もしてくれる。「伊勢参りに行く犬だからどうぞよろしく」と札に書いておけば、街道を迷わぬように人々が連れ歩いてくれるというからのどかなものだ。
    このあたりにご興味がある方は、『犬の伊勢参り』が参考になる。

    予備知識はここまで。
    さてここに、1人の博徒がいる。名は辰五郎。そろそろ中年にさしかかり、博打のツキも蔭りを見せてきた。大枚の借金があるが返せる当てがない。折良く、町内の代参のくじにあたり、夜逃げすれすれで伊勢参りに出かける。
    ひどい奉公先に放り込まれ、辛い毎日を送っている男の子、三吉。親はその後、行方不明。たった1人の姉が祝言をあげると聞いたが、旦那には暇をもらえない。伊勢参りにかこつけて、姉の元に行こうと黙って出てくる。
    もう1人、死のうと思い詰めた薄幸の女、沙夜。婚家でさんざんな目に遭って飛び出してきたが、自分など生きている価値がないと悲観し、命を絶とうとしたところ、行き会わせた辰五郎と三吉に助けられる。
    この3人がともに、伊勢を目指すことになる。
    3人にはもう1人、いやもう1匹の道連れがいた。白い紀州犬、翁丸。名前は立派だが、食い意地ばかり張った駄目犬である。

    人生に躓いたもの同士、家族連れのふりをした方が宿代も安いと、1つ部屋に泊まり、枕を並べる。東海道をお伊勢さんまで、名所を見、名物を食べては旅するうち、いつしか互いの境遇も打ち明けあい、疑似家族のような絆が生まれていく。
    とはいえ、辰五郎は根っからの渡世人。博打も打てば女も好きだ。下ネタの下品さにはときどき閉口した。が、実のところ、弥次喜多で知られる「東海道中膝栗毛」もキワどいネタには事欠かないから、そちらに比べればむしろかわいい方かもしれない。

    著者は、映画化もされた「超高速!参勤交代」シリーズの作者であり、歴史の裏舞台も散りばめながらエンタメにまとめ上げていく。
    「東海道名所図絵」を手引きに歩く3人の旅は、タイムトリップをしながらグルメ旅も楽しめる趣向。宿場ごとに章立てされているため、通勤途中や寝る前の細切れ読みにも向いている。
    終盤には思いがけず大きな陰謀にも巻き込まれ、あっと驚く結末を迎える。駄犬だと思っていた翁丸の意外な正体も明かされる。
    ラストは次作への含みを持たせるが、続編はあるかな・・・?
    甘いものや塩辛いものをたらふく食べる、おバカだけど憎めない翁丸のその後知りたさに、次が出たら読んでしまう、かもしれない。

  • 60年に一度のおかげ参り、ご利益を求めて多くの人々が日本全国から伊勢神宮を目指す1年です。
    この特別な年に東海道を行くは、宵越しの銭は持たない博徒に奉公先を抜け出してきた少年、入水寸前で助けられた美女に食いしん坊な代参犬、という風変わりな一行。
    いろんな事情が重なって道連れとなった3人と1匹の旅路を、おもしろ可笑しく描いた時代小説です。
    エンターテイメント色が濃いと思ったら、『超高速!参勤交代』と同じ作者なのですね。

    東海道の名所や名物に加えて、さまざまな事件や出来事が次々と起こり、一行の旅は見ていて飽きません。
    それになんといっても代参犬・翁丸が愛らしい!
    食い意地がはってるところも、笑ったような顔をするところも、賢いんだかおばかなんだかわからないところも。
    翁丸のしでかすことが結果的に一行の窮地を救ったりするのは、神様のお導きなのかしら。

    気持ちのよい結末ににっこり。
    『超高速!参勤交代』も読んでみようかな、と思います。

  • 犬好きでついつい犬がでてくるものは読んでしまう。あっさり読める。

  • 軽く読める道中モノ。

    博徒の辰五郎が、お伊勢参りの途中で、奉公先を抜け出してきた子供の三吉、訳あり女の沙夜、そして代参犬の翁丸と出会い、共に旅をしていく話。
    各々が抱える事情や、道中色々ありつつも、心温まるラストで終わるので、安心して読めます。
    ダメ犬(?)・翁丸が美味しいところを全部持っていく感じなのですが、そこが好きです。

  • 江戸から伊勢まで。ドタバタ珍道中。土橋先生5作目。5戦4敗。泣かされすぎである。この代参犬システム可愛すぎるでしょ。 (代参犬:江戸時代に流行った60年に1度の伊勢神宮への集団参詣「おかげ参り」。旅が出来ない人は「代参犬」として犬に思いを託して送り出した。代参犬を見かけた人々は、これを伊勢へと導き、また首に着いた袋に寄進を与えた。)

  • それなりのボリュームがありながらテンポ良く読めた。
    やや掘り下げが足りないというか、一つ一つのエピソードがアッサリしている感はあるが、全体的には楽しく読めた。
    博奕で多額の借金から逃げている男、子供が出来ないことを婚家に責められ死のうとした女、両親に捨てられた少年、そして誰かの代理参りの犬というメンバーでの伊勢参り。
    それぞれが旅の中で変化を見せて、三人と一匹の関係も変化していくところが良かった。

  • 典型的なお江戸どたばた珍道中物語。結末も予想通りで可もなく不可もなし。

  • 博打と犬の伊勢まいり

  • おかげ参りのお話は他にもあるけれど、代参犬が主役?のお話はなかなか無いのでは…と。テンポよくすらすらと読めはしますが、小説というよりは映画のあらすじでも読んでいるような…ま、そういう気軽に読める本です。☆3.5

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駄犬道中おかげ参りの作品紹介

日本アカデミー賞作家が描く愉快痛快珍道中

時は天保元年おかげ年。博徒である辰五郎は、深川の賭場で大勝負に負け多額の借金を背負った夜、お伊勢講のくじに当たり長屋代表として伊勢参りの旅へと出発した。
旅の途中で出会った代参犬の翁丸、奉公先を抜け出してきた子供の三吉、訳ありな美女・沙夜と家族のふりをして旅を続けるなか、ダメ男・辰五郎の心にもいつしか変化が現れて……。
笑いあり、涙あり、美味(グルメ)あり! 『超高速! 参勤交代』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した作家が描く愉快痛快珍道中! はじまりはじまり~。

駄犬道中おかげ参りはこんな本です

駄犬道中おかげ参りのKindle版

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