夢の裂け目

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著者 : 井上ひさし
  • 小学館 (2001年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093873581

夢の裂け目の感想・レビュー・書評

  • <東京裁判>をテーマに昭和前期の時代を歴史的に風刺的に描いた戯曲。
     ときに滑稽に、ときにリアルに起伏する民衆サイドから見た史劇。

    《小学館》「東京裁判」に隠された大きなカラクリとは何か
    前作「紙屋町さくらホテル」(小社刊)で天皇の戦争責任をテーマに取り上げた井上ひさし氏は、今回敗戦後すぐに行われた「極東国際軍事裁判」、いわゆる「東京裁判」とは何だったのだろうか、という大きな主題に挑みました。  日本人ひとりひとりに「東京裁判」はどう絡み合い、その裁判に、連合国側のどういったカラクリが隠されているのか、笑いと音楽をふんだんに盛り込み、庶民の視線から歴史の裂け目を探った傑作戯曲です。  戦前、戦中を通じて紙芝居屋をしていた男・田中天声に連合国総司令部(GHQ)から東京裁判の検察側証人として出廷するよう要請があった……。この紙芝居屋を中心に、その妹の元芸者、復員兵、検事局の女通訳などが、歌と笑いとともに繰り広げるドラマの中から東京裁判の謎が明らかにされてゆく。
    《国立小劇場》劇中歌「しゃべる男」ほか8+番外。
    YUME NO SAKEME2001年5月8日-31日
     

  • p.47
    『フツー人行進曲』

    天声
    あたしらはみんな
    豆腐が好きで
    鰹節かけてくう フツー人

    全員
    あたしらはみんな
    刺身が好きで
    ワサビ醤油でいただく ただの人

    天声
    政治のことなどはわからない
    その日が楽しけりゃそれでいい

    全員
    あたしらの夢は
    つつましい夢
    家内安全 無病息災 極楽往生
    つつましいフツー人


    天声
    あたしらはみんな
    花見が好きで
    酔っ払って上機嫌な フツー人

    全員
    あたしらはみんな
    月見が好きで
    団子の串はたべない ただの人

    天声
    世界のことなどはわからない
    その日が楽しけりゃそれでいい

    (繰り返し)
    全員
    あたしらの夢は
    つつましい夢
    家内安全 無病息災 極楽往生
    つつましいフツー人


    p.49
    耕吉
    学問は、まず、世界の骨組みを見つけるために発明された。
    この世界はひょっとしたら「正直者はバカを見る」という骨組みの上にできあがっているのではないか。
    だから二度とバカを見ないように、法律というものがあり、法律がなければそれをつくらなければならないのだ、そう声をあげて正直者を応援するのが法律を勉強する人間の務めなのではないか。そうすることでこんどは「正直者はバカを見ない」という新しい骨組みの上に世界がつくり変えられ、すこしずつましなものになって行く…理想論かもしれませんが、これが私の考え方の基本です。国と国のあいだでも同じことがいえるとおもっています。

    p.60
    耕吉
    踊らされたといっている人に限って、自分がほかのだれかを踊らせていたことに気がづかない。わたしたちは、みんなで「大東亜共栄圏」だの「テンノーは生き神様」だのいう曲の笛を吹きながら、みんなで踊りを踊っていたんですよ。フツー人の責任はそこにある…。

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夢の裂け目はこんな本です

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