- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093873123
感想・レビュー・書評
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相互貸借。世界に向かう呪文について。
ほむほむと東さん、好きです。超ビギナーの私はあと何首作ればマシになれるだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短歌が人を感動させる要素
共感と驚異
砂浜に二人で埋めた飛行機の折れた翼を忘れないでね 俵万智
桜貝vs折れた翼
自分自身の体験とはかけ離れた一瞬の衝撃を通過することによって、より普遍的な共感の次元へ運ばれることになる
「飛行機の折れた翼」は、あくまで共感へ向かうためのクビレとして機能しており、多くの俵作品同様に、ここに含まれる驚異の感覚は、それ自体の純度を追求されてはいないという点にも注意したい。つまり読者の想像力が全くついてこられないほど驚異的なものは初めから目指していないのだ。読者は、「え?飛行機の折れた翼?」という一瞬の驚きの後に、本来は空高く飛んでゆくはずのものが砂に埋められるという悲しみを読み取る。さらに「二葉で一対であるはずのものが欠けてしまう」といった二人の関係性の暗示をも感じ取るだろう。
砂時計のクビレ
麦わら帽子ではなく、麦わら帽子のへこみ
砂ではなく、一握の砂
愛情や善意や暖かさを肯定的に描いていて確かにいいものなんだけども、でもそれはやはり世界の半分に過ぎない。世界の半分だけしか初めから視野に置かない形で書いているということは、いくらそれが「愛情」や「善意」という一般的にいいとされている価値観であっても、詩として見たときは物足りなさを感じさせてしまう。
オートマティックというのは自分で書いているつもりで実は何かに書かされている言葉で良くないということ。 慣用句
意図的な作中データの欠落は、作品の詩的な喚起力を増す
手をひいて登る階段なかばにて抱き上げたり夏雲の下
暗示的な対象の把握は、ビジュアル的には曖昧ではっきりしないのだが、詩的な説得力という点では、クリアに示された<マンモス>の像よりも、むしろリアルであり得る -
「青空朗読コンサートが始まる」の章が一番面白い。やっぱり、このお方、短歌より散文が面白いです。
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――今すぐ歌人になりたいあなたのために――
まずタイトルが意表をつく。短歌なのに爆弾?
五七五七七のリズムにただ闇雲に言葉を当てはめても それは短歌とは言えない。ただの短歌もどきである。短歌もどきをどうしたら短歌にすることができるか。それが 作歌例と共に丁寧に解説されている。
ただ まるっきり素人の私には 雰囲気と例として引かれた歌での具体策は理解できるのだが いざ自分の作歌に役立てようと思うと どこをどうしていいのか相変わらず途方に暮れるのである。今すぐ歌人にはなれそうもない。
やはり地道に作りつづけ学びつづけなければ実らないということなのかもしれない。 -
エッセイと同じような感覚で読むと大分異なる印象を受けるのではないだろうか。
そういえばこの人は歌人だったのだな、と改めて、いやむしろ初めて認識する。
本の冒頭と終章がらりと文体も、雰囲気も変わる。 -
自分には高度すぎました。