本を守ろうとする猫の話

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著者 : 夏川草介
  • 小学館 (2017年1月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864633

本を守ろうとする猫の話の感想・レビュー・書評

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  • あなたにとって「本」とは何ですか。
    と問いただされたような気がしました。

    書店の主だった祖父が亡くなり、
    空ろな日々を過ごしていた林太郎の目の前に、突然現れた一匹の猫。
    「本を救ってほしい」というトラに連れられて、
    迷宮に入り込んだ林太郎が見たものは───


    ”本には大きな力がある。けれどもそれはあくまで本の力であって、お前の力ではない。
    いくら知識を詰め込んでも、自分の足で歩かなければそれはただの借り物。
    お前はただの物知りになりたいのか。”
    林太郎の祖父の言っていたことが、深く胸に突き刺さる。

    一冊々、大事に読もうと心がけてはいても、
    読みたい本がありすぎて、毎日新しい本を読むことに追われ、
    めったに一度読んだ本を読み返すことがなくなった。
    大切な一冊を、何度も読み返しながら、ゆったりと物語の世界に身を置く。
    そんな読書ができたらいいのに。
    そして、そのひざの上に柔らかいモフモフちゃんがいてくれたらもっといいなぁ。

    ちなみに、本に囲まれちょこんと座っている表紙のネコちゃん。
    この子があの何やら生意気なトラ?
    ちょっと可愛すぎ?
    トラ、ごめん!(笑)

  • 私にはなかなか難しい、本に関するファンタジー小説だった。

    読みたい本が沢山ありすぎて、どこまで1冊の本に真剣に取り組めてるのか、なんとなく後ろめたい気持ちに。

  • 祖父を亡くした少年の前に現れた、人間の言葉を喋る猫。
    この猫に導かれ、少年は本を救うために迷宮へと足を踏み入れていきます…

    期待していたよりも、ライトな内容だったので☆2つ。
    著者が本に抱いている想いは伝わってきたけれど、その部分を強調するがゆえに描かれた本の力が限定的になっているようにも感じてしまいました。
    登場する文学作品も海外のものばかりで、日本の文学も入れてほしかったな…、と少し物足りない読後感。
    でも、本書をきっかけにして、中高生が文豪の作品にも挑戦してみよう、と思ってくれるのであればうれしいです。

  • 本は・・・好きに読めばいいんじゃないかな?w
    なんでもそうだけど、バランスが大事なわけで。

    愛し方って人それぞれだからね。
    全部を同じように愛するのは無理だし、熱烈に愛し合って蜜月を過ごすのもいいし、あちこち浮気して歩いた末に穏やかな関係にたどり着くのもいいし、深入りせずとも友好的な関係を持続させるのもいいし、みんな素敵で選べなくてどれもこれも追っかけちゃう!ってのもいいしw

    好きな時に好きなだけ、必要な時に必要なだけ、手に取りさえすればいつでもスッと寄り添ってくれるのが本だもんねぇ?

    ただし、基本的には紙の本を推奨しますがww

  • 喋るトラネコ、店の奥にあるはずの無い通路、そこを抜けた先に広がる奇妙な世界。どこかにありそうな話ではある。しかし、物語の中では、現代の本離れ、本を取り巻く現状をどこかユーモラスに、かつ丁寧に描かれている。林太郎は3人と対話し、本を救い出すことに成功する。ここで終わりではなくて、その後を書いているところがよかった。各々やり方を変え、地位を失ってしまった3人。
    思いだけではどうにもならない。“世界で一番読まれた本”は、林太郎にそう告げる。それでも林太郎は言う。本は、人を思いやる心を教えてくれるものではないかと。
    よく言った少年、と一人目は言う。自信を持ちなさい、と二人目がいう。三人目は、思いだけでは変わらないと意見され、こう返す。「それでも、やってみようとは思わないかね?」
    私たちが今も本を読めるのは、こんな人たちがいるからなのだ。現実にいるたくさんの人たちが、こんなに大変な世の中でも、それでもやってみようと思いを繋いで、ここまで本を届けてくれている。私はちっぽけな一読者に過ぎないけれど、本を大事に読む人間でありたいと改めて思った。

  • もしかしたら、じいちゃんによる『二代目認定試験』だったんじゃないかと疑っている。
    そして、本を読み終わって閉じた後の、この物語の明日からをとても楽しく想像してしまう。
    高校生にして、古書店の店主・夏木林太郎。
    とっても素敵じゃありませんか!?
    ビジュアルが、さえない眼鏡というのがまたそれらしくて良い。

    早朝、朝ごはんを済ませると店の格子戸を開けて店内に風を通し、入り口の掃き掃除と、書棚のはたき掛け…
    それが済むとお茶を淹れ、しばらく読書をする。
    時間が来れば登校し、始業ベルの少し前に、吹奏楽部の朝練を終えた柚木沙夜が教室に入ってきて、林太郎の姿を見つける。
    「よろしい、今日もちゃんと登校したわね」と、声には出さず頷くのだ。
    本を巡る状況は、相変わらず厳しいけれど、本に囲まれてそんな毎日を過ごすのはうらやましいなあ、と思う。

    しゃべるトラ猫に頼まれて、本を救うために迷宮の中に赴く林太郎。
    そこに描かれているのは、現在、本や出版業界が直面している危機であり、本の読まれ方に対する痛烈な皮肉であったり。
    自分も少し反省をしたり、日ごろの思いを代弁してくれて溜飲を下げたりしたのであった。

    序章 事の始まり
    第一章 第一の迷宮「閉じ込める者」
    第二章 第二の迷宮「切りきざむ者」
    第三章 第三の迷宮「売りさばく者」
    第四章 最後の迷宮
    終章 事の終わり

  • 【図書館】これは…素敵な本でもあり、考えさせられる本でもありました。そして心に響く言葉がたくさんあり、付箋がいっぱいになりました。本が好きな方にはぜひとも読んでほしいし、本を読むこととはどういうことなのか…考えてほしいと思いました。これは手元に置いておきたいな。

  • 夏川さんといえば、神様のカルテシリーズしかなかったので、どういう物語かすごく興味があった。
    主題は本。 本をたくさん読めばいいのか、速読は本当に良いのか、そして売れる本だけ流通すれば良いのか。現代社会を思い切り皮肉しているなと思った。たくさん読めばいいってもんじゃ無い、時間をかけて、ゆっくり読み返したりもして。そして本のえり好みをし過ぎると己の視界を狭めることにもなり得る。
    難しいってことは、今まで読んだことのないものに出会ってるってことっていう夏木君の言葉が印象的。そして、本でいろいろな世界に価値観に人に出会うことに改めて嬉しさというか、喜びのようなものを感じた。
    本を読んだ後は、自分の足で歩いて行く。読みっぱなしではなく考えたり、行動したり。小学生に言い聞かせるような台詞だけど、まさにその通りだと思った。
    夏木君同様本が好きな自分にとって、とても良い素敵な1冊に出会えた。

  • 交換会であやかちゃんからもらった本!

    ミヒャエルエンデのモモを彷彿とさせるファンタジーでした!
    モモはカメのあとについて歩いて行くけど、林太郎は猫のあとに、そして不思議な体験をしていくという内容。

    ラストの冒険の敵は、私的に絶対優しげな叔母が良かった。笑!
    実は影のボス!くらいのオチかなーって期待していただけにちょっと残念でした。笑笑!あの叔母怪しかったのに、最後までただのいい人だったし。笑笑

    先輩のくだりももう少し絡めて欲しかったなーと、もう少し長編で深めにお願いしたいほど面白い内容でした。

    軽く読み切れる優しいファンタジーです!

  • 私にとって読書とは、登場人物と自分を重ね、うまく表現できない自分の気持ちを言葉にしてもらい共感すること。だから難しい本は避けたり、途中で読むのをやめてしまったりと、自分に合う本しか受け付けなくなっていた。
    読んで難しい本は、自分にとって新しいことが書いてあるから理解に時間がかかる、ということに目から鱗。もっといろんな本と向き合ってみようと思った。

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本を守ろうとする猫の話の作品紹介

『神様のカルテ』シリーズ外、初の長編!

「お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。夏木書店を営む祖父と二人暮らしをしてきた。生活が一変したのは、祖父が突然亡くなってからだ。面識のなかった伯母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいのだという。
痛烈痛快! センス・オブ・ワンダーに満ちた夏川版『銀河鉄道の夜』!

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