世界音痴

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093873734

作品紹介・あらすじ

僕は青春ゾンビ、僕は恋愛幽霊。末期的都市に生きる歌人、穂村弘(39歳・独身・総務課長代理)。寿司屋で注文無視されて、夜中に菓子パンむさぼり食い、青汁ビタミン服用しつつ、ネットで昔の恋人捜す。唖然呆然、爆笑そして落涙の告白的エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 穂村さんのエッセイは初めて読んだが、こんなにも、彼の生き方と作品が、密接に絡み合っていることを、エッセイで知ることになるとは思わなかった。

    エッセイを読んで、改めて作品の意図を理解できたり、更に作品に込めた思いを知ることができたりと、穂村弘さんは歌集だけではなく、エッセイも読むべきだという理由が、少しは理解できたのかもしれない。

    特に、それが顕著だったのは、「全席自由」での、『自由に楽しむだけの飲み会なのに、みえないルールがある』という矛盾した事態に対する、穂村さんの、『私はただ本当に自由になりたいだけ』という、緊張してしまう飲み会での自由さは、自由ではないと思い悩む真摯さは、単に自分かわいさなのでは、全然ないと思う。

    そして、そこで取り上げられていた歌が、「シンジケート」に掲載されていた

    『卵産む海亀の背に飛び乗って手榴弾のピン抜けば朝焼け』

    で、歌集を読んだときは全く理解できず、「全席自由」を読んだ後も完全に理解できたとは思わないが、それでも、俺の中の自由というものは、これくらいの事をするくらい、他人には理解しづらいものなんだと云っているようにも感じられて、作品に対する愛おしさが沸々と湧いてくる。

    それから、穂村さんの発作的ベストテンの中のミステリ部門で、「異邦の騎士」と「りら荘事件」が入っていたのが嬉しくて、「うん、うん、分かるよ!」と思ったり、単純にエッセイの内容が面白くて、「豚年の年賀状」で、かわいそうと呟かれたことや、「一秒で、」の、静電気の火花ひとつで「キャッ」や、上記の「全席自由」の、「飯、何時からだっけ?」は、完全に私のツボにハマってしまい、今でも思い出し笑いを堪えるのが辛いほどの爆笑もので、お腹痛い。

    • たださん
      111108さん、こんばんは。

      コメントありがとうございます(^_^)

      111108さんが、穂村さんのエッセイも良いと、教えて下さったお...
      111108さん、こんばんは。

      コメントありがとうございます(^_^)

      111108さんが、穂村さんのエッセイも良いと、教えて下さったおかげで、更に「ほむほむ沼」にハマることができました♪

      改めて、ありがとうございます(^o^)

      そして、どうせ読むなら発売順がいいと思い、調べてみたら、2002年4月発行の本書が最初だと分かり、穂村さんが30代の頃のエッセイは、若い頃の思い出話も載っていて、切ない気持ちにもなりましたが、穂村さんの考え方や嗜好ひとつとっても、人間の奥深さを感じて、とても面白く、読んでいて、やっぱりこの人好きだなあと、しみじみ実感し、私も世界音痴と思われてもいいやという気持ちになれました。

      他のエッセイを読んでいないので、比較はできませんが、ご結婚前のせいか、やや自虐的で、独り善がりな感も面白いやら切ないやらで良かったです(^_^)
      2022/06/13
    • 111108さん
      たださんお返事ありがとうございます♪

      「ほむほむ沼」ハマるのを一緒に楽しんでいただけるようでうれしいです(≧∀≦)

      なるほど、30代のエ...
      たださんお返事ありがとうございます♪

      「ほむほむ沼」ハマるのを一緒に楽しんでいただけるようでうれしいです(≧∀≦)

      なるほど、30代のエッセイなんですね。年齢あがると共に自虐ネタも少なくなるのかな?私は穂村さんの書評やエッセイを見つけ次第読んでるので分析できないのですが、世界音痴(という穂村さんの造語からしていいですよね)のスタンスは年を重ねても変わってない、ぶれていないと思いますよ。安心してください。私もこういう風な生き方いいなぁと読む度いつも思います。
      2022/06/13
    • たださん
      111108さん

      返事のお返事を読んで、安心いたしました。
      ありがとうございます(^_^)

      確かに、こういう生き方いいなぁと思いますし、...
      111108さん

      返事のお返事を読んで、安心いたしました。
      ありがとうございます(^_^)

      確かに、こういう生き方いいなぁと思いますし、その生き方に、私自身に近いものを見出したときは、私一人じゃなかったんだという、まさにその安心感が、とても嬉しくて・・・これからも一緒にハマりましょう(≧∀≦)

      2022/06/13
  • ほむらさんの1994~2002年に各誌に掲載されたエッセイを集めた1冊。

    みんながやるように「自然に」ふるまうことができない。
    「自然さ」を奪われたものは世界の中に入れない。
    それゆえ、つけられた本書のタイトル。
    ああ、ほむらさんだっ!

    ほむらさんのエッセイは笑いながら読みつつも、100%笑い飛ばすことができません。
    それは誰しも時折感じるであろう周囲とのずれのせいかも・・・と、本書を読みながら思いました。
    自分の中にある周りとチューニングがずれた部分が、ほむらさんの文章に反応してひりひりするような気がするのです。

  • 共感の嵐
    こんなに共感したのは人生で初めて
    まあつまり、ビビりなんですよね、人に対して
    気持ち分かるなあ

  • あっやっぱりこのひと恥ずかしい恥ずかしいと手で顔を隠した指の隙間からこっちをじっと観察しているひとだ! こわい!

  • 世界と音程が合わない。

    飲み会が苦手だったり、飲食店ではコートを脱ぐか脱がないかで
    迷い続けたり、世の中に対して自然に振る舞えない穂村さんの
    ダメっぷり全開のエッセイ。

    「わかるわかる」と思う部分あり、「いや、私はここまでじゃないぞ」と
    思う部分あり。

    普段感じている生きづらさというと大げさかもしれないけど
    生活の中で感じる周囲との違和感を穂村さんが文章にしてくれて
    救われたような気がした。

    何より「世界音痴」というタイトルがかっこいい。
    太宰治の「人間失格」並みにかっこいいと思う。

    この本を面白いという人とは友達なれそうな気がする1冊。

  • エッセイとして、おもしろかった。
    作者は、人生、生きにくくないかと心配になった。

  • だめだめな私でも生きてていいんだと思えるからありがたい

  • 表紙が気になって読んだら、回転寿司のくだりがそのまま再現されていておもしろかった。
    昭和のひとりっこな私も世界音痴です。

  • 穂村さんの短歌を読んで、穂村さんにも関心を持つようになりました。

    そんな時、又吉直樹の「第二図書係補佐」で紹介されていて、このエッセイを知りました。

    ひっさびさに面白いエッセイ!!笑ったー。
    「お父さんがバナナを食べる時の目が怖い」ってどんな・・・?

    共感できる内容も多かったし、他のエッセイもぜひ読みたいと思いました。
    各エッセイの最後に載せられている短歌も好き。

  • この人はやばい。中二っぽいときに読んだら引きずられてしまう。
    自分にコンプレックスがあり、自分がもっとよいものだったらいいと思っているのに、最終的には自分だけが好き。
    他人からどう思われているか気にしまくりなのに、どう思われているか自体は自分の中で完結している。変な人、とか、奇妙、とか、、それをあきらめている。
    そういう評価が自分に下っていることを変えようと思わないし、違うかもしれない、ということは露ほども思わない。
    怖い。なんだかわからないけれどぞっとする。
    自分も世界音痴だなあ、と思っていたけれどほむらさんに比べればまだまだひよっこだった。

    私は新しい世界を見たいし、人とももっと関わりたい。自分だけで完結した世界に住み続けたいとは思わない。
    そのためには嫌な人ともうまくつきあいたい。最低限だけで。

    世の中の見方が斬新で面白い、というのはそれだけで孤独なのかもしれない。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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